改憲阻み、解雇撤回の年に
2019年が始まりました。
昨年は、安倍政権の指示で東労組が崩壊させられ、「労働組合のない会社」作りが進んできました。JR東日本・深澤社長はグループ社長会で「職場改革で社友会と連携していく」と表明して、労働組合無視・解体を宣言しました。東日本だけでなく、貨物や北海道でも労組解体が進もうとしています。
「組合を解体してお座敷をきれいにして、床の間に新しい憲法を安置する」とは、30年前の中曽根首相の発言です。国鉄・JRでの組合解体と憲法改悪が一体であることをあからさまにしています。労働組合=労働者の団結と社会のあり方が、根っこから問いただされています。
そうしたなかで動労総連合は「三つの方向性」で闘います。
一つは、改憲と戦争阻止を、自分の人生をかけた真剣さで取り組みます。
二つは、働き方改革、非正規職化、労組破壊の攻撃に職場から反撃します。とりわけNTS(JR新潟鉄道サービス)非正規職解雇撤回の新潟県労働委員会の勝利命令を勝ち取って八代組合員の職場復帰を実現していきます。
三つは、新自由主義がもたらしている人間社会の崩壊、この現実に対して全国で地域住民と共に「生きさせろ」の運動を起こしていきます。
この三つの運動の方向性で必ず大きな運動を引き出すことができます。
「二度と戦争はやってはならない」は、戦後70年の意思でした。誰の意思かと言えば、労働者階級と農民をはじめとした全人民の意思です。岸信介(A級戦犯で逮捕され、後に首相。安倍首相の祖父)など一握りの支配層は、敗戦直後から再軍備や9条改憲をたくらんできたのです。
働き方改革や非正規職化や労組破壊は、憲法第10条以下に深く関係しています。労働者の職場環境は憲法改悪と直結しています。
そして社会崩壊との闘いです。年末の報道でも「私たちは健康で文化的な生活を営んでいるでしょうか。ただ、生き延びているだけではないでしょうか」という声が紹介されていました。災害で数年間も仮設住宅住まいを強いられ、将来も見えない住民が北海道に、東北に、熊本に、中四国などにいます。そんな地方で、鉄道線路を引きはがそうとしています。こんな国が「先進国」でしょうか。
私たちは、この三つの方向性をすえて2019年を進みます。JRとグループ会社の労働者の皆さん、職場の仲間と団結を作り出してJR資本と闘いましょう。
2019年1月1日 国鉄新潟動力車労働組合
鉄道事業に見切りをつける『変革2027』は
安全の崩壊と分社化・転籍・非正規職化もたらす
昨年7月、JR東日本グループ経営ビジョン『変革2027』が出され、それに基づいて11月「電気部門の変革2020」、12月「新幹線業務の変革について」が出され、年末年始に山手線で自動運転の試験が行なわれました。これは何をもたらすでしょうか?
深澤社長の『変革2027』の冒頭挨拶がすべてを語っています(〔 〕内は引用者)。
「人口減少や自動運転の実用化など、経営環境は急速に変化しており、…これらの変化を先取りしていくため、『鉄道を起点としたサービス提供』から『ヒトを起点とした価値、サービスの創造』に転換し、新たな成長戦略を果敢に推進していきます。…例えば、鉄道と二次交通との連携強化など、お客様がシームレス〔複数のサービスの垣根が低いこと〕に移動できる輸送ネットワークを実現していきます。…さらに、Suicaの決済・認証機能を活用して、日常生活において多用なサービスをお客さまにワンストップ〔1ヶ所で用が足りること〕で提供することをめざします」
●重大事故と地方の破壊招く
人口減少で鉄道の利用者が減って利益があがらないから、利益があがるエキナカビジネス、スイカなどの電子マネーに力を注ぐというのです。鉄道事業に見切りをつけるという大きな転換です。そのために「シームレスに移動できるネットワーク」として、ローカル線廃止=バス転換や乗合自動車化を狙っています。深澤社長は口先では「究極の安全が事業基盤」(11月22日グループ社長会)と言いますが、安全輸送体制は一顧だにされていません。羽越線事故、尼崎事故を見ても、利益を優先したために安全が軽視され、重大な死亡事故を招いたのです。このままでは大惨事を招きかねません。
しかも、エキナカビジネスは、地方の街を衰退に追い込み、「コンパクトシティー」と呼ばれる駅周辺だけの街にするものです。
●「社員・家族の幸福」ではなく生活・健康・ 命まで根こそぎ奪う
何よりも、「社員・家族の幸福」と言いながら、「勤務制度改正、改善活動、グループ会社との役割分担の見直しにより水平分業の効率化」「ドライバレス」(自動運転)を言い出しました。
JR本体では、鉄道部門の大合理化、乗務員勤務制度改悪=手当の剥奪となっていきます。山手線の自動運転化は、その始まりです。「水平分業」は、グループ会社に丸ごと外注化し、分社化をはかるものです。最終的には、持ち株会社=ホールディングスとして管理部門だけを本体に残すことになるのも明白です。
それは、一部のエリート社員だけがJRで、他の社員はグループ会社に転籍させ、非正規職に置き換えて、JRに利益をもたらすようにグループ会社にコストを削減させるものです。労働者を分断し、競争させて利益を拡大しようというのです。
●「労働組合なき会社」めざす
深澤社長は、これを推進するために「社員との接点として緩やかな情報交換の場である社友会があるが、こうした集まりを通じて会社が考えていることを社員に伝えるとともに、社員の考えを吸い上げていきたい」(11月22日グループ社長会)と言っています。
社友会は、会社の言いなりの「情報交換」=伝達機関にしか過ぎません。会社の施策を一方的に押し付けるものです。東労組をも解体し、「労働組合なき会社」をつくろうというのです。会社=資本の利益拡大のために、労働者は賃金や労働条件に文句を言わず奴隷のように働けというのです。県庁や市民病院のように過労死を生み出していくことは火を見るよりも明らかです。
労働組合がなければ、営利優先の会社=資本の思うがままで、重大事故が多発し、乗務員・乗客の命をも奪いかねません。労働組合はこうした経営者=資本家と闘って労働者と乗客の健康・命をも守ってきました。今、必要なのは『変革2027』と対決して闘う労働組合です。動労総連合に入りましょう。