前回は、二項対立的価値観の『いい加減さ』について語りました。
今回は、文字通り『良い加減』について考えてみたいと思います。
ある意味、二項対立は、物事をデジタル的に捉えているといえます。
解りやすくいえば、
物事を『オールorナッシング』、『オンとオフ』、『一か八か』など、
白黒はっきり分けて捉えているのです。
しかし、この世界には、純粋なる白も黒も存在しせず、
あらゆる物事は、灰色一色で表現せざるを得ません。
それは、黒と白のバランスにより、
濃淡の異なる無数の灰色が入り乱れた状態といえます。
つまり、この現実世界は、
デジタルではなく、アナログで構成されている訳です。
人間社会では、とかく物事を、『有と無』、『高と低』、『早と遅』、
『強と弱』、『長と短』、『重と軽』、『上と下』、『進と退』、
『多と少』、『大と小』など、デジタル的に分類します。
しかも、優遇されるのは前者ばかり。
それにより、あらゆる物事が両極端に偏り、
社会に様々な摩擦や障害を招いてしまっています。
つまり、バランスが悪い訳ですね。
何事にも、
最も上手く機能するベストなバランスというものがあります。
お風呂には湯加減、料理にも塩加減がありますね
同じような加減が、あらゆる物事に存在するのです。
考えれば極当たり前な事なんですが、
この辺を意識して生きている人は少ないと思います。
何故なら、多くの人が、健康、仕事、対人関係などに悩み、
ストレスを感じて生きています。
それは、思考や行動が一方に偏っているからではないでしょうか?
つまり、多く食べ過ぎたり、頑張り過ぎたり、
他人に期待し過ぎたりしているのです。
逆に、少食過ぎたり、怠け過ぎたり、
他人に遠慮し過ぎるのも頂けませんね。
これらのバランスが上手く取れれば、結果として、肉体は健康になり、
快適に仕事が出来て、周囲の人々と上手くいくようになるはずです。
我々が取るべきバランスは無限に存在します。
我々の、あらゆる思考や感情や行動には、
全てベストバランスがある訳です。
食事、睡眠、姿勢、歩き方、会話、
など、挙げればきりがありません。
ベストバランスを色で例えれば、まさに灰色となるでしょう。
そもそも、善悪とは、
物事を白黒で分けようとするから生まれるのだと思います。
つまり、ベストバランスとは、
善と悪が程よい加減で融和した状態ともいえます。
完全に融和した状態では、もはや善悪の区別はなくなります。
もちろん、現実的には有り得ませんが、
これを我々が目標とする事には意義があると思います。
次回は、人間の感情や行動を例にして、
バランスについて考えてみたいと思います。