事業本部部長はなぜ、「現金を要求したのか?」と
H課長に確かめなかったのか?
パワハラ被害者がどんな気持ちか理解しようとしているのか?
ストレスなく胸を張って働けるよう声をあげよう!
犯罪の告発があったのに事実確認をしなかった
3月15日に、JRTM(JR東日本テクノロジー)との団体交渉が行われました。今回は、H課長による一連のパワハラ行為と、それをかばってきた経営陣の姿勢を問いただしました。
●金銭要求は立派な恐喝行為
この間、H課長から「『あなたが原因で私は残業するはめになった。しかし私は残業手当が出ないので、あなたの残業代から私に渡すように』と金額を指定して要求された」などの行為があったと告発があり、3月13日に事情を聞く場がありました。これをめぐってて以下のやりとりになりました。
組合「金銭要求について、事実確認したのか?」
会社「必要があれば今後調査する」
組合「日時場所も特定されている。今さら何を調査 するのか?」
会社「だから、必要があれば調査すると…」
組合「H課長にも事情聴取したとのことだが、H課 長は金銭要求を認めたのか?」
会社「だから、今後必要があれば調査すると…」
組合「認めたのか認めていないのかお答えください」
会社「13日の場では…聞いていない…今後必要があ れば調査する」
組合「会社内における犯罪行為の告発があったのに 調べないなんて、この会社の危機管理能力はど うなっているのですか?」
会社「…(無言)」
組合「団交に出席している会社側交渉委員は、金銭 要求行為は犯罪かどうかお考えを聞かせてくだ さい」
会社「…(無言)」
事情聴取の場には、製造事業本部から部長や人事課長が江南工場に出向いて行われています。会社施設内で恐喝の可能性が極めて高い行為があったと告発されたのに、H課長には確かめていなかったのです。
●コンプライアンス窓口がコンプライアンス違反
さらに、1月16日にある社員がJRTMコンプライアンス窓口に通報し、総務課の岩永課長が話を聞いていました。これについて、会社側交渉委員に聞いたところ、全員「そんな話は聞いたことがない」と回答しました。つまり、コンプライアンス窓口は通報を受けていながら動いていなかったのです。こんなことが許されて良いはずがありません。コンプライアンス窓口は、労働者の相談など真剣に取り上げはしないのです。
●団交の席上で組合活動に不当介入
さらに、この団体交渉の席上で、社員について労働組合とどう関係があるのかと、聞き出す意図を持った会社側交渉委員の発言がありました。会社は社員が労働組合に入ることや関わりを持つことについて口出しすることや介入することは一切できません。法律で禁止されています。にもかかわらずこんな発言をすることは許せません。不当介入を厳しく指摘しました。
みなさん、いじめを見過ごさず声あげよう
H課長のパワハラは今に始まったことではありません。何年も前から複数の部下に継続して行われてきました。
数年前 品質管理課の管理者になって以降、 部下が困るような言動が出始める。
14年 あるパワハラ事件が発生
15年10、12月 団体交渉でGPS設置やビデオ撮影 などのパワハラ行為について交渉
16年5月 団体交渉で始末書強要に関して交渉
同年12月 団体交渉でバインダー事件で交渉
このように、ある時期はAさんに、その次はBさんに、さらにその次はCさんに…という形で対象を変えてパワハラ行為が数年間続いてきました。14年には、当時の五十嵐工場長がH課長に注意し、また、複数の現場社員からも対応を改めるようH課長に意見しています。そして、組合としては、15年より申し入れや団体交渉でこの問題に取り組み解決を図ってきました。しかし、会社側は一貫して話をごまかし、不当にかばってきました。
組合が問題にしたいことの一つは、会社側が数年間ごまかしかばってきたからパワハラが継続し問題がどんどん大きくなったのではないかということです。そしてその責任はとてつもなく重いのです。
●パワハラの野放しは許されない
もう一つ問題にしたいことがあります。それは、パワハラ被害者の苦しみや声を上げるに至るまでの葛藤と重い決断、まわりの関係者の悩みと決断の重さを経営陣はちゃんと向き合っているのかということです。
例をあげると、パワハラを受けていた社員が元気ないので、同僚が声をかけると、話しながら涙をポロポロながしていました。そこまでガマンしていた辛さは、どれほどのものだったでしょうか。また、やむにやまれず声を上げるに至った社員は「話を大ごとにしたくない」という気持ちと「でも泣き寝入りはしたくない」という気持ちが葛藤して悩み抜いて声を上げています。このつらさ苦しさを、決断の重さを経営陣はわかろうとしていますか? コンプライアンス窓口が動かなかったなど言語道断です。
また、組合は、15年よりH課長パワハラ問題に取り組んできましたが、組合機関紙での宣伝は余りしてきませんでした。なぜなら、話を大きくすることが目的ではなく、現場社員がストレスなく働けることと、円滑な人間関係にすることが目的だったからです。パワハラの責任を追及しつつも、どうストレスやトラブルなく仕事を回せるかと悩みながら取り組んできました。
しかし会社側は全く考慮することなく、事なかれ主義に終始してきました。それだけでなく、コンプライアンス窓口が通報を受けたのに動いていないとの情報を得たこと、
組合員へのパワハラについて態度を悪化させたこと、金銭要求という重大な行為が発覚し、現場からは「さすがにそれはやばい」「クビではないのか」「部下を持つべきではない」などの大変厳しい意見が出ていること、これらの事態を受けて、大きな決断をするに至りました。
こうなったすべての責任はH課長と会社側にあります。
組合としては、①H課長のパワハラもしくはいじめは犯罪の可能性が極めて高い行為であると会社が認めること、②日常業務に支障をきたしていることを認め、人事上の措置をとる、③数年間、問題をごまかし不当にかばってきた責任を明確にすること、④江南工場の全社員に説明し、また話を聞くこと、を求めます(左抗議文)。
●ものづくりの危機とモチベーションの低下
この間、江南工場の現場からは、「モチベーションが下がっている」「管理者のミスは明らかにしない。計画上の不手際や損失を出したことを明らかにすべきだ」「残業代を出したくないから、外注を増やしているのではないか」「外注を増やしては技術が育たない」などの声が出ています。ものづくりの危機やモチベーションの低下という大きな問題を抱える中で、パワハラ問題がとても鋭い形で露呈しているということではないでしょうか。
ストレスなく胸を張って働ける職場にしよう
●会社や雇用形態を越えた団結こそ職場を変える
昨年暮れには、JRTMの下請け会社の交通機械サービス八潮事業所で動労東京・八潮支部が結成されました。JRの外注化は、孫受け会社に低賃金と過酷な労働条件を強いています。それに対する怒りが団結を拡大しています。
この間、「あなたたちは何を目指しているのですか? 何をしたいのですか?」という質問をいただきました。私たちはのめざす職場は、誰もが胸を張って朗らかに働ける職場です。そのために、会社や雇用形態の垣根を越えて労働者が団結することをめざしています。
また、仕事に対する姿勢で組合への厳しい批判もいただきました。その通りであり、労働組合・労働運動は「自分たちはすべて正しい」というのではなく、内部に間違いや課題を抱えながらも、現場の同僚と一緒になって、解決し団結していくものだと考えています。ぜひ、ご意見を寄せていただき、ともに朗らかに胸を張って働ける職場にしていきたいと思います。動労総連合に結集しましょう。