「つくづく思うのは監視が厳しくなったことです。”1億3000万総興信所”みたいに、ちょっとした有名人なら常に誰かに監視されて放おっておいてくれない。社会が『不寛容』になっていて、居心地が悪いですよ」 辛坊治郎

 

2020年の世相を漢字一字で表現する「今年の漢字」が「密」に決まり、先日清水寺で発表された。

確かに首相や政府関係者も「勝負の3週間」とか言いながら、「蜜」な忘年会を何回も開催していたし、人と会えないから「蜜になりたい」という男女も増え続けている(笑)。

1億2000万人がこの狭い列島の中で暮らしているもともとが「蜜」な国なんだから、今さら「蜜」はダメだと言えわれても何いってんだって感じだ。

 

冒頭の辛坊氏の「不寛容」に関するコメントは、今から4年前の対談で語っていたものだが、今年はコロナ感染が拡大したことで日本人の「不寛容」もさらに広がった。

勝手な自警団のような「マスク警察」にはじまり、緊急事態宣言下で他県ナンバーの車を傷つけたり、営業店舗に嫌がらせの張り紙をしたりする「自粛警察」なる不寛容な「正義感」を振りかざす輩も多かった。 政府が民衆の正義感を利用して統制を図った戦時中の隣組と同じだし、北朝鮮や旧ソ連の密告制度みたいなもので、本当に卑しさを感じる。

 

今年はもう「五輪より不倫」。もはや「フリンピック」といった感じで、東出昌大、渡部建、瀬戸大也、近藤真彦と不倫した男たちはメディアで徹底的に糾弾された。にも関わらず、TBSでは『恋する母たち』などというドラマで不倫を煽っているのだからお笑い草である。まぁTBSは昔から「金妻日の妻たちへ」からずっと不倫が大好きな放送局だが(笑)。

 

正義感を振りかざすのは勝手だが、実名を挙げずに他人を叩くのは卑怯者のすることだ。

他人の不倫を叩く人間はそんなに真面目に生きているのだろうか。そんな真面目な人間なんて会ったことがない。

妬み、嫉み、が入り混じったネット上の糾弾コメントの数々、視聴率を稼ぐためのレポーターの低俗な糾弾コメントを見ていると、日本人は本当に卑しくなったと思う。

 

日本人はいったいいつからこんなに卑しい国民に成り下がったのだろうか?それとも暇なのか?

こんなくだらないものに時間を使っているのだから多分、暇なんだと思う(笑)。

 

キャスターの辛坊治郎氏は来年4月にヨットで単独無寄港、無補給、無伴走による太平洋横断に挑戦することを発表して、大きな話題となっている。2013年にヨットでの太平洋横断に挑戦し、失敗した過去を持つにもかかわらず、人気のレギュラー番組を降板し、65歳でヨットで太平洋横断に再挑戦するというのだから、凄い!のひと言である。

 

 

他人を叩いて日頃のうっぷんを晴らすなんて暇つぶしの時間があるのなら、辛坊氏のように一人オリンピックを開催してみるのもいいかもしれない。生と死が目の前にある状況では、他人の不倫なんかどうでもよくなるからだ。

やっぱり人間というのは、自分に暇を与えてはいけない動物なのかもしれない。