「天災」を「天災」と認定した原発行政への転換等(提議) | 日本世論の会 本部

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平成29年9月19日

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

財務  大臣 麻生太郎 殿

経済産業大臣 世耕弘成 殿

 

日本世論の会神奈川支部 監事 湯澤 甲雄

横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222

 

「天災」を「天災」と認定した原発行政への転換等(提議)

 

 9月18日産経新聞記事「規制委 手探りの審査」参照。

 関東大震災の30倍も大きい東北大震災に対して、「天災」(風水害、地震、落雷など自然現象による災害)ではなく「東京電力福島第一原子力発電所が起した人災」であると「菅直人総理の断定を前提」として処理してきた原子力行政が、田中原子力規制委員会委員長の退任を前にして、混迷し、迷路に突き進む状況が現出しています。当時を振り返れば、菅総理は経済産業省・保安院の職員と学者の質の低下のため、急遽福島第一原発に飛来して東電役職員から直接事情聴取

した上で、民主党政権の政治能力では処理できないと判断し、東電に責任を転嫁して災害保障から逃れる口上として「第一義的責任は東電にあり」と宣言して、責任者の存在する「人災」としたと思います。

 

 参照記事によれば、地震を起こす活断層の評価について、<過去に動いていない断層が「将来動く可能性は否定できない。将来動かないことを示すのは悪魔の証明で、科学的ではない>とあり、どんな場合(天災)でも「人災」とされ規制

委員会や東電が責任を負う立場に立たされるので、安全審査が行き詰まってしまうとあります。これでは規制委員会として原発再稼働に永久に安全宣言ができないので、結局規制委員会が国民の信頼を失い、再稼働を前進させることがで

きないと、奈良林直・北海道大学特任教授(原子炉工学)が指摘しています。

ご尤もなことであります。

 

 このために田中委員長は、例え法律に反するとしても、東京電力に一切の責任を転嫁し委員会は責任を負わないで安全で居られる行政制度を作るべく、強引に東京電力に適格性審査制度を引き受けさせることを始めました。また、地方自

治法第2条(法律遵守)に反する原発稼働反対のポピュリズムで当選した前泉田知事の跡を継ぐ米山知事は、<地元同意の判断に福島第1原発事故の検証が必要との立場で、「少なくとも3-4年かかる」>と、勝手に原子炉運転時期を決め込んで原子力規制委員会設置法や原子炉の規制に関する法律に違反する行為を行っています。また、柏崎原発6号機、7号機の再稼働は認めるが他の5基の原発の廃炉を求めると桜井雅浩柏崎市長も無法を主張しています。これ等の知事や市長の主張について、東電の保安規定にそれを記載させることによって東電に法的義務を負わせて、規制委員会は問題から逃げることを画策しています。

 

このように我が国の原子力行政は、国会の決議も経ることなく原子力規制委員会の主導により、法律から乖離する方向に今導かれようとしています。しかし政府は絶対にこれを排除すべきです。

 この問題の原因を探れば最初のボタンの掛け違いにあり、原子力損害賠償法第3条後段の「ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない」の条文の適用に戻し、政府が国策民営事業の責に任ずるならば、奈良林教授指摘の問題が解決します。

「天災」は「天災」と認めるノーマルな状態に戻し、政府がその損害を賠償する責めに任ずることです。但し、政府が支払った損害賠償額は、電力業界を含む国民的負担で長期的に回収する法律を別途制定する必要があります。

 要するに、「天災」の損害に対する責任者が存在する限り、原発行政は成立しないことを知るべきであります。

 

 その他次のような停滞している原子力行政を推進する具体策を練るべきです。

(1)風評被害の防止責任も東電に着せようとしています。しかしそうではなくて、経済産業省の中に風評対策室を設けて、原発に限らず全ての風評被害に対処する窓口を設置して、被害を受けた地方自治体や当該業者と共に、風評発信源に対して止めさせる行動を起こす組織を立ち上げるべきです。

(2)委員会は、政府に対し「天災」判定の基準設定を求めるべきです。例えば、過去に永年動いていない断層が動かないで起きた事故を「人災」とし、断層が動いて起きた原発事故を「天災」するとか、それでもマグニチュード9以上の地震で起きた事故を「天災」とする等です。

(3)原子力規制委員会は、無害とされているトリチウム水の放水を東電に命じ、第1原発事故処理の促進を命ずるべきです。東電は、放水を風評対策室に報告すべきです。

(4)全く無害となった「核のゴミ処理」も重要な国策です。このためには、ごみ処理場所の提供を拒絶する地方自治体からは、しかるべき交付金等を削減することとし、風評対策室と総務省と連携して地方自治体と交渉にあたる関係法律を新たに制定する必要があります。

以上