平成27年10月22日
横浜市立中学校教諭 服部 剛 殿
(写し)神奈川県知事秘書室
調整監 関根 殿
横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
「先生、日本ってすごいね」(著者・服部剛、発行所・高木書房)を読ませていただきました。大変感動しました。有難うございました。読んでいるうちに彷彿として思い出された
私の85年の人生で遭遇したいろんな事柄と道徳授業実践報告が重なり、先生の道徳授業の素晴らしさを実感した次第です。
さて、ここでは、「滅び行く国際条約の中の道徳について」読後感想の代わりに述べさせていただきます。
世界の自由・正義・平和の建設を目指した国連憲章の基礎・基本(=foundation)に据えられているものは、夫々の自由民主主義国家の国民の基本的大義(=fundamental human
rights 「基本的人権」は1945年当時意味不明のまま外務省が直訳したもの)という道徳であります。締約国はこの国民の大義を実現するために法律で保障するものとしています。
従って教育基本法に基づく教育も、<国民の大義(=道徳)を帯した自由民主主義国家の>国民を育成するために行われると同法第1条に規定されています。
社会権規約、自由権規約の両規約は基本的大義を「recognition of the inherent dignity and of the equal and inalienable rights of all members of the human family(=individuals)(is the foundation of freedom, justice and peace in the world,)」と規定しています。
これを外務省訳は「人間社会の全ての構成員の固有の尊厳及び平等且つ奪いえない権利を認めること」と直訳し意味不明文としています。
私はこれを「締約国が認定した家族や共同体の全ての人々(=日本国民)が歴史的に培った
尊い習俗(生き様・多神教、敬神、信仏、崇祖、伝統文化、法律等)と固い絆で結ばれた慈愛の心」と、理解します。習俗を最高に貴ぶという道徳です。
このような基本的大義を実現させるべく、締約国に対してあらゆる法的措置を講じて尊重し保障することを両規約は求めています。日本国憲法は第11条において「国民の基本的
大義を永久に保障する」と至高のものとする、換言すると、これを国家の体質即ち国体であり、国民の主権としたのです。奉仕者たる公務員に対して命がけで国民の基本的大義
に奉仕することを求める条文を設けています。(こまでは、日本人の生き様は、先生の実践報告219頁にある「日本ミツバチ」の習性・生き様に共通します。)
しかし敗戦国に主権は認められないので憲法に基本的大義という言葉を使うもその中身に関する条文をもうけず、空白にしたのです。(巣箱から追い出されて巣箱の無い「日本ミ
ツバチ」にされました。)その形骸化された基本的大義に、左翼勢力が「個人の自由と権利」条文(第12条と第13条から40条に至る条文)を挿入する憲法解釈を占拠することによっ
て「個人の権利の尊重」という「虚の概念」を創設して、国民を全体主義・共産主義に傾斜する憲法に変化させているのです。(「日本ミツバチ」の習性・生き様改造の巣箱です。)
昭和54年、両規約締結により、基本的大義を大黒柱とした自由民主主義憲法を完成させる法的枠組みを示した設計図を入手しましたが、政権政党はそれをお蔵入りして何も
しません。(この結果「日本ミツバチ」の20%位が、改造巣箱に移っているとみられます。)
平成18年教育基本法に第17条を設けて、「虚の概念」に法的地位を付与する法律ができました。平成26年6月地方教育行政の組織及び運営に関する法律に第1条の3(大綱の
策定)を設けることによって、左翼勢力は「教育振興基本計画」(閣議決定)を梃にして、全国の県知事の権限を利用して一気に「虚の概念」(「自立、協働、創造に向けた一人一人の主体的な学び」)の確立即ち革命の完成を狙っています。知事は、法律を以て基本的大義や道徳を滅ぼす革命の尖兵に仕立てられています。
(巣箱を追い出されて70年流浪の民の状態にある「日本ミツバチ」の全部が、有無なく「虚の概念」の巣箱に押し込められる状況にあります。)
両規約は前文末尾において「Realizing that the individual, having duties to other individuals and to the community to which he belongs, is under a responsibility to strive for the promotion and observance of the rights recognized in the
present Covenant,」と規定しています。
これを外務省は、「個人は、他人に対し及びその属する社会に対して義務を負うこと並びにこの規約において認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有すること
を認識すること」と翻訳しています。
私はこれを「個人は、常に他人の家族の人々や自分が属する共同体(=日本国家)に対して尽くさなければならない責務を負っているばかりでなく、日本国民の基本的大義を増進
及び擁護するための責任を負っていることを覚悟すること」と、理解します。
両規約のこの規定は、ノーベル賞受賞者大村智氏の母親の言葉と同じです。しかし、この伝統的道徳の良俗も、「虚の概念」の普及によって、消え去っていくことでしょう。
以上
追記 このような憂慮が現実のものにならないよう、政府筋には行政不服審査法に基づく異議申立や累次愚見を申していることは、別信にてお知らせしているので、省略しま
す。