「憲法違反の暴挙」はどっちか? | 日本世論の会 本部

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平成24年3月4日

日本共産党委員長 志位和夫 殿

                    湯 澤 甲 雄 
                    横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222


           「憲法違反の暴挙」はどっちか?

1日の記者会見で、大阪市の「国歌起立条例」が成立したことに関して、「憲法が保障する思想、良心の自由を侵害する暴挙だ」と、法制面から批判したことが報じられていました。
しかしながら私の見方からすると、成立させて当然の条例と思いますし、貴殿には憲法や国際条約等の解釈に重大な誤りがあり、「憲法違反の暴挙」は共産党の扇動にあると思われますので、再考されますよう筆を執った次第です。

主権者たる国民は、憲法第三章(国民の権利及び義務)に対する憲法の被保障権を享受するために公務員を奉仕者として任用して、法の定めるところにより福利を得る民主主義政治を定めています。公務員が憲法の被保障権を享受する政治は、民主ではなく官主主義政治です。教育の場合国民は、憲法第26条の規定に従い法の定めるところにより教育を受け、子弟に授ける権利及び義務が保障されています。思想良心の自由の場合も、主権者たる国民に保障しています。奉仕者たる公務員に憲法が保障しているものではありません。
被保障権を保障するために制定された法律は、憲法第11条により永久に保障された基本的人権として、公務員は国民に対し永久の奉仕義務を負っています。公務員が奉仕義務執行中に、身勝手に法から逃れる場合、原則として刑罰が科されます。公務員の身勝手な行動は、憲法の定める統治の基本秩序に反する行動に該当するからです。

定められた法である学習指導要領に基づく国歌起立についても、法の定めるところにより式次第が行われているところ、どうしても法に従わない公務員(教師)がいたので、法の徹底を図るために条例が制定されたのです。国民の奉仕者たる公務員が主権者たる国民の思想、良心の自由が必要ならば、公務執行以前に退職し国民になること以外ありません。(しかし米国では、国民が公務を命じられてそれをどうしても拒否するときは、別に設けられた法律の下に、別の奉仕(公務)を命じられ従事する義務を科して、法の下の平等を保つ制度が設けられています。これは我が国も見習うべき法制です。)

我が国が遵守を公約している国際人権条約(社会権規約・自由権規約)においても、国民と公務員とを奉仕者と被奉仕者に分けて両者を対極に置いています。公務員を、奉仕者であると同時に、被奉仕者とする二重面相を認める規定はありません。例えば、公務員に労働の基本権を認める規定はありません。思想良心の自由も、公務員に認める規定はありません。又、同条約前文において、私的権利を有する個人(思想良心の自由を有する個人を含む)は、常に基本的人権を有する家族や共同体の人々を増進、擁護しなければならない法秩序を規定し、私的権利の一人歩きは認めておりません。同条約をお確かめください。

更に、国民の自由と権利は、憲法第12条により自由が保障されており、「個人の権利の尊重」「人権救済」の美名の下に国の関与は許されません。不服者は民法や裁判所に委ねる制度が確立しています。公務員の不法行為は、憲法第98条や地方自治法第2条17項により「効力を有しない」とされており、刑法第2章(内乱)に該当する場合があります。又、公党が公務員に対しかかる行動を扇動した場合は、破壊活動防止法が適用されます。以上