コロナで露わとなるJR体制=民営化の破綻と新たな攻撃に立ち向かおう③
【先々号、先号で、今、JR各社の破綻的な状況を明らかにしました。今号では、その打開の矛先となっている、JR東日本の新提案についてです。】
●「現業機関における柔軟な働き方」とは
今、JR東日本は、ワンマンカー強行、みどりの窓口7割削減、第三セクター化など乗務員・乗客、そして組合の反対の声に耳を傾けることもなく強行しています。しかも、JR東日本は5月26日、「現業機関における柔軟な働き方の実現について」を提案してきました(来年3月ダイヤ改定時実施)。
これは一体何を意味するでしょうか。
コロナ禍で乗客の激減するのを受けて、グループ会社の経営陣まで「『変革2027』のスピードアップ」と言っています。そのめざすものは「『鉄道起点のサービスからヒト起点のサービスへの転換』」と言っています。その理由として「人口減少や自動運転の実用化など、経営環境は急激に変化しており、これまでの延長線で発想・行動していては、変化に適応できません」(『変革2027』深澤祐二社長、上写真)と。本来の鉄道業務からサービス業務へ転換し、利益をあげる計画です。そこから出てくる結論は、現業への合理化です。
●乗務員・駅要員削減、転籍、グループ再編
会社の提案の特徴は、現業機関の職名を廃止し、駅と乗務員をエリアごとに融合化し、「総括センター」「営業統括センター」をつくるというものです。これは、示された勤務のモデルを見るとはっきりします。「柔軟な(フレキシブル)働き方」とは、1日で業務が違う、すべての業務をこなす多能工化と言わざるを得ません。つまり、1万3千人(6千人が車掌)に達した乗務員を大合理化、それと一体で駅要員をも削減し、利益を上げるということです。また、このことは乗務員手当の見直しを見ても明らかです。そして1万人に達したと言われる管理職を削減するというのが狙いです。フレキシブルとは、会社の利益をあげるために、現場の労働実態を無視した効率の良い働き方を追求しようというのです。しかも、グループ会社に「60日」=2か月も「副業」を認めるとしています。さらにグループ会社を再編し、利益をあげることを迫るものです。
結局、JR東日本が本来の鉄道業務も別会社化し、現場には労働を強化し、持ち株会社として、子会社から利益を吸い上げるのです。本体含めてグループで分社化や社員の転籍を推進するものです。
●公共交通機関の投げ捨て、安全の崩壊
JR東日本は、これを労働組合も無視して強権的に進めようとしています。基本的スタンスが利益率にあります。しかし、現場はこうしたフレキシブルな働き方ができるわけがありません。何よりも安全がかかっているのです。 (続く)