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写真塩の大地を行くラクダ。ここはかつて、アラル海の底だった=カザフスタン・ボゲン村、川村直子撮影
塩の大地を行くラクダ。ここはかつて、アラル海の底だった=カザフスタン・ボゲン村、川村直子撮影

 中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンにまたがる塩湖「アラル海」。日本の東北地方とほぼ同じ広さの湖面積が、わずか半世紀で10分の1にまで干上がった。漁村は荒廃し、乾いた湖底から吹き寄せられた塩混じりの砂が町村を襲う。ソ連時代の無謀な水資源計画のつけを、人々は今も払い続けている。

 

 アラル海北部。カザフスタンのボゲン村。白い大地が見渡す限り続いていた。その上を家畜のラクダが村人に引かれて悠々と歩いていく。雪の大地を行くようだが、白く見えているのは塩湖が干上がって析出した塩だ。かつてはアラル海に面した漁村だった。湖面は今やはるか10キロ先。漁業は衰退し、塩混じりの砂がたまって学校が移転する事態も起きた。

 

 アラル海の湖面積は1960年ごろは6万8千平方キロだったが、近年は10分の1に。干上がった原因は、ソ連が第2次大戦後に実施した大規模な灌漑(かんがい)政策だ。アラル海に注ぐ、2千キロ以上を流れるシルダリア川とアムダリア川の水を、流域の綿花と水稲の栽培拡大に使った。

 

 国連環境計画によると、60年に約450万ヘクタールだった灌漑農業用地は、2012年には約800万ヘクタールへと増加。それと引き換えに、アラル海に注ぐ年間水量は5分の1以下になった。持続可能でない水利用は、アラル海の水量を保てる量をはるかに超えた。

 

 ボゲン村のような光景はアラル海のいたる所で見られる。カザフスタン・クズルオルダ州政府の資料などから推測すると、漁場を求めたり砂に追われたりして移住を余儀なくされた環境移民は数万人規模に上るとみられる。「20世紀最大の環境破壊」とも言われる。

 

 クズルオルダ州のクリムベク・クシェルバエフ知事(63)は「アラル海の危機は、自然に対する人間の無責任さの実例だ。綿花や米を栽培する必要があったしても、環境と人々の健康に回復不能な損害を与えていいことにはならない」と話す。

 

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 国連の持続可能な開発目標(SDGs)が重要視されるいま、これからの「地球異変」シリーズは、持続可能性を無視した環境破壊と、人間社会に返ってきた報いの現場を取材する。(アラル海=神田明美、中川仁樹)


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アラル海は20世紀最大の環境破壊と言われています。

 

そもそもはソ連時代に、西側に東側の優越性を示すための野心的なプロジェクトでした。

 

アラル海を灌漑によって農地化してそこで綿花を始めとする農作物の生産をすることでした。

 

 

しかし、ずさんな計画にずさんな工事など、プロジェクトの遠大さに比べると

 

実に幼稚で初歩的なミスが相次ぎ、結果、アラル海は縮小、

 

造成した農地も塩分が沸きあがり、数年で農地として扱えずに、最後は塩が湧き上がるような土地にかわりました。

 

この規模でそのようなことがおこれば、環境にも多大に影響を与え、

 

結果、砂漠化が進むその砂漠は周辺地域をまた砂漠に変えていくという

 

救いようのない悪循環が生まれてしまいました。

 

にも関わらず、あまり、このアラル海の惨状が話題にならないのは

 

当初、ソ連はこのアラル海の灌漑プロジェクトの成功を謳っていましたし、

 

問題が指摘されてもシベリア河川転流計画によって問題を一気に

 

補完できると大言壮語を述べていたからです。

 

 

簡潔にいえば、綿花や米の為に灌漑をしたら、畑にもならず、ただの砂漠になっちゃったということ。

 

 

それも莫大な面積でそれを行ったと言う事ですね。

 

 

それゆえに20世紀最大の環境破壊と言われるわけです。

 

 

今後の事も含めて、長い時間が必要な問題です。