<精神の解放1.>【21世紀の精神異常者】 | 始まりはアドラー心理学

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より、楽しい日々を送るために、
より、ハッピーな人生を過ごすためには、
どうすればいいのでしょうか?
そのための方法論や実践論を考えています。
ちょっと難しい内容かも知れませんが、
みなさんのお役に立てるような情報を伝えていきたいと思います。

僕は、今時の若者たちに時代の変化を感じています。
その兆候は『ゆとり世代』にありました。
いわゆる草食系男子の出現です。
そして今や、『悟り世代』と呼ばれる若者たちが現れています。
欲がなく、争いを好まず、心穏やかなところが、
まさに悟りを開いた僧侶みたいですね。
僕は、そんな彼らを見て、ニュータイプの出現を予感しています。
そう、ガンダムに出てくるアレですウシシ

今時の若者に対して否定的な意見もかなりあります。
無欲で争いを好まない部分は、
ライバルと競ってバリバリ働いて、
バンバン消費してきた昭和世代からすると
異質に感じるのでしょう。

 

昭和世代の男性がいっていました。
「今時の子は扱いが難しいキョロキョロ」と…。
それは、昭和人間がオールドタイプだからでしょう。
逆に、今時の若者からすれば、
昭和世代の方こそ『難しい』と思ってるかも知れませんね。

このように、新しいものが出てくると、
拒否反応を起こす人が必ずいます。
いつの時代でも、オールドタイプにとって、
ニュータイプは異質な存在なのでしょう。

かつて地動説を説いたガリレオ・ガリレイは、
天動説を信じる大衆から精神異常者扱いされました。
真実が解った現代では、
むしろ異常だったのは大衆の方だといわれてますからね。

『精神異常者』といえば、
キング・クリムゾン(イギリスのロックバンド)の
『21世紀の精神異常者』を思い出します。

詞の内容も去る事ながら、とにかく異質な曲調で、
誰もが「変な曲」と感じるでしょう。
これが1969年に存在したのも驚きであり、
21世紀の今になっても、けして色褪せない名曲です音符

歌詞にある通り、人間の欲望が100%解放されたら、
エゴ丸出しの精神異常者になってしまいます。
そこまでいかなくても、欲望の強い者は、

周囲にいろいろ迷惑を掛けますよね。
食欲ならば誰の迷惑にもなりませんが、
支配欲や征服欲は、社会に大きな問題を引き起こします。
悲しい事に、現実には、
弱い者をとことん利用するエゴイストが社会に大勢いるのですもやもや

欲望そのものに問題がある訳ではありません。
この欲望が、生きるための様々な動機や目的を生み、
あらゆる生態系を機能させる原動力になっているのは確かです。

やはり、大切なのはバランスでしょう。
どこで、どうバランスを取るか…?
それが、全ての人にとって、固有の課題になるのかも知れません。

本来ならば、生き物にとって、
欲望を自由に充たす生き方が理想となります。
例えば、野生動物は自由に気ままに生きていますね。
食べたい時に食べ、やりたい事をして、
その時々を楽しんでいます。
彼らには学校も企業も、お金や仕事もなく、
あるのは群れとの生活のみです。
タイムスケジュールや予定表もないので、
感じるまま、思うままで、自由に時を過ごす事が出来ます。

一方、人間たちは、
自由気ままに生きる事が出来ません。
特に社会化された先進諸国にいる人々は、
未開の地で生活している人々に比べると、かなり抑圧されています。
そのような立場にいる僕らは、
様々ある自己の欲望をTPOやルールに合わせて
一方向に統一化するようになりました。
統一化してるのは欲望だけでなく、
物事の認知や判断、価値観や行動も含みます。
以上を引っ括めた一定の型に縛られているのが、
僕ら現代人の姿です。

このように社会や集団に抑圧され、自ら作り出した自己像を
アイデンティティ』と呼びます。
簡単にいえば、その人ならではの『型』、『性格』、『キャラ』、
『個性』、『自分らしさ』などです。

アイデンティティは、
アドラーのいう『ライフスタイル』に似ています。
ライフスタイルとは、生まれてから今まで、
様々な対人関係を経て作られた自分なりの認知傾向や
思考回路や行動パターンが固まり、習慣化されたものです。

僕らは、周囲の人々と共存し、彼らの期待に応えるために、
自らの欲望や認知や行動を型に填め、
『自分』というキャラを作っています。
例えば、成人男性なら、家にいれば『旦那』や『父親』だし、
会社では『課長』という立場だったりするし、
一般社会では『サラリーマン』や『社会人』という目で見られます。
はたまた、仲間内では
リーダー的立場だったり、ムードメイカーだったり、
弄られ役だったり、各々が様々なキャラを演じています。
僕らは、そんな人間社会の中で自分の役目を果たそうと、
周囲の期待に応えようと努力しています。
そして、周囲の目を気にして、他人の評判を気にして、
自らの欲望を抑え、本心を隠し、いろいろと我慢します。
これが、僕らにとって
大きなストレスになってるのは明らかです。

 

以上の現代人の状態を

フランスの思想家、ジル・ドゥールズとフェリックス・ガタリが、

著書で述べています。

「資本主義社会で暮らす現代人の多くがパラノイア状態にある」と。

 

パラノイアは、精神医学だと

物事に対して妄想を抱く精神のタイプを指す言葉です(妄想家)。

まさか、僕らがパラノイアだったとは、実に驚きですが、

精神分析をすれば、そう定義出来るのだそうですガーン

 

現代人は、ルールや常識を重んじ、
様々な社会秩序に従って生きています。
結果、周囲に流され、周囲を気にして、
自らの願望や本音を抑えて我慢するようになってしまいました。
常識や良識、『普通』などという根拠なき型に自分自身を填め込み、
思考や行動を統一してしまっているのです。

しかし、僕らは自分を正常な常識人だと信じて疑いません。
そればかりか、自分の認知や判断を正義だと思い込み、
独自の価値観やスタイルを持つ者に『悪』、『異端』、
『バカ』、『変人』などというレッテルを貼って排除しようとします。
そして、自分自身も周囲からレッテルを貼られるのを怖れ、
本音を隠し、空気を読み、

次第に身動き出来なくなっていくのですショック

パラノイア化した人間は、
何でも自らの価値観で決め付けて、
それとは異なるものを拒絶します。
自分の価値観(常識)こそが『絶対基準(正義)』と思い込んでいるので、
それに当てはまらないものは認められないのです。
結果、新しい情報や多様な価値観を得る機会を棒に振り、
自らを成長させる機会を失ってしまいます汗

重度のパラノイア状態(妄想家)になると、
異なる価値観や嗜好を持つ人に敵意を抱いたり、
自分の価値観を押し付け、力付くで従わせるようになります。
これでは、他人に迷惑を掛けるばかりか、
対人関係そのものが崩壊し兼ねませんガーン

パラノイア状態が強まり、周囲に迷惑を掛けるレベルになったら、
メンタルヘルスでは『パーソナリティ障害』の範疇に入ります。
極端にいえば、ある種の精神異常であり、
この傾向を持つ人は、意外に大勢いるのです。

何故、現代人はパラノイアになってしまったんでしょうか?
次回は、その背景について説明したいと思います。