どこまでフジテレビは落ちてしまうのか。同局の代名詞とも言われた月曜21時のいわゆる月9枠の低迷がとどまるところを知らない。
2016年1月クール『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の視聴率が全話平均で9.7%(ビデオリサーチ関東地区/以下同)と同枠で過去最低を記録したと思いきや、
4月クール、高視聴率男・福山雅治を主演に据えた『ラヴソング』で、全話平均8.5%とワースト記録を更新してしまった。
現在放送中の『カインとアベル』も初回8.8%から始まり、8.6%、6.9%、7%、7.6%と低空飛行にとどまっている。
5話までの平均は7.8%で、このまま行けばなんと年内3度めのワースト更新となってしまう。こうした悲惨な状況にフジテレビとしては打開策を見出しているのか。
「正直、打開策と呼べるようなものは何もありません。面白いと思ってドラマは作っていますが、それがまったく世間に響かないという状況が長々と続いているわけです。
ただ、言い訳がましいですが、『カインとアベル』のビデオ録画率は高いんです。
そのため、視聴習慣が変わったことも低視聴率の要因のひとつと考えており、現在の視聴習慣に合わせた打開策も模索しています」(テレビ局関係者)
たしかに視聴習慣は10年前や20年前とは大きく変わっているが、テレビ業界は時代の変化に対し、どう対応しようとしているのか。
「最近のドラマはタイムフリー視聴を可能にしています。リアルタイムで見られなかった人に1週間などの期間限定でネット配信しているわけです。
TBSが最も積極的で、シンプルなホームページでたくさんの視聴数を獲得していました。
こうした数字もスポンサーに提案できるので、リアルタイム視聴以外の視聴者獲得も重要視されているのです。
フジテレビはこの点で後手に回っていましたが、最近やっと同じように配信を開始しました」(同)
リアルタイムで見られない人のためにネット配信をスタートさせているという。
だが、やはりメインとなるのは本放送であり、ここで数字を稼ぎたいと考えているそうだ。
「視聴習慣が変わったといいつつも、『半沢直樹』(TBS系)のように今の時代でも45%を超えるドラマが現にあります。
そういう実例がある以上、結局はすべて言い訳でしかなく、ドラマの内容が面白くないという現実としっかり向かい合い、反省しなければならないのかもしれません。
ただ、最近の月9は、もはや何を放送しても低評価なので、キャスティングや脚本家探しにも苦労する始末です。
そのため、ドラマ枠自体の撤廃も検討されています」(同)
視聴率を獲得しようと頑張る一方で、ドラマ撤退の話も出ており、事実、関係者たちからもかなり後ろ向きな意見が多いらしい。
「なにせ社長がドラマ畑出身ですから、月9への思い入れが半端ではないんです。だから、やめたいと思ってもやめさせてもらえないわけです。
ただ、やはり時代は変わっていて、テレビ朝日など『アメトーーク!』を週に2回オンエアするなど、これまでの常識では考えられないような編成方針を打ち出しています。
フジテレビも過去ばかり見ていないで、生まれ変わる意識を持たないと本当に民放キー局最下位になってしまいます」(同)
打開策を見つけようと必死になりつつも、枠撤廃という根本的な考え方も根深いようだが、
他局のように大胆な変革に踏みきれず、もがき続けているのが、“フジテレビ月9”の実情のようだ。果たしてこの枠は数年後も存在するのであろうか。