平成30年1月30日
自由民主党総裁内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
自由民主党憲法改正推進本部長 細田 博之 殿
同 上 本部長代行 保岡 興治 殿
横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
「自由民主主義政治の確立に向けた憲法改正」
副題「日米の左翼が憲法解釈に仕掛けた大ペテン・基本的人権の換骨奪胎術等」
一、まえがき
1952年に行われた共産党志賀義雄議員の発言は着々として効果を上げて、今や有権者の
3~40%に達する強大な政治勢力に発展して来ているとみられます。曰く「何も武装闘争な
どする必要が無い。共産党が作った教科書で社会主義革命を信奉する日教組の教師がみっ
ちりと反日教育を施せば、3~40年後にその青少年が日本の支配者となり指導者となる。」
日教組の反日教育の理論的脊柱は、日本学術会議法学会や法曹界にして、連合国軍によっ
て占領されていた時代において、マッカーサー司令部と日本側の両容共勢力が結託して公
職追放令で公務員を脅かしながら構築されました。「自由民主主義を原理とする政治を国是
とし、この原理に反する一切の法律を排除する」憲法冒頭に掲げた憲法の理念が、反日勢力
の大ペテンによってどのように崩されてきたのか、憲法改正以前に知る必要があります。
同時に、政権政党である自由民主党は、改めて日本人が大切にしなければならないものは
何か、或いは普遍の原理である自由民主主義政治体制とは何かについて思いを致し、その政
治体制の軌範を定めた国際人権条約(社会権規約、自由権規約)を参酌することによって、
失われた日本国憲法の精神を究め、政治体制の立て直しに根本的に取り組まねばなりませ
ん。このような問題意識をもって、敢えて以下の私見を述べさせていただきますので、憲法
改正のための資料としてお役に立てれば幸いと思う次第です。
二、憲法と国際人権条約との関係
1、憲法が最も大切にしていることは、憲法前文第1項で述べられている通り、自由民主主
義政治体制の確立です。その体制の軌範は、昭和54年に締結した国際人権条約(社会権
規約、自由権規約)に唯一記されています。我が国はこれを憲法第98条の最高法規とし
て誠実に遵守することを必要とする国際的義務の遵守を約束しており、この義務を果た
すために必要な憲法改正が行われた時に、自由民主主義政治体制が確立し、真の独立国の
憲法になると認識します。
2、自由民主主義政治体制が最も大切にしていることは、国民の基本的人権(Fundamental
Human Rights)でありまして、憲法はこれを永久に保障するとして憲法の至高の条文と
しており、国民の宣言文である憲法第9条を除く他のすべての憲法の保障文は、全て憲
法第11条の基本的人権を永久に保障する構文となっています。
国民の基本的人権とは、「recognition of the inherent dignity and of the equal
and inalienable rights of all members of the human family is the foundation of
freedom, justice and peace in the world,」(意訳、世界の自由、正義、平和の基本と
される基本的人権とは、日本国の元首である天皇(マッカーサー三原則参照)のご家族を
含む共同体を構成する全ての家族の人々(all members of the human family=
Individuals)が歴史的に形成した固有の尊厳と同胞愛であって、国が認定(Recognition)
したもの」とされています。基本的人権には同条約第5条2項に示すように法律と習俗
(Custom)」があり、尊い習俗には「我が国の場合で言えば神道、多神教、日本仏教、君
民一体の愛、伝統、文化、道徳、慈愛等が属する」と理解されます。
換言すると「基本的人権」とは、「国民の主権」或いは「国体」を意味するものであって、
「国民の自尊心」「大和魂」でもあります。国連憲章に次いで高位の国際法・国際人権条
約は、健全なナショナリズムの下に内政を重視することが、世界平和の基本としています。
基本的人権は、自由民主主義政治における根幹に据えられた法律用語ですから、国会は先
ずこれを憲法に定めることによって、憲法の礎を固めなければならないのです。別に、基
本的人権の具体的内容の登録、削除の手続を定める一般法の新規制定が必要です。
3、自由民主主義政治体制が次に大切にしているものは、国民が生まれながらにして有する
自由即ち、基本的自由(Fundamental Freedom)です。しかし自由は放置すると争いが発
生して自由が享受できなくなりますので、国際人権条約は第3部に計32条文の「個人
(Individual又はEveryone)の自由(Liberty)と権利」を条件として創設し、各個人が自由を享受できるようにしました。これは「基本権」と称されています。
これ等の創設された「個人の自由と権利」は、個人の権利として憲法が尊重する対象では
なく、個人が不断の努力で保持する義務を負い、濫用を慎む義務を負い、常に公共の福祉
のために使用する義務を負った、個人の義務条文です。決して個人の権利条文ではありま
せん。(反日勢力はこれを権利条文と化す、ペテンを仕掛けています。後述参照)
このために、<「個人の自由と権利」は義務条文であることを明確に記した憲法改正と同
時に、国際人権条約に示された「個人の自由と権利」の行使に伴う諸々の制限について、
民法等に示す必要があると思います。>
4、憲法は、憲法と国民個人個人との間を規律することにより成立しています。この点同条
約は前文末尾に次のように規定を設けています。「Realizing that the individual、
having duties to other individuals and to the community to which he belongs, is
under a responsibility to strive for the promotion and observance of the rights
recognized in the present Covenant,」(意訳、個人は、基本的人権を帯する人々や、個
人が属する共同体に対して尽くすべき義務を負っていること、並びにこの規約において
認定された権利即ち基本的人権の増進及び擁護のために努力する責任を常に負っている
ことを認識すること。)従って、国民個人は挙って、憲法第99条憲法尊重擁護義務(第
11条の国民の基本的人権を永久に安全保障する国防の義務を含む)を負わねばならない
と解されます。
このために、次の憲法改正が必要と思料します。
(1)個人が、憲法第11条の基本的人権を増進、擁護する義務条文を新設する憲法改正、又
は、憲法第99条(憲法尊重擁護義務)の義務者に「個人」を追加する憲法改正。
(2)個人が、基本的人権を帯する人々や、個人が属する共同体に対して尽くす義務条文を
新設する憲法改正
(3)基本的自由を享受するために憲法条文の中に条件として創設した「個人の自由と権利」
条文を特定し、不断の努力で保持する義務条文であることを明記する憲法改正。
三、文部科学省が推進している反日教育の実体と抜本的措置
1、憲法第26条「教育は法の定めるところにより行われる」規定に違反して、文部科学省が
推進した反日教育行政が累々としてあります。次の例示を参照願います。同時に、立法機
関である国会が定めた法に従い教育するとしているのであるから、教育に関する原責任
者は国会にあることが明らかであるにも拘わらず、国会議員がそのことを全く意識せず、
主客転倒しているところに、反日教育の源があります。抜本的に教育に向き合うべきです。
例示1、文部科学省は、日本学術会議法学会や法曹界等の左翼勢力の学説を「憲法解釈の
通説」となし、法律ではないこれを義務教育諸学校教科用図書教科書検定基準に
採り入れて法案を作り、国会で議決して法律と為して作成され教科書を教育委
員会に採択させています。斯様な検定基準は、法的効力が無い筈です。
例示2、文部科学省は、教育基本法第1条(教育の目的)を無視した違法な内容の「教育
振興基本計画」(平成26年6月14日閣議決定、A4版79頁)について、国会報
告義務を怠ることにより法律とせず、地方教育行政の組織及び運営に関する法
律改正案を国会議決(平成26年6月20日法律大76号)し、法律でない「基本
計画」を全国の地方自治体首長に対し普及責任、教育長に行政責任を負わせて、
違法な反日の教育を日本全国の公立学校に撒き散らしています。
四、第一の大ペテン
<反日勢力は、何よりも自由民主主義憲法の至高条文である第11条の「国民の基本的人権
尊重」の抹消と、これに代わって「個人の権利尊重」を挿入し、基礎のところで自由民主主
義を転覆し、全体主義革命に転じる事を意図しており、これに関し仕掛けられた大ペテンを
以下詳述します。>
1、反日教育のために捏造された「個人の権利尊重という似非基本的人権の尊重」
憲法第26条により法の定めるところにより行われるべき文科省教育行政において、日
教組勢力に冒された文部官僚は、法律ではなく学者の「憲法解釈の通説」である<個人の
自由を認めない「個人の権利尊重」という出鱈目な「似非基本的人権尊重」教育を捏造し
て、全体主義教育を全国の義務教育学校において行っています。
2、教科書等に仕掛けられた「似非基本的人権」
文部科学省検定済みの中学校公民教科書に、「似非基本的人権」が記載されています。
因みに、下記教科書会社2社の「似非基本的人権」の冒頭の部分だけ抽出してみました。
東京書籍の教科書34頁<人権思想の成立「人権とは、人が生まれながらにして持ってい
る人間としての権利のことです。人間は個人として尊重され、自由に生き、やす
らかな生活を送ることができなければなりません。それを権利として保障した
のが人権(基本的人権)です。」(注、基本的人権とは、習俗、習慣、法律等を言
うのであって、個人の権利を言うことはありません。)
同 教科書40頁<人権を保障するということ「私たちが自由に人間らしく生きてい
くことができるように、平等権、自由権、社会権、参政権などの基本的人権が保
障されています。人権の保障は、一人一人の個性を尊重し、尊厳をもって人間ら
しく扱うという「個人の尊重」の原理(憲法第13条)に基づいています。>
(注、自由権、社会権は「個人の自由と権利」を創設したもので、基本的人権で
はありません。)
育鵬社の教科書62頁 <日本国憲法は、第3章「国民の権利及び義務」(10条~40条)
において、「自由権」「社会権」「参政権」「請求権」などの幅広い国民の基本的権
利の保障を定めています。第11条ではこれらの基本的権利を基本的人権と呼び、
これを侵すことのできない永久の権利」として、現在及び将来の国民に与えられ
ると宣言しています。この基本的権利の保障の根底にある考え方は、「個人の尊
重」の思想(13条)」である。>(注、国際人権条約定義に矛盾した説明です。)
参考までに、広辞苑(第7版)732頁には、次のように記載されています。
<人間が生まれながらに有している権利。人は生まれながらにして自由かつ平
等であるという主張に表現されており、アメリカの独立宣言やフランスの人権
宣言により国家の基本原理として確立。日本国憲法は、平等権、社会権、自由権
の他、基本的人権を現実に確保する参政権などについて規定―世界人権宣言>
両社教科書と広辞苑の「似非基本的人権」の内容が共通しているのは、文部科学省の教
科書検定基準とされた「憲法解釈の通説」がそのように定められているからであり、仮に
両社が正しい「基本的人権」を記述した時は、教科書の発行が許可されないことを意味し
ています。広辞苑は不特定多数の日本人の反日教育に一役かっていることを意味します。
五、第二の大ペテン
反日教育は、文部科学省が「国民の基本的人権尊重」を「個人の自由と権利の尊重」に入
れ替えるペテンを仕組んで、これに基づく「教科書」や「教育振興基本計画」により行われ
ていることを「第一のペテン」で述べました。しかし見る人が見れば、「第一のペテン」は、
単純に成立しないことが一目瞭然です。なぜならば、憲法第11条の「国民の基本的人権」
が権利条文であるのに対し、第12条の「個人の自由と権利」は義務条文であるからであっ
て、これを権利条文に転化させる第二のペテンを捏造しなければなりません。
そのために仕掛けられた第一の装置が憲法第97条(基本的人権の本質)です。この条文
を読むと、いかにも「基本的人権」は「個人の自由と権利」と同等のものに思えてきます。
嫌日、容共の米国ルーズベルト大統領の子分と言われ日本国憲法制定に関与したマッカー
サー司令部民政局に居た人物の後日談に、「日本国憲法で一番成功したのは、第97条であ
る」があります。憲法第97条という虚偽条文は、日米合作だったということでしょう。
第二の装置は、マッカーサー憲法草案第12条「All Japanese by virtue of their
humanity shall be respected as individuals.」(意訳、人道を帯した全ての日本人は、基
本的人権を歴史的に形成した家族や共同体の人々として尊重される)を意図的に誤訳した
ものが仕掛けられました。この条文を憲法第13条冒頭文「すべて国民は、個人として尊重
される」と捏造して、これを尊重される憲法第13条の基本的人権に準ずる権利条文(生命、
幸福追求の権利)の中に挿入する目くらましすることによって、「個人の自由及び権利」と
いう義務条文をして、国民の権利条文に転化させる第2の大ペテンが仕組まれました。
六、憲法第1条(天皇)の改正と憲法第11条に2項、3項を新設し自衛軍を置く
国際人権条約に整合させる上述の憲法改正の法案が完成し且、憲法第11条(基本的人権
の享有)の下に「基本的人権登録・削除法」が成案を見た後において、憲法第1条(天皇)
の改正並びに憲法第11条に安全保障の条文として2項と3項を新設し自衛軍を置くものと
します。
(1)第1条(天皇)<改正案>
「天皇は、日本国家の元首にして、日本国民と一体を成して統治権を総攬し、
憲法の条規によりこれを行う」(注、日本国は、世の安寧を祈る神道の祭司である天皇を元首とし、国民はその胴体とする、両者が一体(Unity)を成している国家にして、憲法の条規に従って夫々の役割を担うものとします。英国がUnited Kingdoms,米国がUnited Statesに対して、日本国家は古より君民一体のUnited Familiesであって、世の人々の心をいやす温もりのある国家ということです。)
(2)第11条に2項と3項を新たに設けることとします。
2項「世界平和の基本にして、且つ侵すことのできない永久の権利である日本国
民の基本的人権は、天皇と国民とが歴史的に形成した尊い習俗、習慣、法律
及び領土、領海、慈しみの心である。その具体的個別内容は原則として法律
をもってこれを定め、または廃止するものとする。」
3項「基本的人権を侵す武力攻撃が発生する場合には、自衛軍をもって個別的又
は集団的自衛の固有の権利を行使して、国民の基本的人権の安全を永久に
保障するものとする。」
(注、固有の権利である「国民の基本的人権の安全を保障する目的」と「武
力の保持と武力の行使」の条文を挿入することは、憲法第9条1項の「戦
争目的」とは全く次元を異にする目的であり、我が国が遵守を約束してい
る国連憲章でも認められていますので、第9条2項の戦争目的に対する制
約を受けることは無いと思料致します。なお現在の第9条の条文は、変更
する必要はありません。)以上