韓国の朴槿恵大統領が、11月に日本を訪問する方向で検討に入ったことが19日、分かった。日韓外交筋が明らかにした。
朴氏の訪日が実現すれば2013年2月の大統領就任後、初となる。
朴氏は日中韓3カ国の首脳会談に合わせて訪日する。
安倍晋三首相との会談も設定される見通しで、北朝鮮の核・ミサイル問題への対処や経済分野での協力関係などを確認するとみられる。
ただ、中国公船の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺への領海侵入などで日中韓首脳会談の前提となる3カ国の外相会談の最終調整も難航している。
中国の動向次第では、首脳会談の開催や朴氏の訪日にも影響が出る可能性もある。
昨年末の慰安婦問題をめぐる日韓合意以降、日韓関係は「改善の傾向」(外務省幹部)にある。日韓両政府は朴氏の訪日を機に両国関係を強化したい考えだ。
朴氏は政権発足後、慰安婦問題の解決に向けて日本側が譲歩することを日韓首脳会談をはじめ両国関係改善の前提条件に掲げてきた。
しかし、早期改善を求める国内世論にも押される形で昨年11月、ソウルで安倍首相と初会談。
韓国側が設立した「和解・癒やし財団」に対し、日本側が今月12日、ソウルの日本大使館前の慰安婦像の撤去問題とは関係なく10億円を拠出する方針を表明し、両国関係はさらに前進した。
また、米軍の最新鋭迎撃システム、高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に中国が猛反発し、朴政権が進めてきた中国重視外交が挫折。北朝鮮による弾道ミサイル発射も相次ぎ、日本との協力体制強化の必要性もある。
こうした中、朴氏は15日、日本統治からの解放を祝う「光復節」記念式典での演説で、過去のように慰安婦問題に言及することなく、日韓関係について
「歴史を直視し未来志向的な関係をつくっていかねばならない」と強調、注目されていた。