平成28年1月3日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄
<自由民主主義政治教育の徹底>(提議)
日本国憲法前文1項に、<我が国は自由民主主義を原理とする政治を国是とし、これに反する一切の法律を排除する>とあり、これは全国民に課された義務であります。我が国において政治的中立性、公平性とは、自由民主主義の原理に基づく政治のことです。但し、<この国是に反対する言論の自由は、憲法第12条により国民に保障されるが、この言論を法制化することは一切排除する義務がある>と、憲法は定めています。立憲主義の政治とはこのように、全体主義、社会主義、共産主義、リベラル政治等が憲法規定の下に排除され、自由民主主義の原理に基づく政治が厳に運用された政治のことを言います。
翻って我が国において国民の教育を受ける権利並びに教育を授ける義務は、憲法第26条により法律(憲法前文1項を含む)の定めるところにより行われると規定されています。
日本国憲法の精神に則り制定された教育基本法第1条(教育の目的)は、「<教育は、人格の完成を目指し、平和で(自由民主主義的)な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身共に健康な国民の育成を期して行われなければならない>」とあります。
教育基本法第5条は、義務教育として行われる普通教育は二つの目的をもって行うものと定めています。第一に「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自律的に生きる基礎を培うこと」、第二に「<自由民主主義を原理とする政治を行う国家及び社会の形成者として必要とされる基本的資質を養うことを目的として行われること>」であります。このような教育が公共団体の設置する学校において行われる所謂「公教育」の場合は、授業料を徴収しないと定めています。即ち、「公教育」は、国会並びに地方議会の議決により公費=財政予算支出にて行われるものとされています。
教育基本法第14条(政治教育)「<良識ある公民として必要な政治的教養は教育上尊重されなければならない>」とあり、自由民主主義を原理とする政治教育は必須のものと定めています。
然るところ、文科省生涯学習指導政策局が推進する公教育並びに、これに追随した地方自治体が推進する公教育は、上記< >で示した自由民主主義を原理とする政治教育を通じて「国民を育成する」目的が全く教育されておらず、「一人一人の主体的学び」即ち「個人の育成」に偏重した本来の法律に定める目的に違反する公教育が行われております。このように「国民の育成」が欠落した国民を欺く似非教育に対して巨額な教育予算を割り当てられ、似非教育行政が全国的に行われていますが、これらの行為は憲法第73条(内閣の事務)「法律を誠実に執行し、国務を総理すること」、地方自治法第2条16項「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない」、地方財政法第3条(予算の編成)「地方公共団体は、法令の定めるところに従い、―これを予算に計上しなければならない」の規定に違反いたします。
公共機関が「個人の育成」を直接行う教育即ち尊重する教育は、「個人の自由」を圧殺する自由民主主義の対極にある全体主義に傾斜する憲法上排除すべき教育です。
一方、公共機関が「国民を育成」する教育は、先ず個人が生まれながらに自由であることを前提にして、その自由を守るために国連が32項目の自由と権利を創設し、中立公正な裁判所制度を設けることによって個人の自由を保障します。次に家族や共同体の人々である国民が歴史的に培った習俗、法律あるいは人間愛等の基本的人権について、これを永久に尊重の対象とすることを立法府は法律で定めます。その法律に従って行政府が政治制度を支え国民の育成を図る教育を行います。この政治制度を自由民主主義と称し、このような政治制度を支える国民を育成することが教育の目的であると、教育基本法第1条は定めているのです。
<平成25年6月14日文部科学省が制定し閣議決定された「教育振興基本計画」(A版79頁)>も、これを参酌して制定された<平成27年7月「かながわ教育ビジョン」の一部改訂に向けて~素案(修正版)について(A4版27ページ)>についても、「国民を育成」する観点からの教育行政が全く欠落し、「個人の育成」教育を行う欠陥教育行政であり、廃止すべきです。
因みに、公職選挙投票年齢引き下げに伴い、文科省は新たに「主権者教育」を新たに行うとしていますが、キチンとした自由民主主義政治の原理を教育し、「国民の育成」を図る教育を実行すべきであります。以上
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