Writer:金子敦哉(あつヤング)







2023年1月14日。


全国では数多の受験生が大学入学共通テストに励む一方、熊谷では国公立大学 27校 による駅伝大会が盛り上りをみせていた。



第19回 国公立27大学対校駅伝大会。


新潟大学は、全日本大学駅伝メンバー4人、キャプテンの木原朋哉選手など主力を多く欠く中、見事、北信越のライバルである信州大学を抑え、東京工業大学に次ぐ準優勝を飾った。



しかし、当大会では対校チームメンバーでの出走が叶わなかった選手で結成される、オープンチームの戦いも陰に存在する。



今回は、普段スポットライトが当てられることのない、オープンチーム同士で繰り広げられる、もうひとつの27大駅伝を紹介しよう。











第一章獣と僕の中継所


新潟大学Bチームのエース区間、3区を走ったのは、農学部1年の大峽謙(長野・飯田高)。

※夏のはじめ、海の向こうに無限の可能性を確信する大峽謙


彼はこの駅伝の為に、10月の北信越CH以降、大会には出走せず、練習を積んでいた。


しかしながら、27大駅伝の1ヶ月程度前からは、新潟では記録的な大雪に見舞われ、満足のいく練習をすることができなくなってしまった。更に、直前の帰省期間では、彼の帰省した先には、獣が多く出現する為、ここでも練習をすることはできなかったようだ。


そんな逆境の中でも、彼は決して挫けることはなかった。長野県立飯田高校陸上部出身、新潟大学陸上部所属としての自負, そして自分への期待。強い気持ちを持って走り出した。



前半からハイペースでレースを進めたものの、早くもキツさが彼を襲う。
そんな中、彼を支えたのは、仲間からの応援、地元と陸上競技への愛、そして何よりも母校の襷であった。


キツくなってからも、決して足を止めないその姿に多くの観客は心を打たれた。その彼の頑張りには後続のオープンの選手のみならず、対校選手にも力を与えたに違いない。


力走のあと、それでも彼は満足そうな顔を見せることはなかった。やはり、彼の実力はこの程度のものではない。リベンジを誓い、最近(当ブログ執筆時点では)彼は朝練習でのjogをいつも以上に取り組むようになるなど、さらなる高みを目指して練習に励むのであった。














第二章努力家の苦悩


27大駅伝に出走するのは、各校の長距離ランナーだけではない。オープンチームには、各校のOBOGランナーや、長距離が専門外の短距離や中距離ランナーも多く出場している。


新潟大学からも中距離チームが出場し、中距離ランナーである、工学部1年の草薙啓太(北海道・札幌手稲高)も新潟大学Bチームにエントリーされていた。

※夏季の辛い練習をやり遂げ、満足そうな顔をする草薙啓太



彼は同期の中でもトップレベルの努力家である。ポイント練習(強度の高い練習)でも、彼はいつも限界まで自分を追い込み、練習が終わるとその場に倒れ込む。


あまりにも苦しそうに倒れることから、キャンパスを歩く一般大学生に心配されることもあった。


練習で毎回自分自身を超えることは並大抵のことではない。


どんなにいい練習が出来た感覚があった日でも、彼の様に出し切れたかと自分に問いかけると、大抵、彼には敵わない。


毎回、彼の凄さは改めて同期の中でも実感されていた。



しかし、彼にとっては中々満足のいかないレース結果が続いていた。それだけに、この27大駅伝に彼は懸けて練習に励んでいたのだった。





レース2日前。彼は苦渋の決断を下した。

少し前から痛めていた脚の調子が回復せず、懸けていた27大駅伝の出場を辞退したのであった。


あれだけ一生懸命やっていたのに、彼は悔しかったに違いない。それなのに、彼は当日、レースの安全を守る走路員を全うしてくれたのであった。


レースから2週間が経過した現在、彼は少しずつラントレーニングも再開しつつ、補強に励み、怪我の再発防止に努めている。この逆境を跳ね返し、彼はまた強くなって帰ってくるに違いない。














第三章始まる、33分台トリオの逆襲


時は遡り、10月15日。北信越CH 10000mには、新潟大学からも多くの選手が出場していた。その中で、33分切り, 32分台を目標に挑んだ3人の1年生がいた。


法学部の佐藤勇太(富山・氷見高), 教育学部の上田仁太(鳥取・鳥取東高), 経済科学部の金子敦哉(群馬・桐生高)の3人だ。


しかし、全員が32分台に肉薄したものの、誰ひとりその目標を達成することが出来なかったのだ。



これを機に不名誉である「33分台トリオ」は結成されたのであった。




そして、迎えた今回の27大駅伝。運命の悪戯か、新潟大学A(オープン)の4区~6区は、この33分台トリオ(上田仁太→佐藤勇太→金子敦哉)で襷を繋ぐこととなった。

この3人で密かに目標にしていたのは、信州大学の全てのオープンチームに勝つことであった。信州大学のオープンチームも強い選手が多く登録されていたことから、簡単な目標で無いことは十分把握してきたつもりであったが、一年間、同じくらいの競技力でずっと一緒に頑張ってきたライバルの絆は強い。

3人の、それぞれ苦しんだ時期は違えど、トリオでいたから頑張ることができた。ここでチームの底力を見せたかったのだ。


1~3区、2年生の先輩方の安定した強さが光った。4区の上田仁太に渡る頃には30秒ほどのリードを作ってもらい、そこから33分台トリオの意地の襷リレーで、上田仁太, 佐藤勇太と信州大学のオープンチームとのリードを保持したまま、最終6区の僕(金子敦哉)に襷が渡ろうとしていた。
※写真左:5区 佐藤勇太, 写真右:4区 上田仁太



10月の北信越CHで32分台を出せなかったあとから、僕は弱い自分との決別をテーマに競技に取り組んだ。意外にもすぐに調子はあがり、初めてポイント練習でインターバルをB設定でこなせるようになったり、走る距離を増やしても疲労感を軽減できたりと、生活面の改善だけでも効果は現れた。

しかし、11月中旬に新型コロナウイルスに感染してしまってから、調子が中々上がりきらず、12月上旬の東海大学記録会や、年末の平成国際大学記録会でも、不甲斐ない結果で終わってしまっていた。



不安を抱えたまま、中継所に立つこととなったが、いざ、同期の勇太が他チームの選手とのスパート勝負に競り勝って襷を運んでくる姿から、勇気をもらいスタートした。


最終6区、8km。終盤に信州大学のオープンチームに追いつかれても、スパート勝負できる余力を残せるように、落ちついてレースを進めた。

2km過ぎ、先にスタートした埼玉大学の対校チームに追いついた。1度後ろについて、一息ついてから前を追おうと思ったが、走路員を全うする草薙啓太が目に止まった。彼ならここで、休まずに攻めたに違いない。新潟大学オープンAチーム, 33分台トリオの分だけでなく、彼の分も頑張ろうと心に火がつき、そのまま前を追うことにした。

3kmを過ぎると、僕の地元である群馬大学のチームに追いついた。特に面識はなかったが、地元のチームであったので、個人的に並走するだけでワクワクした。すぐに突き放したかったが、お互いに抜きつ抜かれつ、接戦はラスト1kmまで縺れ込んだ。


ラスト1km、勝負が動いた。僕は群馬大学の選手にスパートを許し、3秒ほど先行されてしまう。中々、苦しい局面で正直諦めかけていたが、ゴールが近づくに連れ、勇太と仁太を始めとしたチームメイトの声が聴こえた。それに鼓舞されたのか、気がついた頃にはスパートをして、逆転し、ゴールしていた。信州大学のオープンチームからも逃げ切ることができた。




区間記録も悪くなく、練習も含め、久しぶりに満足のいく走りをすることができた。

良いときも悪いときも3人で切磋琢磨してきたおかげだった。33分台の逆襲はここから。






こうして、対校チームから遅れること数分、無事にオープンのもうひとつの27大駅伝も幕を閉じたのであった。

対校メンバー, オープンメンバー, 体調不良で走れなかった全ての選手が、この大会を機に新たな1年を再始動していく。

これからも新潟大学の躍進に目が離せない。















第零章プロローグ


こんにちは、こんばんは。あつヤング(金子敦哉)です。


かなりびっくりしているんですけど、今日の4日後またすぐに中長ブログが回って来ることが発覚いたしました!


流石に今回、この記事で時事ネタを書いてしまうと、次回のブログが超時事ネタになってしまうので、今回のブログは少し旬がすぎましたが、27大駅伝のことについて書かせてください。(なんやかんやまだ2週間だから許して湖)


サムネとタイトルもワクワクした感じでやりたかったので、某番組をオマージュしました。ただ、体裁はそれっぽくなってないですが、頑張って雰囲気出すのでお楽しみください。よろしくお願いします。













最終章エピローグ


かなり遅くなりましたが、27大駅伝お疲れ様でした。


対校選手を脅かす走りを! なんて思ってましたが、やっぱり強いなあと逆に圧巻されてしまいました。


そんな中でも、同期の元貴がトップレベルの走りをしていたり、先輩方の流石の走りを見たりして、自分もモチベーションが上がりました。


今の実力でこんなこと言うのはおこがましいですが、来年は対校のアンカーをやれるように頑張ります🔥


あと、このブログあんまり面白く作れなかったかも。すみません。でも、2週間前の気持ちをなんとなく思い出しながら書きました。


プロローグは雰囲気壊しそうだったので後ろに持ってきました。(もはやプロローグではない)


あとAmebaブログって動画3つしか貼れないんですね😭

いい動画が沢山あったのでどれにしようかめちゃくちゃ迷いました。


改めまして、27大駅伝楽しかったです。ライバルの3人で協力し合うのも楽しかったですし、謙くんが思った以上に早くてプレッシャーも感じながら挑めましたし、頑張り屋さんの啓太の分も絶対やろうと思って走りました。オープンチームでの出場でしたが、いい経験ができました!



今の自分はというと、3月の記録会で10000mで32'15"をターゲットに冬季練習に励んでいます。雪で中々思うように練習できないことが多いですが、何とか工夫をしてこの冬を乗り越えていきたいものです。


33分台トリオ内の序列変化は激しく、ただ今は二人が復帰途上だったり、足に不安を抱えたりしている状態なので、僕が頑張って引っ張っていきたいです。(僕が苦しんでるときも二人に引っ張ってもらったので)




というわけで、体裁気持ち悪いかもしれませんが、今回はこんな感じで終わります。


4日後のこの時間はベーカリーで会いましょう!


最後までご清覧、ありがとうございました。