映画『ノーカントリー』




評価

1. ストーリー構成(サスペンスの運び)
 - 現金強奪から始まる逃走劇と、予想を裏切る展開の組み立て 
★8

2. キャラクターの描写と演技力
 - アントン・シガーの異様さ、モスとベル保安官の対比、俳優陣の演技の説得力 
★9

3. 映像美と演出(風景と緊張感)
 - 乾いたテキサスの大地、静かな緊張、余白で語る演出の妙 
★8

4. 音楽・音響の使い方  - 静寂と環境音が生む不安と恐怖 
★7


5. 脚本・セリフ(余韻とリアルさ)
 - 会話の含蓄、無駄を省いたリアリズム重視の脚本構成 
★8

6. 暴力描写と倫理観
 - シガーの無慈悲な殺戮と、それに対する善悪の意味の崩壊 
★10


7. 哲学性・テーマ(運命・老い・無力感)
 - 世界の理不尽さ、暴力の世代交代、人間の限界への問い 
★8

8. テンポと緊張感
 - 緩やかでありながら常に緊張が張り詰める構成 
★10

9. 象徴・暗喩の使用
 - コイン、ドアノブの跡
★8

10. 結末の解釈と余韻
 - 唐突にすら感じる幕引きが提示する“何も解決されない”リアリティ
★9


計85点


『ノーカントリー』~哲学は感じないけど、殺し屋には惹かれる~ 


好きなんですよね、“自分ルール絶対厳守”系の殺し屋(ゴルゴ13みたいな)。 


誰よりも冷静で、誰よりも非常識。 


もう彼が出てくるたびに、「あ、またなんかやってくれるぞ…」とワクワクしてる自分がいた。 


 正直「この映画に哲学が~」とか語られても、
「うーん…いや、別に感じなかったけどなあ」っていうのが私の本音。 


でもそれが全然マイナスじゃないのがこの映画のすごいところ。 


 テンポも良く、空気もピリッとしてて、
結果、なぜか“じーっと見入ってしまう”。 


言葉が少ないのに緊張感がずっと続くあの感じ、クセになる。 


そして忘れられないのが冒頭の警官を絞め殺すシーン。 


いや、あれ…「殺し屋の就職面接の実技試験かな?」ってくらい静かで怖くて上手すぎた。 


台詞ゼロなのに、演技力フルスロットル。