平成29年8月15日
内閣総理 大臣 安倍 晋三 殿
衆議院 議長 大島 理森 殿
参議院 議長 伊達 忠一 殿
最高裁判所長官 寺田 逸郎 殿
日本世論の会神奈川支部 監事 湯澤 甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
自由民主主義を原理とする政治体制の完成に向けて(意見)
累次ご報告の通り、我が国の憲法は前文1項において、「自由民主主義を原理とする政治を国是とし、この原理に反する一切の法律を排除する」と立憲しています。そしてそれは占領下において制定された憲法であったので、未完成の憲法で
ありました。昭和54年に至り国際人権条約(社会権規約・自由権規約)を締結した結果、自由民主主義政治体制の法的枠組みと至高の条文である「国民の基本的人権の具体的中身」を知るところとなりました。しかしながら同条約に基づく憲法改正は、「右翼の台頭」と呼称する左翼勢力の大合唱と同時に、国際社会の圧力が加わり、挫折の歴史が繰り返されてきました。近年に至り、安倍総理大臣のご尽力もあり、議会における改憲勢力の伸長と日米主敵間の和解が成立し、改憲を含む自由民主主義政治体制の完成に向けた環境が大幅に改善されました。
そこで立法、行政、司法の三権におかれましては、「改憲を必要とし国民投票により解決する問題」と「憲法解釈の通説等で曲げられた行政を修正する問題」とに分けて、早期に自由民主主義政治体制を完成に近づける方向に取り掛かる意識をもって、挙って積極的に行動を開始すべきと思料します。
特に後者については、最高裁判所は憲法第81条(違憲審査権)の下に、日本学術会議法学会を含む憲法学界や弁護士会において流布された「憲法解釈の通説」が、教育行政に影響を及ぼしている文部科学省の処分について、憲法に適合
するかしないかを決定する権限の行使を含むものであるべきと思料します。また行政府においては、内閣府に「自由民主主義政治推進室」という専門の機関を設置し、「基本的人権認定法」を新たに制定し、国際人権条約に規定された自由民主主義政治の法体系の完成に向って前進させるべきと思料します。
即ち、これによって「基本的人権の具体的内容」が確定しますので、これを永久に保障する国の義務を規定した第11条の条文が、今迄の死文から蘇るのであります。同時に、同条約に規定された「国民は常に基本的人権を増進・擁護する義
務を負う国際公約」に関し、憲法第98条2項の「これを誠実に遵守することを必要とする」条文によって、憲法上の効力が発生します。これにより「国民の基本的人権を専守する自衛権」に関する憲法上必要とされる法体系は、「合わせ技」で完結したものと見られます。
憲法第9条(戦争の放棄・戦力の不保持・交戦権の否認)は、国民の宣言文であり、憲法の国民に対する保障文ではないので、第9条に対する公務員の憲法第15条の奉仕義務は発生していないとみられます。第9条の憲法改正は不要です。
追記
1 国際人権条約に規定された基本的人権の英語の原文を、日本国民の基本的人権に意訳すると次のようになります。
「日本国民の基本的人権は国によって認定された<家族並びに共同体を構成する全ての人々が歴史的に形成した習俗並びに、多神教としての神道や日本仏教(古代仏教、キリスト教、儒教、神道の習合)等の習俗宗教、神道を祭祀する天皇と国民が一体を成す慣習、先祖崇拝の習俗、伝統、道徳、文化、法律、領土、領海を含む固有の尊厳>及び慈しみの心」であります。これが日本国の体(国体)であり、日本人のアイデンティティであり、平和愛好の基本です。
他国には、上記日本国民の基本的人権と全く同じような国民の基本的人権があります。国際連合とは内政を重視するナショナリズム国家群の集合体であって、同条約第5条に規定するように他国の基本的人権を侵さない約束の下に成立しています。日本の基本的人権を右翼とする左翼の批判は的外れです。全体主義国家には国民の基本的人権が無いからです。
2 文部科学省が憲法学界の通説を採り入れてそれに基づいて作成され、検定された東京書籍の中学校公民教科書34頁「第2章 人間の尊重と日本国憲法 2人権の歴史 人権思想の成立」の一部のみを表示してみました。
「人権とは、人が生まれながらにして持っている人間としての権利のことです。人間は、個人として尊重され、自由に生き、やすらかな生活を送ることができなければなりません。それを権利として保障したのが人権(基本的人権)です」
とあります。
この記述を国際人権条約に照らしてみると、最初から最後まで両者が共通するところがありません。自由民主主義を原理とする政治、全体主義を原理とする政治の志の違いによるものです。こんな教科書は、使用禁止すべきです。
3 憲法第13条「全て国民は、個人として尊重される」は、「Individuals」(複数)を意図的に単数に誤訳したものです。同条文の後段は複数で翻訳されています。
以上