各位
湯澤甲雄 yuzawa.motoo@rainbow.plala.or.jp
<mailto:yuzawa.motoo@rainbow.plala.or.jp>
昨年8月、文科省生涯学習政策局が策定した現行の教育振興基本計画に関し、教育基本法第1条(教育の目的)に違反するので、同計画並びに同局の廃止を求める異議申立を行いました。
これに対し、去る6月1日「却下する」旨の裁決が送られてきました。私はこの裁決が違法又は不当であるとして、下記再審査請求を行いました。
再び我が国の教育行政は如何にあるべきかの見地に立って述べておりますので、ご意見がありましたらご教示下さいますようお願いいたします。
(なお、「処分」とは、「公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の修養、物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの」とされています。)
以上
記
平成28年6月14日
文部科学大臣 馳 浩 殿
下記異議申立に対する原裁決決定の理由は、再審査請求の理由により違法又は不当であるので、行政不服審査法第6条に基づき、再審査請求いたします。
再審査請求人 氏名 湯澤 甲雄 85歳
住所 〒232-0061横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
記
再審査請求に係る処分 教育基本法第17条1項に基づく「教育振興基本計画」(平成25年6月14日閣議決定)に係る異議申立に対 する平成28年5月25日文部科学大臣決定について
文部科学大臣決定を知った年月日 平成28年6月1日
文部科学大臣の決定の内容 「本件異議申立は、却下する」
再審査請求の年月日 平成28年6月14日
原裁決決定の理由
一、原裁決 決定の理由(1)~(3)について
(A)「対象となっている行為は、何れも行政不服審査法第4条1項及び第6条で定める処分に該当せず、本異議申立は不適法である」
(B)「異議申立は、処分のあった日の翌日から起算して1年を経過することができない。本件は異議申立の時点で本基本計画を策定し、国会に報告 した公表した日付より1年を経過しているので、本異議申立は不適法である。」
二、原裁決 決定の理由(4)「生涯学習政策局の設置及び同局政策課の設置については、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する行為ではなく、処分性は否定されるので、本異議申立は不適法である」について
三、原裁決 決定の理由(5)「本件は不作為に対する異議申立と解するが、教育基本計画の策定は法令に基づく申請に対する処分には該当しないので不適法である」について
再審査請求の理由
一、原裁決 決定の理由(1)~(3)について
(A)日本全国に展開して行われる教育行政は、憲法第26条及び教育基本法第16条の定めにより、いささかの齟齬も生じ無いよう法律化して処分性を明確に肯定した上で行われるとされています。
憲法の立憲の精神に則り制定された教育基本法第1条(教育の目的)「自由民主主義国家の国民の育成」、そのために必要な第2条(教育の目標)に定める如く、教育は国家目的的に行われると定めています。従って生涯教育政策局は、国家目的を帯して教育振興基本計画を制定し、もちろん処
分性を肯定して明確に定める職務責任があります。
しかるところ、生涯学習政策局は「名は体を表す」諺の様に、教育基本法第3条(生涯学習の理念)以下の条文をもって、教育行政を行う野心を抱く局であることが「義務教育諸学校教科用図書検定基準」でも明白に現れています。同基本計画はこの局が正に目的的に企画した法律に拠らない
教育行政です。昨今全国の教育現場から、「国民を育成する教育」が消え去っています。このような行政は、教育基本法第1条、第2条に規定する
国家目的的教育方針に照らして違法行為に当りますので、罪から逃れるために教育振興計画の外形に論拠をおいて、処分性を否定し尽くして隠れています。処分性を否定し尽くさない限り職権乱用に抵触する恐れがあるからです。
国民を育成せず処分性が否定される教育振興基本計画は、違法な教育行政でありますので、これを廃止する異議申立は適法であります。よって再審査請求いたします。
<<なお、立憲の精神並びに教育基本法(教育の目的)に適った「国民を育成する教育振興基本計画の形」について以下簡潔に申し述べます。
憲法前文1項に「自由民主主義の原理に基づく政治を国是とし、これに反する法律は一切排除する」と立憲されており、政治的中立、公正とはこの立憲の精神であるとしています。次に憲法第26条(国民の教育を受ける権利、教育の義務)は「教育は法律の定めるところにより行われる」と規定しています。立憲の精神に則り制定された教育基本法第1条(教育の目的)は「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な(自由民主主義を原理とする政治を行う)国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身共に健康な国民の育成を期して行わなければならない」と規定しています。教育振興基本計画は、この規定に則して国民の育成を期して策定されるべきです。
自由民主主義の原理の法的枠組みを規定した国際人権条約(社会権規約と自由権規約がある。国連憲章に次ぐ確立された国際法規にしてCovenantsと称されています)は、昭和54年に締結され憲法第98条の下に遵守を国際公約しています。この国際法規を教育振興基本計画に採り入れ教育基本法の条文と為し法制化するならば、自由民主主義を原理とす
る教育体制が完成し且つ処分性を肯定した基本計画が完成します。
(国際人権条約を簡潔に述べれば<国が認定(Recognition)した家族や共同体の人々が歴史的に形成してきた尊い習俗、習俗宗教、伝統文化、法律等並びに人間の絆(道徳)を「基本的人権」(「基本的大義」が訳としては正しい)と称し至高のものとして国は尊重すること、個人が天賦の自由を享受するために個人間の相克を緩和する32の「個人の自由と権利」を条件として創設し、司法制度等により国民個人に対し国は保障すること、国民個人は常に家族や共同体の人々や共同体のために尽くす本分(Duty)があり、且つ基本的人権の増進、擁護のために努める責任(Responsibility)を負う>と
する国際規範です。この国際規範を大切にすることを国際社会は俗に「人権尊重」と称しているが、我が国では「個人の自由と権利」のみをとらえて「人権尊重」と誤解しています。「尊重」する対象は、正しくは「基本的人権」のみです。中学校公民教科書等で「個人の権利尊重」と有るものを、個人の権利は創設された条件であり不断の努力で保持する義務であるので、「個人の権利保障」と改めるべきです。「国民を育成する教育」無くして国を思う心が生じることなく、国の安全保障は戦争することとしか思えない「個人の権利尊重」教育行政から脱すべきです。文部科学省は、立憲の精神に則した自由民主主義教育行政を正々堂々として徹底すべきです。>>
(B)国会に報告した日をもって公表した日とし、法的行為の起算日を意味する「処分が行われた日」としています。処分性が否定された教育振興基本計画を、処分性が否定され公権力の行使不能の生涯学習政策局が、国会に報告したとのことであります。しかし、衆議院事務局によれば報告を受けたという意識は無く、届けられた書類を受け取り、写しをつくり各議員に配布しただけであり、書類を受けて法的行為が成立した意識は無いとのことです。因みに、「大辞泉」によれば、「報告」とは「特にある任務を与えられた者が、その経過や結果などを述べること」とあり、「報告」が行われなかったとみられます。よって、「処分が行われた日」が存在しないので、<本
異議申立は不適法である。却下する>決定は、違法又は不当でありますので再審査請求いたします。
二、原裁決 決定の理由(4)について
憲法前文1項にて国是とされた自由民主主義を原理とする政治の確立、並びにそれを反映した教育基本法第1条(教育目的)「自由民主主義国家の国民を育成する教育」について、同局、同課は法律の定めに拠ることなく独自の行政判断により、これらを完全に無視した上で、「一人一人の主体的な
学び」に変える偏向した処分性の無い教育振興基本計画を策定しました。
これを全国地方公共団体に対し普及すべく「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」を改訂し、法律の定めるところでない教育について法律をもって強制しています。「公務員職権濫用」の恐れがあります。
敷衍すると、教育基本法第一章「教育の目的及び理念」から第1条(教育の目的)を脱落させ、次いで、教育基本法第3条(生涯教育の理念)を「一人一人の主体的学び」と称してこれを教育目的とし且つ処分性を否定した独創的な教育振興基本計画を策定し、教育基本法が教育目的とする「国民の
育成」を換骨奪胎する、所謂「革命」を起こしました。
このために同局と同課は、国民を育成する目的のためにある第2章「教育の実施に関する基本」以降の規定に則して行政する当事者の能力、資格を失いましたので、廃止すべきです。同局同課は、教育振興基本計画ではなく教育衰亡基本計画を策定したのです。国民は、憲法第26条に規定する教育の法益を失いました。
憲法第89条(公の財産の支出利用の制限)には「公金その他の公の財産は、公の支配に属しない教育事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」とあります。「公の支配に属しない事業」には教育基本法第1条(教育の目的)が欠落した「教育振興基本計画の行政行為」或いは「義務教育諸学校教科用図書検定基準を実施する行政行為」もあります。かかる意味からしても、同局・同課の廃止は当然であります。本件異議申立は、適法でありますので、再審査請求いたします。
三、原裁決 決定の理由(5)について
本異議申立は、「処分についての異議申立」であり、旧行政不服審査法第4条に基づき行われました。「不作為に対する異議申立」ではありませんので、「原裁決 決定の理由(5)は全文取消してください。
以上