映画『ミッドサマー』




評価

1. ストーリー(展開・メッセージ性)
 - 失恋・喪失・孤独からの再構築までの物語構成と象徴性
★5

2. 主人公の心の描写と演技
 - フローレンス・ピューの繊細かつ爆発的な演技力と感情の揺れ 
★6

3. 映像美(色彩・構図・自然の使い方)
 - 白夜の明るさ、花々、民族衣装など、恐怖を「美しさ」で表現する映像設計 
★9

4. 演出とテンポ(狂気の積み上げ方)
 - 緩やかな日常の中に潜む不穏さの演出と、ジワジワと狂っていくリズム 
★9

5. 音楽・音響(儀式の効果・静寂)
 - 不協和音や民族楽器、静寂が生む圧迫感 
★7

6. 文化・儀式の描写とリアリティ
 - 架空の共同体に感じる異常なリアルさと異文化への目線 
★8

7. ホラー表現(恐怖の質・種類)
 - 血や死よりも「価値観の崩壊」でくる心理的恐怖の演出 
★8

8. 感情のカタルシス(ラストへの感情の爆発)
 - 主人公が“選び取る”結末における観客の納得と違和感 
★8

9. 象徴と暗喩の活用
 - 動物、植物、表情、衣装、構図などに仕込まれた多重的なメッセージ 
★7

10. ジャンルの革新性(ホラーの再定義)
 - 従来のホラー文法を裏切る昼の恐怖、セラピーとしてのホラー映画の新たな姿
★8

計75点

ホラー映画を観ようと思って再生したのに、「えっ、なんで太陽ギラッギラなんですか?」って混乱した人、私だけじゃないはず。 

 ホラーって普通、夜の森とか地下室とか、暗闇が舞台じゃないんですか?
懐中電灯チラつかせながら、「誰かいるの?」ってやるやつでしょ?

ところがこの映画、空、青すぎ。

草花、咲きすぎ。

太陽、出すぎ。 

でも、だからこそ怖い。 

狂気が隠れてない。

むしろ、日光浴びながら正面からこっちを見てくる。 

それはもう、“サイコパスの無邪気な笑顔”みたいな暴力。 

従来の殺人鬼は、夜にコソコソやってた。 

「ごめん、俺悪役なんで」っていう謎の自覚があったんです。 

でもミッドサマーの人たちは違う。 

彼ら、自分たちが“正しいことをしている”と本気で思ってるんです。 

しかも全員で。

明るい声で。

白い衣装で。

花かんむりで。

なにそれ怖い。 

 観終わったあと、
「これってホラーだったの?カルト宗教のPR映像だったの?」と脳がぐるぐるする。

でも確かに言えるのは、“光の中にある闇の方が、暗闇よりずっと怖い”ということ