平成28年9月8日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
内閣官房長官 菅 義偉 殿
法務 大臣 金田 勝年 殿
(写し)衆議院議長 大島 理森 殿
(写し)参議院議長 伊達 忠一 殿
湯澤甲雄 横浜市南区大岡3-41-10
無職 85歳 電話045-713-7222
内閣は法務省の積年の法務行政の怠慢を厳しく正せ(提議)(その2)(追記修正分)
平成28年9月4日付掲題(提議)(追記修正分)参照。
参照弊信にて提議したものを、次の如く整理して改めて提議させていただきます。
第1は、我が国の憲法は自由民主主義以外の政治原理を認めていません。国連憲章も同様に政治原理の多様性を認めていません。内閣は、「基本法制の維持及び整備、法秩序
の維持等を図ることを任務とする」法務省の法務の専門性を活用する道を開き、政治
原理を厳守した基本法制の完成を期すべきです。このために、法務省設置法第3条
(任務)<4項>と同時に、国会法第1章国会の召集及び開会式第1条<○4>を新
たに設けさせ、日本国憲法前文1項に定める「国是」を挿入し、法務省と国会が轡を
並べて基本法制の維持・整備を図る体制を構築すべきであります。
新設挿入文<(国会は・法務省は)自由民主主義の原理に基づく法律体制の完成を
図ることを任務とし、これに反する一切の法律を排除すること。>
法務省と国会が同一目的を持つことにより、法務省は法務に関する専門性を生かす
道が開け、憲法改正等の発議を国会に促し法務省の任務を全うすることができます。
第2は、自由民主主義の中核的概念である憲法第11条の「国民(Individuals)の基本
的人権(Fundamental Human Rights)の具体的内容」について、国際人権条約の定義
に従って法律の基本を固めるべきです。それは「国民の基本的人権の具体的内容」こ
そ「国民の主権の内容」であるからです。このために特別法を立法するか、又は憲法
改正に依らねばなりませんが、基本的人権の具体的内容の新規登録、登録抹消等の認
定が頻繁に行われると思われますので、憲法第11条の下に憲法に準じる特別法と
して「基本的人権認定法」(仮称)制定がベターと思います。
「基本的人権認定法」「安全保障法」「緊急事態法」「国防軍設置法」等は、国民の基
本的人権を直接支える法律でありますので、憲法の至高条文である憲法第11条の
下に制定されるべきであると思料します。憲法第9条は、国民の宣言文であり国民
に対する憲法の保障文ではないので、国会の一般決議により憲法解釈が変わり得る
ものであることから、この条文を準拠法規とする法律を設けるべきではありません。
第3は、憲法第13条冒頭文「すべて国民は、個人として尊重される」は、マッカーサ
ー憲法草案にも国際人権条約にも該当条文が無く、且つ個人の基本的自由
(Fundamental Freedom)を否定し全体主義に傾斜させる捏造条文であるので排除の
対象とし、マッカーサー憲法草案に近い次の条文に改正することを提議します。
「道義を帯した全ての日本人は、基本的人権を帯した国民として尊重される」
(マ憲法草案第12条抜粋「all japanese by virtue of their humanity shall be
respected as individuals.」 注、特定勢力の策謀により、道義・国民が翻訳文か
ら消されて個人が挿入され現行捏造条文になっています。)
第4は、憲法第12条と第14条から40条に至る条文は、国際人権条約前文規定によ
り個人が基本的自由を享受するために「(国連あるいは国)により創設された条件」
であり、且つ「国民が不断の努力で保持する国民の義務条文」であるので、これらを
国が尊重する対象としている現行憲法解釈を取消し、国が保障する対象に変更する整
備を行うこと。国が尊重する対象は、国民の基本的人権に限定されているからです。
第5は、世界の自由、正義、平和の基本である「基本的人権」は、主に国民の習俗伝統
文化から成るものであり、「個人の基本的自由」を表す「世界人権宣言の人権」とは次
元を異にするものにつき、「基本的大義」と呼称を改め、両者の混同を避けるべきです。
我が国が履行を公約している国際人権条約(Covenants)にて規定された自由民主主義の
原理の法的枠組みの内、上記第1から第5を除き残されたものは何か、法務省の基本法制整備の任務として残されているものについて以下述べてみたいと思います。それは、日本国民の主権が認められない時代に制定された現行の憲法規定や憲法解釈にとっては不要とされ無視されてきたものですが、主権回復した今日では絶対に必要とされるものです。
端的に言いますと、国民個人の責務と義務並びに法秩序に関する憲法規定の新設です。
国際人権条約前文末尾に「 Realizing that the individual, having duties to other
individuals and to the community to which he belongs, is under a responsibility to
strive for the promotion and observance of the rights recognized in the present
Covenant,」(意訳「自由と権利を有する個人(the individual)は、基本的人権を有する家
族や共同体の全ての構成員の人々即ち国民・国家(other individuals)に対して尽くすべ
き責務を負うこと、並びに憲法によって永久に保障されている国民の基本的人権の増進及
び擁護のために努力する責任を有することを認識すること」)とあります。
この国際軌範は、憲法改正手続により盛り込まれるべき新規の条文です。
以上縷々述べてきた内容でお分かりになったと思いますが、現在の憲法は国民に主権の
無い時代に形成された憲法解釈を引継いでいるために、国民(Individuals)の基本的人権
の具体的内容を定めず空白となっているところに、個人(Individual)の自由と権利を無謀
にも当てはめて同然のものとし、これの永久の尊重を定めています。現行の憲法解釈は国際人権条約に定める自由民主主義の原理を根底から否定し全体主義を受容し、国家・国民の存在を無視して自由民主主義に牙を向けた、一切排除すべき法律であり憲法解釈であります。
このような誤った憲法解釈の下に行われている教育行政は、教育基本法第1条に定める
「自由民主主義国家の国民(Individuals)の育成を目的とする」を無視して、同法第3条
に定める「国民一人一人(Individual)が学習することができる社会の実現を目的とする」
に変えられ、同法第17条の下に「教育振興基本計画」を定め「閣議決定」されて、全国の
自治体で予算が承認され、「個人の育成教育」が公金で行われています。憲法前文の規定に照らし、明らかに排除すべき教育行政法です。これも憲法の条文から国家・国民を消し去り、基本法制の維持及び整備等を疎かにした法務省の任務不全が成せるものです。法務省は法務専門集団の力を発揮して国会に憲法改正の発議を促し省設置法の任務を全うすべきです。
時偶々、「日本政策研究センター発行、明日への選択9月号」に二人の先生が別の視点から「国家・国民不在」という同憂の論文を掲げていますので、これを紹介させていただいて本稿を終わらせていただきます。<「護憲の源流は宮澤憲法学にあり」長尾一紘 中央大学名誉教授><「三分の二獲得後の改憲戦略」伊藤哲夫 日本政策研究センター代表>以上