「お名前」
「住所」
「電話番号」
「ポイント利用の有無」
そして……
「マンションのオートロックの暗証番号」
韓国のネットショップで買い物をすると、注文時によく入力する情報だ。
私自身も、それを何の違和感もなく当たり前のこととして受け入れてきた。しかし日本に来て初めて、「これは日本ではなかなか考えられないことなんだ」と気づいた。
日本で暮らしていると、「本当に防犯意識が高い国だな」と感じる場面が何度もある。その一つが宅配文化だった。
韓国では、ネット通販で商品を注文する際、不在時でも配達員が建物に入れるよう、注文情報にマンションのオートロックの暗証番号を書いておくことが珍しくない。
そのため、ベテランの配達員になると、マンションごと、時には同じマンションの棟ごとの暗証番号まで覚えていることがある。
住人が在宅していても、わざわざインターホンで開けてもらうより、覚えている暗証番号を入力して自然に建物へ入り、玄関前に荷物を置いて、何事もなかったかのように去っていく。
韓国では、ごく当たり前の光景だ。
(韓国でまとめ買いして数日後、家に帰るとサンタが来ていた)
オートロックは配達員が自分で開けて入り、荷物を玄関前に置いて帰る。韓国では本当によくある光景だ。
高価な商品やテレビのような大型家電でもない限り、十中八九、このように配達されると言っても過言ではない。
一方、日本ではまったく逆の体験をした。
私が住んでいるマンションにもオートロックがある。
ある日、帰宅すると、一人の宅配員さんがエントランスでインターホンを押し、お客さんと連絡がつくのを待っていた。かなり長い時間待っていたので、おそらく不在だったのだろう。
ちょうど私がオートロックを開けて中へ入るタイミングだったので、私は当然、その宅配員さんも私の後ろについて入ってくるものだと思っていた。
ところが、私が中へ入っても、その人はその場から動かなかった。
「あれ? 入ってこないの?」
不思議に思って振り返ると、どこかへ電話をかけていた。
私の感覚では、そのまま一緒に入ればいいだけの話だった。
だからこそ、その光景には少し驚いた。
もちろん本当の理由は分からない。
ただ、配達員さんにとっては、お客様の許可なく建物の中へ入ること自体、とても慎重になるべきことなのだろう。
そのとき、「防犯に対する考え方そのものが、韓国とはずいぶん違うんだな」と感じた。
そういえば、私も日本で宅配を頼むと、Amazonを除けば、ほとんどの場合は玄関前には置かれず、「また来るね紙」みたいな紙だけが入っている。
(正式な名前を知らないので、私はいつも勝手に「また来るね紙」と呼んでいる。
なんだか面白い紙なので、もらうたびに捨てずに取ってある)
もちろん、どちらの国が良いとか悪いとか、そういう話ではない。
どちらにも長所と短所がある。
日本の強みは、やはり防犯意識の高さだろう。一方、韓国の強みは利便性にある。
韓国では、荷物を受け取るために配達時間に合わせて家で待つ必要がない。仕事で長い一日を終えて帰宅し、玄関前に積まれた荷物を見ると、まるで顔も知らないサンタクロースがプレゼントを置いていってくれたような気分になることさえある。
確かに、マンションのオートロックの暗証番号を住民以外の人が当たり前のように知っているというのは、防犯面では決して強いとは言えない。
しかし、その分だけ宅配を受け取る便利さがあるのもまた事実である。
どちらが正しいとは、一概には言えない。
韓国では、仕事を終えて家に帰ったとき、玄関前に置かれた荷物を見ると、うれしい気持ちになる。
一方、日本では、誰かが許可なく建物の中に入ってこないという点で安心することができる。
宅配文化ひとつを取っても、その国らしさが表れているように感じた。


