「昭和40年男 総集編」昭和が描いた俺たちの未来



僕は昭和39年男なのでこの雑誌で紹介される昭和ネタはよく分かる。




今回の特集はハッキリ言って「終末」。


1973年は子供心ながら「終末」=世の終わりの恐怖を強く脳裏に刻まれる年だった。

小松左京の「日本沈没」、そして五島勉による「ノストラダムスの大予言」という、日本人を震撼させ続ける終末を描いた作品が登場した年だ。




五島勉氏が後のインタビューでセンセーショナルな言い方を好んだ出版社との間で「1999年7の月 恐怖の大王が降ってくるだろう」の紹介の仕方でもめたと語っていたが、やはりこの4行詩が日本人に与えたインパクト、というか呪縛は本当に凄かった。


なにせいく通りにも解釈できる三昧な表現だからこそ、何か底知れぬ恐怖を感じたものだ。

だからこそその意味を知りたくて、このシリーズや他の方たちが解釈した本も一通り目を通したが、インパクトという意味では最初の一冊を超えるものは未だにない。

その五島勉氏が先日亡くなったということをニュースで知った。ご冥福をお祈りします。




前年の1972年には小学生を恐怖のどん底に落とす梅図かずおの「漂流教室」の連載が始まっていたし、大地震に火山の噴火、細菌と世の中が終わってしまうような内容の恐ろしい本が色々と出版されたので、この時に読んだ本の影響は未だに強い。


73年はオイルショックでトイレットペーパー騒動で買い占めが起きたし、銀座のネオンも消えた。昼間は光化学スモッグでマスクなしでは外には出れなくなることも多かったし、川崎ぜんそくに四日市ぜんそく、水俣病と、いろんな公害病にも恐怖を与えられた。


PM2.5が空から降り注ぎ、コロナでマスクを買占め、店も閉まって経済も大不況と、今の状況を見ると1973年と余り変わらないような気もする。


昭和40年前後に生まれた子供たちも今や50代の半ばだが、多感な時期に「世界は滅ぶ」と刻まれたまま大人になったため、今も「終末」からは逃れられないままだ。