「すべての悩みに無駄はなく、その先にあなたの成長があります。誰でも乗り越えるのは、自分自身の力なのです」 

江原啓之

 

これは確か雑誌に掲載されていたもので、ある悩みを抱えた女性からの質問に対して、江原さんからの回答である。

本日はちょっと長めになるが、ご勘弁願いたい。

 

この女性は風俗店で働いていた過去があるのだが、結婚を視野に入れて現在付き合っているとても好きな彼に対して、過去のことをすべて言うべきかを悩み、そのことがずっと心に引っかかっているという話。彼氏のことが心底好きなだけに、言うべきかどうかもわからず、風俗で働くことを選択してしまうような女と一緒にいることは、彼にとって不幸なことなのではないかとまで一人で考えているらしいのだ。

 

彼女からの質問。

「彼のことを本当に思っているなら、別れるべきではないかと悩んでいます。今では、なぜあんなことを……と、後悔する毎日です。嘘をつき続けている事実も辛いです。私は彼と別れるべきですか?

 

江原さんはこ語る。

「言えるのは、過去のことだということ。それはそれ。“大我”“小我”という言葉を私はよく使いますが“大我”は、相手を思う心。“小我”は、自分を大事にする心。“大我”で考えれば、黙っていればいい。言わなくていい。相手は聞きたくない。“嘘をつき続ける事実も辛いです”というのは、自分が辛いだけ。“小我”で、自分の為。女の人に多いのが“全部言ったほうがいいでしょうか?”という質問。それは、あなたが言いたいだけ。すべて受け止めてくれて“いいよ。許すよ”と言ってほしい、甘ったれなんです

 

厳しいお言葉だが、それが真実だ。

 

僕もよく女性から悩み相談を受けることがあるのだが、その際に多いのは、「彼氏には言えないんだけど・・・」という前置きで、僕に全てを告白されてしまうパターンだ(笑)。僕は何を相談されても「へぇ、そうなんだ」というたちなので気にせず聞いてしまうのだが、共通して言えるのは、まさに江原さんがいう「全部言った方がいいでしょうか?」という質問である。

 

一度相手に嘘をつくと、その時点で既に心の中に「負い目」を感じてしまう。

次に会った際に嘘がバレるのが怖いから、また嘘をついてしまう。

そして嘘の上塗りが続き、やがてにっちもさっちも行かなくなる、というパターンに陥る人が多い。

半分は相手のことを思って敢えて真実を言わないが、半分は嘘をついていることがバレるのが怖くて言えないのだ。

 

日本にはむかしから『嘘も方便』という諺がある。

相手にとってそれが辛いことであれば、敢えて言わなくてもいい。要は根底に愛情があるかどうかで、相手を傷つけるべきではないと思う。

悪いことをしているわけではないけれど、それで相手に不愉快な思いをさせるようであれば、敢えて言わない方がいい。それに、言っていないだけで、嘘をついている訳でもないのだ。

 

人間というのは、ちょっと自分に弱みとか罪悪感があるほうが優しくもできるし、謙虚でいられるものだ。そして人の心の中の「痛み」もわかる。だから別れるなんて、何を言っているんだという話だと思う。お互いに愛しているのであれば、すべてを含めて愛し合わなければダメ。それができないのなら、とっとと別れた方がいいと思う。

 

「でも、風俗で働いていたことを後で知るのは嫌だ」という男がいるかもしれないが、それは度量の小さな男の言うことだ。

本当に心から相手を愛しているのなら、「過去」のことなんか気にしない方がいいし、逆にその男は世の中に大手を振って「こんなに高尚な生き方をしてきました」と言えるのか?とも問いたい。

 

「キャバも行ったことがないし、風俗も行ったことがない。AVすら見たことがないし、ガーズルバーにも行ったことがない、真面目一筋の人間です」なんて男がいたら、そいつこそ嘘つきだ(笑)。

もしくは相当につまらない人間か、やばい男かもしれない危険性が相当高そうだ(爆)。

マザー・テレサじゃあるまいし、そんな高尚な人間なんて滅多にいないものだ。

 

お天道さまの下で働くことはいいことだ。だが、なんらかの理由で夜のお仕事や裏のお仕事に就いてしまった人もいる。

問題はその職業に就いた「動機」であって、職業には上も下もないのだ。動機が不純なら、たとえどんな偉そうな職業であれ長続きはしない。なぜならお天道さまが見ているからだ。

 

昨年のハロウィンの時、新宿でハロウィン仮装したバカ面のお兄ちゃんが、隣の女の子と交わしていた会話はこうだった。

 

女「どんな仕事してんの?」

男「”IT系”の会社やってんだよね」

女「IT系ってすごい!どんなことやってんの?」

男「”風俗系”サイトの制作とか・・・」

 

笑った。この「IT系」っていうのが味噌だ。

あえて「系」がつくってことは、本筋ではないということで、心の中にやましいことがあるか、自分の職業を盛ってるか、IT系といえばモテるだろうという、浅はかな虚栄心が為せる表現だ(笑)。さらに「風俗系」ってなんだ?って言いたいが、それ以上詮索しても時間の無駄なのでやめた。世の中しょせんこんなものだ。

 

嘘をついてしまうのは、こうしたくだらない見栄や虚栄心、下心、恐怖心が作り出すのだ。

嘘がバレるのを恐れてビクビクしてるくらいなら、最初から嘘なんかつかなければいいだけ。全てをオープンにしてしてしまえば、余計な悩みに時間をとられることすらないのだ。

 

人間はつい嘘をついてしまう生き物。人を傷つけず、人に幸せを与える嘘ならOK。

でも、嘘がバレて傷つけてしまったときは、すぐに謝る。もうそれで十分だと思う。それで関係が修復できなかっったら、「縁がなかった」と考えて「次にGo!」である(笑)。