慰安婦記事見出しにsex slaveの語
六月二十七日JTにソウル発時事電Sex slave pact can be adopted before Park exits: expert(性奴隷協定は朴謹恵大統領の任期終了までに採択されるだろうと、専門家)との記事が掲載された。時事通信が韓国国民大学日本学研究所長の李元徳氏にインタビューしたものだ。昨年十二月二十八日の日韓両政府による「慰安婦合意」が二〇一八年二月の朴大統領の任期切れまでに履行されるだろうと、李元徳氏は楽観的な見方を示している。
正直言って、李氏のこの見方には驚いた。「合意」で決まったはずの日本大使館前の慰安婦像の撤去も行なわれず、さらにソウルでは新たな慰安婦像の設立も計画されているという。十億円の拠出金についても受け取りを拒否する元慰安婦もいる。こういう状況下で「慰安婦合意」が履行されると考えるのはおかしい。
なお今回の記事ではsex slaveの語が見出しに使われている。記事中には慰安婦の直訳であるcomfort womenの語が使われているのにである。筆者の調べたところでは、慰安婦関連のJT記事見出しにsex slaveの語が使われたのは、今年二月十八日ジュネーブ発共同電Japan: No docs show sex slave coercion(日本政府:性奴隷強制連行の資料はない)以来である。その後、慰安婦関連記事はJTにはしばらくなかった。五月十八日にJT専属記者ミエ・アヤコ記者によるTokyo, Seoul discuss ̒comfort women̕ fund(日韓両政府、慰安婦基金について会談)が掲載されている。ここでは記事中にsex slaveの語が見られるが、見出しにはない。今回の記事はそれ以来だ。どうも慰安婦関連記事は、通信社からの配信記事には見出しにsex slaveの語を使うが、JT記者による同関連記事の見出しにはcomfort womenの語を使うという「合意」がなされているようだ。 (五十嵐岳男)