平成28年3月21日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
文部科学大臣 馳 浩 殿
湯澤 甲雄 横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
「国是・自由民主主義の原理と真逆に進む安倍内閣教育行政の是正」(提議)
1、安倍内閣の教育行政是正措置
「教育再生」会議が発足して以来、憲法前文1項において規定された「自由民主主義を原理とする政治を国是とし、これに反する法律は一切排除する」に該当する教育行政の法律が一本も成立しておりません。逆に「自由民主主義の原理を否定し、全体主義に傾斜する教育行政法」が成立しています。
何故このような安倍首相の思いと真逆の法律が制定されたかを思うとき、教育再生委員の意識が枝葉にとらわれていて、教育基本法第1条に定める「自由民主主義国家の形成者として必要な資質を備えた心身共に健康な国民の育成を期して行われなければならない」教育目的・教育の座標軸を排除しているからです。
その原因を思うと、自由民主党員を含む教育再生委員に「自由民主主義の原理の理解者」が居ないために国是に基づく教育目的が定まらず結局、文部科学省を根城として「全体主義教育の普及を図る目的的に行動する左翼官僚」の掌の上で踊らされてしまっているのです。
それは国際社会が国連憲章に次ぐ重要な国際法と定め、我が国が昭和54年に締結し憲法第98条の最高法規となしている「国際人権条約(社会権規約、自由権規約)」を英語の原文で理解しようとしなかった基本知識の欠如にあります。(外務省の翻訳文では正しく理解できません。)更に進めれば、内閣の所轄の下にある日本学術会議法学委員会が左翼の学者で固められており、この条約の学術研究・調査を意図的に無視、排除していることに遡ると思います。
全体主義に覆われた教育行政から脱皮するためには、自由民主党員自身が国際人権条約の良き理解者になることを先決すべきであって、憲法前文1項の国是の推進者になり、率先して立法措置を行う以外に道が無いことを自覚すべきであると思います。
2、安倍内閣が成立させた「自由民主主義の原理に反する教育行政法」の是正措置
(1)教育基本法第17条(教育振興基本計画)平成18年12月22日新設
問題点 文科省生涯学習政策局が策定した教育振興基本計画(平成25年6月14日、閣議決定、A4版79頁)によれば、教育基本法のもとに行われるべき教育行政は、教育基本法第1条(教育の目的)、第2条(教育の目標)をすっ飛ばして、第3条(生涯学習の理念)以下の条文の下に第2条(教育の目標)を組入れて行うものとしてあります。文科省が策定したこの基本計画は、閣議決定を経たとはいえ、憲法前文1項並びに教育基本法第1条(教育の目的)に規定された「自由民主主義国家の国民の育成」を滅却した革命行為であると思料します。代わって挿入された教育目的は「国民個人一人一人の主体的学び」であり、この曖昧な表現を使ったその実態は「個人の自由を剥奪した個人の権利尊重という全体主義国家の国民の育成」であって、憲法にも教育基本法にもこのような規定はありません。従って、安倍内閣は先に閣議決定した「教育振興基本計画」取消しの閣議決定を行い、憲法第26条に従い教育行政全般を法の定めの下におくべきです。
(2)地方教育行政の組織及び運営に関する法律 (平成26年1月17日改正)
問題点 従来地方の教育行政は、憲法の自由民主主義の精神に則った教育基本法第1条(教育の目的)に基づき教育委員会委員長が行うものでありました。然るところ、安倍内閣により教育基本法に第17条が新設され、これに伴い地教行法が改変され、地方の教育行政は文科省が作成した教育振興基本計画を参酌して県知事が地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めることになりました。
このために、県知事は、学んだ生徒が全体主義に傾斜する文科省の基本計画を参酌して、同様の施策が盛られた大綱を定める立場に立たされて、憲法違反の責任が負わされる破目になりました。同様に、地方議会議員も事態が良く呑み込めないまま憲法違反の片棒を担がされる身分となりました
最高法規である憲法前文1項の規定に反する教育行政は、どうあろうと法的に無効ですから、文部科学大臣は早急に是正措置を採るべきです。
(3)義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成21年3月4日文科省告示第33号、平成26
年1月17日改正)
問題点 平成11年1月25日の検定基準は「第1章総則―中略―教科用教科書の検定においては、―中略―教育基本法に定める教育の目的、方針など並びに学校教育法に定めるその学校の目的及び教育の目標に基づきー中略―審査するものとする」でありました。
改正後の検定基準は「第1章総則(2)本基準による審査においては、その教科用図書が、―中略―国際社会を生きる日本人の育成を目指す教育基本法に示す教育の目標並びに学校教育法及び学習指導要領に示す目標を達成するため、これらの目標に基づき、第2章及び第3章に掲げる各項目に照らし適切であるかどうかを審査するものとする」と、改正されました。端的に言うと、検定基準の総則から「教育基本法に定める教育の目的」即ち、「自由民主主義国家の国民の育成」が抹消され、代わりに「国際社会を生きるグローバル日本人の育成」に変更されました。この検定基準により、各教科書会社は教科書を編纂したので、例えば東京書籍中学校公民教科書173頁にあるように、「国民」ではなくて国籍の無い人、「地球市民」が教育行政上求められている教育となるのです。つまり、1億総活躍から脱走する人の育成です。
また、教科書採択方針を定める県育委員会や教科書を採択する市町村員会委員も、憲法や教育基本法に反する教科書の採択を余儀なくされています。文部科学大臣は早急に、この告示を変更すべきです。
以上