靖国神社(東京都千代田区)の爆発テロ事件で、建造物侵入容疑で逮捕された韓国人、全昶漢(チョン・チャンハン)容疑者(27)。警視庁の調べで、全容疑者が爆発物の材料を持ち再犯目的で再入国した可能性が高いことが新たに分かった。
一方、全容疑者の母国・韓国でもこの事件を連日報道。なかには「日本のメディアが内容を膨らませて嫌韓ムードを広げている」と、事件の論点からずれた内容を展開するメディアもあるなど異常な状況が続いている。
捜査関係者によると、全容疑者は9日午前10時ごろ、韓国の金浦空港から羽田空港に入国。到着を把握して駆けつけた捜査員に身柄を確保された。預けた荷物から火薬とみられる砂状のものやタイマーのような装置が見つかった。
いずれも現場である靖国神社の公衆トイレで見つかった時限式発火装置のような不審物と同様の材料という。
全容疑者は当初、「よく分からない」と容疑を否認していたが、その後、「(11月)23日に靖国神社に入り爆発物を仕掛けた」「靖国神社は失敗で、もう1回やろうと思った」などと供述。10日になり、再度否認に転じた。
韓国人が日本に渡航し、靖国神社で爆発物を爆発させるというショッキングな事件に、韓国メディアも衝撃をもって伝えているが、首をひねりたくなる報道も少なくない。
民放全国キー局MBCは9日、「いくつかの(日本の)右翼メディアが新たな事実もないのに内容を膨らませて特集のような放送をしたりしている。新たな嫌韓ムードが広まるのではとの憂慮が提起される」などと韓国人ジャーナリストの見解を伝えた。
CBS系ニュースサイトのノーカットニュースは10日、「(日本のメディアが事件を)ネットと紙で逐一報道しているので、関心がなかった人(=日本人)も注目するようになっている。
しきりに韓国を悪く言い続けて、韓国に悪印象がなかった人まで印象を改めるように誘導している」という現地ジャーナリストの見方を載せた。
民放全国キー局のSBSも10日、「日本のテレビ、容疑者インタビューを終日反復放送 在日同胞に不安」と題し、「些細なことまで終始繰り返して報道しており、在日同胞に不安が広がっている」などと報じた。
現地事情に詳しいメディア関係者は
「事件の重大性は分かっているのだろうが、『日本の報道機関がこの事件を韓国憎しにつなげようとしている』という、うがった見方も確かにある。嫌韓ムードがこれ以上、広がってほしくないという裏返しなのはわかるが…」と話している。