平成30年2月19日
自由民主党総裁・内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
自由民主党憲法改正推進本部長 細田 博之 殿
横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
<自由民主主義憲法条文完成に向けた方策の提示>(提議その1)
1、現状認識と方策
我が国の憲法は、前文第1項において「人類普遍の原理である自由民主主義の政治を国是とし、この原理に反する共産主義、社会主義、リベラル等の法律は一切排除する」と、自由民主主義政治体制を立憲しています。
しかしながら憲法の条文には二つの異常な要素が組込まれており、立憲された政治体制が機能しない不完成な憲法になっており、独立国の憲法とは言えない状態にあります。
第一の異常な仕組 連合国軍によって占領された地域の人々の憲法ですから、憲法の至高の条文である「政府が永久に保障し尊重すると約束する国民の基本的人権の具体的内容の記述(尊い習俗、法律、条約、同胞愛)」が欠落し空白となっています。憲法に国民という言葉があっても、これであっては法律上の国民は存在せず、亡国の植民地の土人に相当する人に適用する憲法です。
このような憲法は、欧米諸国の植民地管理運営規則と同じ内容です。
第二の異常な仕組 容共主義者である米国大統領ルーズベルト政権の官僚がマッカーサー司令部の有力ポストを占め、日本側共産主義勢力と結託して公職追放令をもって日本側公務員を脅迫して、立憲された政治体制を排除し、全体主義政治体制の革命に導く罠となる条文が憲法の随所に仕掛けられました。この罠を起点にして、法律ではない日本学術会議法学会等の憲法解釈の通説を文部科学省が採り入れることにより憲法第26条に違反する教育行政が行われています。即ち、立憲された政治体制の中核的概念である「基本的人権の尊重」が排除され、代わって「個人の権利尊重」という虚偽の概念が捏造されて、全体主義革命に傾斜した教育行政に拍車がかけられています。それにも拘らず戦後70年間、政治全体としては立憲された政治体制を今日に至るまで辛うじて維持してこられたのは、国民の習俗と自由を大切にした大日本帝国憲法時代に教育を受けた国民の多くが、自由民主主義政治を選好したことと共に、政権の座に長い自由民主党が多くの国民の意向を体した政治を行ってきた功績によると思います。しかしながら、今後も引き続いて憲法や行政にこのような異常な仕組を温存しながら政治を続けることは愚の骨頂であることは申すまでもありません。このような認識に立ち、立憲された自由民主主義政治体
制の蘇生にむけた方策を以下に提示させていただく次第です。
2、国際人権条約(社会権規約、自由権規約)の国内法制化
二つの異常な仕組は、立憲された自由民主主義政治体制を完成させることによって解消します。それは、所謂加憲による方法であって、憲法改正ではありません。しかし、第二の異常な仕組を正面から問題として採りあげることは、いたずらに問題を複雑化し、タッチ―極まりない結果を招くので、第一の異常な仕組の局面にしぼって進めるべきであると思料します。政府は、憲法前文第1項を根拠法規とした「自由民主主義を原理とした政治体制への整備に関する法律(案)」を準備して、堂々と国会の決議にかけるべきだ
と思います。
この「法律(案)」に採り入れられるべき立憲された自由民主主義政治体制の規範は、国連憲章に次いで高位の国際人権条約(社会権規約、自由権規約)において定められており、しかもこの条約は昭和54年に現行憲法の下に国会決議され、憲法第97条2項により「誠実に遵守することを必要とする」とされている憲法の最高法規であると先ず認識する必要があります。
次いで、この条約の第一部から三部までを抜粋して、「自由民主主義を原理とした政治体制への整備に関する法律(案)」として国会に上程し、国内法制化すべきです。
3、安全保障と武力の行使について
憲法第11条の国民の基本的人権が、具体的内容を伴った憲法の至高条文になりますので、政府が国民の基本的人権を永久に保障する政府の安全保障行為は、自衛権の範疇に入ります。公務員(自衛隊員を含む)は、国民の基本的人権を守る永久の奉仕義務があります。
また、第11条の下における武力行使について、第9条の制限がなくなります。なぜならば、憲法第9条は、憲法条文に拠らない憲法上の目的を持たない戦争行為について、国民は永久に放棄するとした宣言文です。宣言文は憲法が保障するものでないから、公務員は国民の基本的人権に対する奉仕義務が発生しておらず、元来行動を起こせません。国民は座して死を待つのみでした。しかし第11条の「憲法が国民に永久に保障した基本的人権を守る目的」は、第9条2項の「前項の目的」とは次元を異にしますので、武力行使の制限は第11条に及ばず、第11条の目的の下に武力を行使することは可能と思料します。この場合、第9条の条文は、現状のままとします。(その2へ続く)