平成27年9月23日
河北新報社(仙台)御中(F022-211-1448)
湯澤 甲雄 横浜市南区大岡3-41-10T/F045-713-7222
貴社記事「苦悩する教育現場」をインターネットで読みました。特に私が関心を持ったのは、<「教師たちが、授業や部活動と並行して生徒指導に追われていた様子がうかがえる」
「生徒指導が優先され、授業が軽んじられている」「14年度は市立小中学校と高校で計168人が病休に入り、うち57人は心の病が原因」>です。授業や部活動は文科省初等中等教育
局の教科書や学習指導要領に基づく行政であり、生徒指導は文科省生涯学習政策局の教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定)(以下「同計画」という)を参酌して市教委が策定した教育振興基本計画に基づく行政です。
同計画は、平成18年教育基本法改正時に5年毎見直し条件で導入されたものにして、Å4版79頁にわたり「四つの基本的方向性に基づく8の成果目標と30の基本施策」から成り、膨大な事務量を教育現場に負わすだけでなく、意味不明且つ教育基本法第1条(教育の目的)に反するものです。同計画の中に「いじめを跋扈させる原因」があると思います。
「教育基本法第1条(教育の目的)」は、憲法前文1項の規定により「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な自由民主主義国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身共に健康な国民の育成を期して行われなければならない」>と規定されています。
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自由民主主義の法的枠組みは、憲法の最高法規に当る条約・自由権規約、社会権規約にて規定されていますが、家族や共同体の人々が作り上げた尊い習俗と人間愛を基本的人権と称して、この人間的温もりを国がこれを永久に保障するものとしています。これに基づいて教科書や学習指導要領が作られているはずです。ところが同計画は、このような(教育の目的)を抹消しています。代わって「自立・協働・創造に向けた一人一人の主体的学び」と、法的根拠も無く個人の権利(支配する領域を力づくで広げて、他の人を排して利益を得ること)を尊重する・個人に自由の無い・無機質な全体主義教育に変更しています。
個人の権利尊重の行政は、全員が個人の権利を尊重するのですから、合成の誤謬が生じて、不作為で居られる・不作為で居なければならない・皆が素知らぬ顔をする職場が現出します。
そのような真空地帯にいじめが跋扈するし、自殺者が出るのです。国際法規にもない日本独特の概念である「個人の権利尊重」は行政組織から追放すべきです。具体的に言えば、地教行法第1条の3「教育振興基本計画」の廃止を首長は総理大臣に求めるべきです。
而して、教育界や学校の職場に人間味のある温かみが大切にされ、行政職務と良心との葛藤で心を患ってきた教師の仕事量が減り、明るさを取り戻すことができると思います。斯くして心身共に健康な国民を育成する教育を行うことができるようになると考えます。以上
なおご参考までに、いじめ問題とは別の視点でとらえた同計画に対する「異議申立」(写し)をお送り申し上げます。(読解能力の高い記者に同計画全文を読ませてみてくだ
さい。)