9月22日千葉地裁判決に憲法違反の疑いあり(意見) | 日本世論の会 本部

日本世論の会 本部

各支部並びに会員相互の交流と広報を目的としています。

平成29年9月25日

最高裁判所長官 寺田逸郎 殿

「写し」内閣総理大臣 安倍晋三 殿

    衆議院議長  大島理森 殿

    参議院議長  伊達忠一 殿

 

日本世論の会神奈川支部 監事 湯澤 甲雄

横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222

               

9月22日千葉地裁判決に憲法違反の疑いあり(意見)

 

 9月23日産経新聞「原発避難者 千葉訴訟」の記事参照。

参照記事は<22日千葉地裁判決は、国の賠償責任を否定する一方、「ふるさと喪失」の慰謝料が賠償の対象となることを事実上認めた>とあります。これは「国或いは東電の違法な行為により損害を受けた訴人に対して、その原因を作った

国或いは東電が損害を埋め合わせるべく賠償を求める裁判です。

 そこで憲法第31条を見ますと「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない」とあり、法人である国家機関も東電もこの法文の下に在ります。すると千葉地裁は、国や東電が違法行為者であることについて、先ず原子力損害賠償法に定める手続きにより賠償の対象であることを判断する立場にあります。ところが千葉地裁は、参照新聞記事を読む限りでは、このような判断を下した形跡が全く見られません。国と東電は頭から犯罪者であると言わんばかりの扱いをしています。

 

 特に、原子力損害賠償法第3条は「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない」とあります。この規定によれば、前段の場合は東電のみが賠償責任を負いますが、後段の場合は国も東電も賠償責任がありません。しかも世間常識的には「マグニチュード9という異常に巨大な天災事変」によって原子力損害が発生したとみられるので、国も東電も賠償責任が無いとみられます。この点の判断が欠落し

た判決であるならば、それは欠陥裁判と言えると思います。判決文には、どのように書かれているのでしょうか?

 

 罹災者の「避難生活の慰謝料」「ふるさと喪失慰謝料」等については、「災害対策基本法」や「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和37年9月6日法律第150号)」(発生した災害のうち、その規模が特に甚大であり国民生活に著しい影響を与えたものに対して、地方公共団体都道府県市町村)及び被災者に対する復興支援のために国が通常を超える特別の財政援助または助成を行う事を目的として作られた法律である。一般的には激甚災害法と略して呼ばれる)があり、平成23年(2011年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による災害は激甚災害に既に指定されている

ので、裁判所は「災害対策基本法」により補償判決を行うべきと思料します。

 

 原子力発電は、国策民営事業であり、原子力規制委員会の世界一厳しい判断の下に審査された原発を再稼働させる内閣方針があり、依然として国策です。人事院規則14-7政治的行為の政治的目的「国の機関又は公の機関において決

定した政策(法令、規則、又は条例に包含されたものを含む)の実施を妨げること」は、国家公務員法第1条3項並びに第102条(政治的行為の制限)に抵触すると思われます。

 千葉地裁と同種の訴訟が全国で約30起こされているとのことでありますので、訴人の法益が守られるとともに、国策に配慮した判決が望まれますので、制限された政治的行為を侵す判決となることの無いよう、最高裁判所として憲法第81条(違憲審査権)の下に下級裁判所の指導が望まれると思う次第です。

 

以上

 

追記 原子力規制委員会は、新しい基準による厳しい審査を行ってきていますが、その中には原子力事故防止について次のような報告があり、同委員会の職務が前進している様子がうかがえます。騒音と環境汚染を撒き散らし続ける自動

車業界の毎年事故死者数約4千人との対比においても、原発業界が風評被害に曝されている実情を冷静に見詰める必要があります。

1、原発サイトの内外を含めて放射線被ばくによる確定的な健康影響は認められていない。

2、5km圏内の住民は放射性物質の放出前に避難し、30km圏内の住民は自宅ないし最寄りの適切な施設に屋内退避することで、避難時の混乱や被害を防ぐことができ、放射線被ばくのリスクを低減できる。

3、新規制基準に対応した原子力施設では、基本的には無理に避難しなければならない事態が生じる可能性は極めて小さい。