J-POP数珠つなぎ その158
「こころに海を」川崎龍介+メロディー
いい曲だ。今じっくりと聴き返すとどうも歌はイケていないのだが、心に刻まれた記憶の中に「いい曲だった」という思い出があると、歌の下手さは気にならない(笑)。
この曲は『ビッグ・ウエンズデー』の大半のファンからは酷評を受けていて、芸能人水泳大会の大磯ロングビーチで流れるような歌でせっかくの映画がブチ壊されたと、当時の大半の観客が怒り心頭に達したと言われているのだが、当時中学校3年生だった僕は、この映画が好きで2回観に行ったのだが、僕の中では『ビッグ・ウエンズデー』=「こころに海を」なのである(笑)。
『ビッグ・ウエンズデー』というのは本当にいい映画だった。カリフォルニアの海岸に水曜日にやって来るという伝説の波を「ビッグ・ウェンズデー」と呼び、3人のサーファーの心模様とともにカリフォルニアのサーファーたちの夢の象徴としている。
そこにベトナム戦争がからみ、心が傷ついた若者が自暴自棄になるのだが、仲間たちによって救われるという、巨大な波=青春の象徴として描いたジョン・ミリアス監督の素晴らしいアメリカン青春ストーリー。
僕ももちろんサーフィンをするようになったのだが、そのきっかけはこの映画だった。
残念ながら水曜日の伝説の波はやって来なかったが、この歌を聴きながらこの映画の世界をリアルに感じられたことは今でも脳裏にしっかりと刻まれている。
川崎龍介というシンガーが出した曲は多分この1曲だけだけだったと思う。デビュー前には加山雄三の付き人をやっていた関係でこの曲をリリースしたという風に記憶している。
誰か、加山雄三に聞いてみてくれ(笑)。
ちなみにこの曲のアレンジは松田聖子、佐野元春など数々ヒット曲のアレンジを担当した今は亡き大村雅朗さんがやっている。
『ビッグ・ウエンズデー』ファンの皆さんには申し訳ないのだが、カリフォルニアの波の記憶と共に刻まれてしまったこの曲は、やはり僕の中では『ビッグ・ウエンズデー』のテーマソングなのである。