平成29年5月3日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
「憲法第9条3項を新設して自衛隊の条文とする案等」(提議)(修正分)
5月3日BSフジ プライムニュースにおいて、安倍総理が憲法改正に関する談話を出され、その中で「憲法第9条に3項を新設して、自衛隊の条文を挿入する案」があったことを知りました。率直に言わせていただきますとこの案には賛成いたしかねます。
以下に不賛成の理由と提議を申し上げます。
1、 憲法9条は、ポツダム宣言の日本軍の無条件降伏を表しているものであり、二国間条約や主敵であった日米間の和解が成立しているのですから、新憲法に9条(戦争放棄)の痕跡を残すべきではありません。
2、 自衛が必要とされるものは、憲法の至高の条文とされている憲法11条「国民の基本的人権(正しくは基本的大義と翻訳されるべきもの)」です。しかしそれが具体的に何であるかについて、国はそれを認定(Recognition)しなければならないと、国際人権条約(社会権規約、自由権規約)に定められています。換言すると、守られるべき国民の主権の内容あるいは国体の内容について、国会は憲法を改正して定めることを先決すべきです。
3、 現行憲法は、至高の条文である11条を他の全条文(但し9条は除かれる)が支える構文となっています。従って自衛隊を含む全公務員は11条の下に置き、国民の主権を永久に安全保障する義務を負った奉仕者とすべきです。
4、 現行憲法は、9条のみが国民の宣言文であり、他の条文は国民に対する憲法の保障文です。国民の宣言文は、憲法に対する国民の被保障権が生じていないので、公務員には15条に基づく奉仕者の義務が発生していません。同時にこの公務員には99条に基づく憲法尊重擁護義務も発生していません。従って9条に3項を新たに設けて、そこに自衛隊の条文を置き国民に対する奉仕義務を持たせるべきではありません。
5、 国民の宣言文である9条は、前述の如く憲法の保障義務が無いので公務員の奉仕義務が発生していませんので、国民から信託されている国会の一般決議により国民の宣言文の変更が可能と思われます。
6、 国際社会における世界平和の基本は、夫々の国連締約国の家族や共同体の人々が歴史的に形成した固有の尊厳(尊い習俗等)と慈愛の心であって、それを夫々の締約国が認定することによって国民の基本的人権を定め尊重し、次いで他国のそれを侵さないことにあると、国際人権条約(国連憲章に次ぐ高位の条約であり、立憲している普遍の原理としての自由民主主義の法的構造が書かれている。)に規定しています。我が国のように、国民の基本的人権と私人の自由と権利を混同して基本的人権と解して全体主義に傾斜する
ことや、戦争放棄条文を平和の基本と解することは世界のLoopyとなることであり、これらは憲法改正を機に国際理解に整合させるべきです。以上