「占領軍政時代の近代立憲主義と決別せよ」(提議) | 日本世論の会 本部

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平成28年11月18日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

衆議院議長  大島 理森 殿

参議院議長  山崎 正昭 殿

内閣官房長官 菅  義偉 殿

法務  大臣 金田 勝年 殿

 

湯澤 甲雄  元東京銀行ソウル支店長

横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222

 

       「占領軍政時代の近代立憲主義と決別せよ」(提議)

        

 去る11月17日、1年5か月ぶりに衆議院憲法審査会が再開され「憲法制定経緯と公布70年を振り返って」をテーマにして自由討議が行われたことが新聞報道されていました。

 新聞報道を見る限りにおいては、我が国の憲法前文1項「自由民主主義を原理とする政

治を国是とし、その原理に反する法律を一切排除する」規定を振返って、この国是の完成

に向って審査を促進させようとする憲法審査委員が一人もおりませんでした。従って、両

院の議長は憲法審査委員の職務と責任を果たさない委員を解任するか、憲法審査会を一旦解散し出直しを図るべきであります。特に次の二人の発言は我が国の政治を、我が国に主権が無かった占領軍政時代の古色蒼然とした憲法解釈にたって、それを継続する発言をしています。甚だ遺憾千万であります。税金の無駄使いの代表的事例であると思います。

 

 自民・中谷元氏「どのようなテーマで議論するかは白紙だ。自由討議を通じて協議して

いく。近代立憲主義の見地を踏まえて議論を進めるのは当然だ。自民党も全面的に肯定する。」

 民進・武正公一氏「近代立憲主義は権力を制限し個人の自由、権利を守るものだ。憲法

改正の限界として、こうした認識を衆参両院の憲法審査会で共有することが3分の2以上の

発議の大前提となる。」

 因みに、近代立憲主義とは一般的に「(人の支配=専断的国家権力)の支配から、自然

法などの基本法(憲法)の(法の支配)で国家権力を縛り、被治者の(個人の自由と人

権)を守ること」をいいます。


 我が国は、欧米諸国の東亜侵略によって国家破滅に追い込まれた危急存亡の時代を除けば、ポツダム宣言の中に我が国に自由民主主義を復活させるという文言があるように、

(人の支配=専断的国家権力)の支配する政治は少なくとも明治維新以降は絶対ありませ

ん。占領軍政時代は、日本国民の基本的人権(憲法11条)という主権が皆目わからないよ

うに空白にされて一切否定され、被治者の(個人の自由と人権=憲法12条、14条から40条

に至る28条文が基本的人権の本質とされました)を守ることのみが許されました。

 このような占領軍政時代の近代立憲主義は、昭和54年に国連憲章に次いで高位な国際法である国際人権条約(社会権規約、自由権規約)が国会で批准され、憲法の最高法規となったことにより、今から35年も前に根底から否定されました。なぜならば、国際人権条約

の内容は、憲法前文1項に規定する自由民主主義の原理について、その軌範・法秩序を定

めたものであるからです。

 

 現行憲法は、自由民主主義を原理とする政治を前提にして、各条文が有機的に構成され

ています。国際人権条約によれば、国が認定(Recognition)した国民の父、母、子供等

の家族やその共同体の人々が歴史的に形成してきた尊い習俗、習俗宗教、伝統、文化、道徳、領土、領海、法律や人間愛を基本的人権(第11条)と称し、国がこれを尊重し保障す

るとして、これを憲法の至高の条文としています。基本的人権は、それを認定する法律を

定める必要があります。基本的人権を増進擁護するものとして、個人の自由と権利(12条、

14条から40条)や国会、内閣、司法、財政、地方自治等の条文があります。

憲法第9条だけは、国民の宣言文であり、国民の基本的人権を支えることを憲法が保障

する条文ではなく、独立しています。従って、国会の一般決議により憲法解釈を変更でき

る条文です。

 

そこで、国際人権条約を正しく翻訳し直して(現在の外務省の翻訳文は使用できない)

憲法のそれぞれの条文の下に、該当する翻訳文を法律文に直し解釈を明確にした法律案に整理するならば、それを国会で一般決議することによって、自由民主主義憲法の完成に近づけることができるものが可成りあります。勿論キチンと憲法改正しなければならないも

のもあります。

 両院の憲法審査会委員はこのような職務と責任を負うべきであって、自由民主主義の原

理から外れた立法行動は正に憲法違反であり一切排除されるべきものとして無効です。

 

以上