『ライフ・オブ・パイ』




評価

1. ストーリー構成と展開 
★7 

2. キャラクターの描写と演技力 
★8 

3. 映像美とロケーション 
★8

4. 音楽と音響効果
★7 

5. テーマ性とメッセージ 
★8

6. ホラー要素と恐怖の演出 
★8

7. ファンタジー要素と世界観の構築 
★8

8. 脚本とセリフの質 
★7 

9. 編集とテンポ 
★7

10. 結末のインパクトと余韻 
★9

計76点

『ライフ・オブ・パイ』

~その物語を、“ただの冒険”として観てほしい~ 

 私はこの物語を、まず小説で出会った。 

だからこそ、映画の公開時に掲げられた「なぜ少年は、生きることができたのか。」「生きるために… 忘れる。」というキャッチコピーに、妙に納得した記憶がある。 

でも、内容を知らない人がこのコピーを見たら「あ、虎と少年の漂流記ね!」って思うだろうなとも感じた。 

それはそれで正解なのだが……

どんでん返しが好きな人はスルーしてしまうだろう。

どんでん返し――とまで言うと、語弊があるかもしれない。 

でも、観終わったあとに心の奥にすっと入り込んでくる「もう一つの物語」がある。 

そして、観る前にその存在を知ってしまうと、物語が構えてしまう。 

だから私はあえてこう言いたい。 

「この話は、ただの冒険物語だと思って観てください」と。 

 本当は語りたい。 

語りたいけど、それを言ってしまうと、あなたの物語ではなくなってしまう気がするから。

どうか、波に揺られるボートの上で、虎と共に旅する少年に寄り添ってください。