平成29年1月11日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
自民党選挙対策委員長 古屋 圭司 殿
横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
憲法改正以前に踏むべき手順(提議)
月刊誌「正論」1月号に掲載された古屋圭司自民党選挙対策委員長と田久保忠
衛杏林大学名誉教授との対談「進まぬ憲法改正」参照。同記事冒頭に「憲法改正
を決めるのは総理でも国会議員でもなく、国民です。国民の理解を深めていくか
が極めて大切なのです。強引にやれば護憲メディアが何を書くか容易に予測で
きます。そのため、様々な角度から議論をし、国民の理解を求めていこうという
のが総理の意見なのです」と、古屋委員長談があります。
この記事全体をみて思うことは、憲法改正に向って「議論をし、国民の理解を
求める」具体的糸口・手順を示さず、困難性と抽象的意気込みのみが示されてい
るだけです。本稿は憲法改正を前進させるための糸口・手順について愚見を述べ
させていただきますので、たたき台としてここに提議申し上げる次第です。
1、「タマが悪い」党員の存在
平成28年11月7日産経新聞記事「47選挙区野党逆転」において、<各種
世論調査の内閣支持率は5割超、自民党支持率も4割前後ある。これほどの
高支持率なのに選挙区で勝てないのは「タマ(候補者)」が悪いからだ」と指
摘しています。否、私は「タマが悪い」のは全党員であると思います。
近時内閣総理大臣であり自民党総裁である安倍晋三氏は、累次の演説で、「自
由、民主主義、基本的人権の尊重、法治、平和の政治」、換言すると「自由民
主主義を原理とする政治」を座標軸に据えて、政策の翼を伸ばしています。こ
の結果、高い内閣支持率、党支持率さらには国際的評価を得ています。ところ
が、安倍晋三氏を除く多くの自民党役員をはじめとして末端の党員に至るまで、
自由民主主義を原理とする政治の座標軸を説く党員はめったに見かけず、また
その座標軸から発した政策を示していません。従って政治の根本のところでの
認識の誤りが、見過ごされています。このために、例えば安倍総理の足下では、
特に文部科学省の教育行政組織や日本学術会議法学会や総務省の放送界にお
いて、政治の座標軸に反する左翼勢力が跋扈して肥大しており、ちょっとした
風の吹きようによって高い支持率も容易に消え去る状況にあります。左翼勢力
の強い影響下にある韓国や沖縄の政情のように、足下から崩れる恐れがありま
す。「タマが悪い」根本原因は、座標軸を軽視する自民党員の心中にあります。
2、日本国民一人一人の普遍の義務の徹底
我が国の憲法は前文1項において「自由民主主義を普遍の原理とする政治
を我が国の国是とし、この原理に反する一切の法律を排除する」と立憲してい
ます。昭和54年国連憲章に次いで高位の国際人権条約を締結し、これを憲法
の最高法規としたことにより、同条約に規定する自由民主主義の原理の軌範・
法秩序の遵守が、国会決議により国際公約されました。この二つ法律が我が国
の政治の座標軸です。この座標軸に反する行為は「言論の自由」を除いて、法
律の定めるところにより行われる「立法、行政、司法」から全て排除すること
が主権者たる国民一人一人と公務員の義務とされています。従って国民一人
一人と公務員は、リベラル、社会主義、共産主義、全体主義の法律を排除し、
排除しない者は刑法第2章、3章、4章、5章、第25章の罪に該当し、所定の
刑罰に服すことが定められています。特に同条約は国民一人一人の責務(Duty)
と義務(Obligation)について、憲法が領土、領海を含む国民の基本的人権を
永久に保障する自由民主主義の原理を支えるその基盤に据えています。
それなるが故に政府は、憲法前文1項の下に「自由民主主義を原理とする
政治の基本に関する法律」(案)並びに「(家族や共同体の人々及びその無数の
祖先が歴史的に形成した尊い固有の習俗等の)基本的人権認定(Recognition)
法」(案)の二つの法律を新たに制定し憲法を補完することによって、自由民
主主義政治に対する国民の理解を深めるべきです。これにより、左翼勢力が国
民一人一人を尊重する根拠としている憲法第13条冒頭の「個人の尊重」や「個
人情報保護法」が、憲法第11条の「国民の基本的人権の尊重」より明らかに
後順位となりますので、自由民主主義の原理と基本的人権の尊重を否定し国
民を育成しない現行の非正常な教育行政を正常な軌道に戻し、学校現場にお
けるいじめの横行を抑制することができます。
主権者たる国民の宣言文である憲法第9条については、憲法の保障文では
ないから憲法改正に拠ることなく、憲法解釈の変更が可能と思料します。即ち
主権者が信託した国会で決議済みのサンフランシスコ条約、国連加盟条約並び
に憲法第11条の規定に基づき、<第9条の規定は、「憲法第11条に規定する
憲法が国民に永久に保障する基本的人権」を害するものであってはならない>
を国会で一般決議することです。これにより、個別的又は集団的自衛の固有の
権利が確保されたことになります。
上記の二つの新規法律(案)と一つの憲法解釈の変更について、法務省設置
法の「基本法の整備に関する任務規定」により、内閣が提案者となり国会に提
出し議決されることによって、現行憲法の自由民主主義を原理とする政治の座
標軸を固めます。このような手順を踏んだのちに、本腰を入れて憲法改正や政
党法の制定に着手すべきであると思料します。ともかく自民党員は国際人権条
約により自由民主主義の原理を学んだ後に憲法改正に着手すべきです。以上