コロナで露わとなるJR体制=民営化の破綻と新たな攻撃に立ち向かおう④
【3号に続くコロナ禍の問題提起です。】

●NTSの「過員活用」とは
  コロナ禍の影響は、NTSも直撃しています。6月25日の株主総会で新社長に就任した鈴木正昭(元新潟駅長)社長は、「今後の業務量の大きな変動が想定され、清掃関係を中心に大きな収入減になると見込まれます。この状況に対応するために、今後エルダー出向の皆さんが退職した後でも業務運営できるスリムな体制を構築し、社外への出向も含めた有効な過員活用を図る」(21年7月NTS『クリーン』331号)と述べています。これは、労働強化、出向・転籍、非正規職社員への雇止めではないでしょうか。組合はこれに反対して共に闘います。

●コロナで予想される車両製造減少、子会社「副業60日」容認
  J‐TREC(総合車両製作所)は、昨年末に住友商事と一体でフィリピン・マニラの地下鉄車両を受注し、一方で昨年の長野水害で使えなくなった北陸新幹線車両の再製造の影響もあり、新津事業所では23年度まで車両製造計画があると言われています。

 しかし、その後は明確ではありません。コロナ禍で、テレワーク、オンラインなどの導入で通勤・通学や新幹線も乗客が激減し、鉄道車両の需要減が予想されています。5月26日に提案された「現業機関における柔軟な働き方について」の提案の関連では、外注化・分社化の拡大、JR社員の転籍などの新たな動きに要注意です。
 また、5月26日の提案では、子会社には「60日間」の副業を認めるとしています。これは、JRTM(JR東日本テクノロジー)などの子会社にもっと利益をあげることを迫っています。JR東日本は、持株会社として分離して、子会社から利益を吸い上げ、一部のエリートだけが恩恵に預かる仕組みをつくろうとしています。(次号に続く)

 

 JR西・北海道の業務融合は縮小・消滅(『日刊動労千葉』NO.8988、21年8月4日号より)
 業務融合化は1990年以降にJR西日本や北海道でも実施されてきた。とくにローカル線地域において、西日本では「(地域)鉄道部」、北海道では「運輸営業所」が設立された。その中では、駅、車両、保線、建築、機械、電気等の職名が廃止・統一され、業務を融合化して徹底的に要員を削減された。例えば西日本では、〈車掌として約4時間乗務した後に入区作業、構内入換業務で出区8本・入区6本の誘導、3時間以上の改札業務を行って終業〉という作業ダイヤが組まれていた。こういった合理化は、「安全性がそこなわれていない範囲」で行うという建前だった。 だが、2000年代には効率化優先による安全軽視や技術継承解体が問題になった。JR西日本は05年に福知山線脱線事故(尼崎事故)を引き起こし、JR北海道は保線データの偽造など安全上の深刻な問題を引き起こした。