横浜市教育委員会 教育長 岡 田 優 子 殿
藤沢市教育委員会 委員長 関 野 真一郎 殿
このたびの教科書採択につきましては、引き続き育鵬社をお選びいただいた教育委員の皆様の高いご見識に深く敬意を表する次第です。
陳者、日頃全国の教育行政一般に、憂慮の念耐え難き思いでおりましたところ、本日総理大臣と文科大臣に対し、添付の如き行政不服審査法に基づく異議申立てを行い受理されましたことにつきまして、情報としてご連絡申し上げます。
また、この異議申立てとほぼ同じ内容について、県の大綱を定める神奈川県知事に対しましても、計6通の請願書を提出して、憲法前文第1項の自由民主主義を国是とする教育と、教育基本法第1条の国民を育成する教育行政の確立を求めているところであります。
残暑なお厳しい折ですが、教育委員の皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
横浜市南区大岡3-41-10 湯澤 甲雄 拝
「平成27年8月24日 文部科学省 27受文科生第708号」(=文科省受付番号)
<異議申立て書>(写し)
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
文部科学大臣 下村 博文 殿
行政不服審査法第6条に基づき下記異議申立ていたします。
異議申立人 氏名 湯澤 甲雄
住所 〒232-0061横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222年齢84歳
記
異議申立てに係る処分 「教育振興基本計画」平成25年6月14日(閣議決定)
異議申立てに係る処分があった
ことを知った年月日 平成27年8月20日
処分庁の教示の内容 文部科学省生涯学習政策局政策課(松田様)が本異議
申立ての行政処分庁であることの教示があった。
異議申立ての年月日 平成27年8月24日
異議申立ての趣旨
(1)教育基本法第17条1項に基づき文部科学省生涯学習政策局政策課が策定し、平成25
年6月14日閣議決定された「教育振興基本計画」を廃棄する異議を申立てます。
(2)同「教育振興基本計画」を国会に報告し公表した処分についても、撤回・取消す異議
を申立てます。
(3)同「教育振興基本計画」に関し、教育基本法第17条2項に基づき、地方公共団体に
同計画を参酌し、地方公共団体に基本計画を定めるよう努めている行為についても、
撤回・取消す異議を申立てます。
(4)生涯学習政策局政策課は、教育基本法第2章「教育の実施に関する基本」の中にない
教育実施局・課でありますので、廃止する異議を申立てます。
(5)「教育振興基本計画」は、日本国憲法の精神に則り、自由民主主義を原理とする政治を
行う国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成
を期して行われなければならないとする教育基本法第1条(教育目的)を教育の座標
軸に定め、以下教育基本法の法秩序に従い定められるべきものです。
法律に則った「教育振興基本計画」を新たに作成する異議を申立てます。
異議申立ての理由
(1)「教育振興基本計画」は、憲法並びに「教育基本法に根拠を置いた計画を策定する必要
がある」(平成15年3月 20日中央教育審議会)として、自由民主主義国家の日本国
民の育成を目的として定められました。しかるところ、策定された「教育振興基本計
画」は、教育基本法に根拠を置かず、国会の決議を経ずして<今正に 我が国に求めら
れているもの、それは「自立・協働・創造に向けた一人一人の主体的な学び」である
>と、新しい目的を設定し閣議決定することによって強制力を備え、法律に定める教
育目的を憲法や教育基本法の効力の外に追放を意図した計画です。即ち、教育基本法
第3条の(生涯学習の理念)を同法第1条(教育の目的)に入れて「国民の育成」を
奪胎させ、且つ、同法第2条(教育の目標)に優先させる法秩序を転覆させる革命行
為であります。かかる法秩序の変更は、国会決議を要しますが行われていません。
よって、違法な「教育振興基本計画」の廃棄を求める異議を申立てるものです。
(2)かかる違法な「教育振興基本計画」に対して行われた閣議決定、国会報告、公表した
処分についても取消す異議を申立てるものです。
(3)教育基本法第17条2項により、かかる違法な「教育振興基本計画」を参酌して、地
方の「教育振興基本計画」が策定されるので、全国の教育行政は憲法や教育基本法の
定めから乖離した教育目的をもって行われています。
文科省策定の「教育振興基本計画」の「教育の目的」が「自立・協働・創造に向けた
一人一人の主体的な学び」であるものが、例えば神奈川県においては「神奈川県教育
振興基本計画」と称するものが存在せず、これに代わるものとして法律の定めには無
い「かながわ教育ビジョン」に変り、且つ「明日のかながわを担う人づくりを進める」
「自立した一人の人間を目指す自分づくり」即ち「個人の育成」が「教育の目的」と
なっています。全国の自治体でも憲法や教育基本法からの乖離が進められ、「個人の育
成」あるいは「無国籍人、地球人の育成」と、正に多様な教育の目的が設定され、自
由民主主義の基本を成す「国民」「共同体」「家族(親兄弟、先祖、子孫)」の解体を進
行させています。(国民を自衛する「安保法案」が「戦争法案」に思える所以です。)
(4)国民は、憲法第26条により、法律の定めるところにより教育を受ける権利並びに、そ
の子弟に教育を授ける義務が保障されています。国民は、その権利及び義務に対する
憲法上の被保障権という法益を教育基本法第2章「教育の実施に関する基本」により
享受するとされています。「生涯学習政策局政策課」あるいは「生涯学習課」という「教
育の実施に関する基本」に存在しない機関を設け実施されるべきではありません。
(5)自由民主主義国家においては、上位法律や同一法律の中の上位条文の前者と、下位法
律や下位条文の後者との間には、秩序が設けられています。即ち、後者が前者に対し
優位に立つことあるいは衝突する場合は、後者は無効とされています。
従って、教育基本法第3条「生涯学習の理念」が、同法第1条「教育の目的」や第2
条「教育の目標」を規律することは無効です。
(6)教育基本法第14条(政治教育)1項「良識ある公民として必要な政治教育は、教育上
尊重されなければならない」とあります。憲法に規定する自由民主主義を原理とする
政治は、国是であり、8月14日安倍首相「戦後70年談話」においてもゆるぎないも
のとして堅持するとあり、積極的に教育課程に採り入れるべきです。このため、昭和
54年国連憲章に次ぐ高位にあるCovenantsに属する自由権規約と社会権規約は、自由
民主主義の原理を述べているものにして、国民の育成のためには欠かせない教材です。
両規約は既に憲法第98条2項の確立された国際法規であり、且つ最高法規となって
いるので、これをわかりやすくして、教育基本法第6条(学校教育)に積極的に採り
入れ(政治教育)を行うべきであります。自由民主主義の原理に基づく政治教育は、
公権力の行使に当たる行為とすべきにも拘わらず、これをしないという文部科学大臣
の不作為に対し、不服があります。
なお国連との条約には、別にConventionに属する児童の権利条約、女子差別撤廃条約
等々がありますがこれらは確立された国際法規ではありません。念のため。以上