「征韓論」が遺したもの

 

岩倉使節団は、前回述べたように

 

1871年11月に日本を出発。

 アメリカ、イギリスに滞在した後、

ヨーロッパ大陸へ

フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、ロシア、

デンマーク、スウェーデン、イタリア、オーストリア、

スイス各国を訪問しました。

 

この間、留守番政府は、

すでに様々な政策を実行に移しています。

 

どうであれ、この時代の先人たちの

先見の明と志に驚くばかりです。

 

 

  圧倒的だった留守番政府

 

1875(明治8)年、

政府が江華島事件を起こしました。
ペリーと同じように日本朝鮮近海で測量し、
これに砲撃した朝鮮を攻撃して砲台を占拠、
翌年日朝修好条規を締結しました。
 

「征韓論」を唱えて大久保利通と対立し、

政府を去ったと

多くの日本人はそうした知識が先行している

のではないでしょうか。

 

私がそうでした。
 

西鄕は、こうした政府の一連の行動に

道理がないと批判しています。

 

では、西郷隆盛はどうしようとしたのでしょうか。

やはり、道理をもって話そうと

したのかもしれません。

 

結果はどうなったか、

これについては想像がつきません。

 

ちなみに、

西鄕隆盛が自ら「征韓」という言葉を

用いたことは一度もないとのことです。

 

それが、多くの場合

「征韓論」の先鋒は西郷隆盛のように

いわれてきました。

 

 

 

移欧使節団留守中の

政府の政策はめざましく、
地租改正、

太陽暦採用、

徴兵制、

紙幣発行、

鉄道敷設、

学制発布と、
 

近代国家に必要な土台となる政策を

次々と実行しています。

 

つまり、使節団が海外で

国家ビジョンやモデルを模索しているとき

すでに、これらの近代国家へ向けた政策が

行われていたということになります。

これらは、
太政大臣が三条実美、
参議が西鄕隆盛(薩摩)、
板垣退助(土佐)、
副島種臣(佐賀)、
江藤新平(肥前)、
後藤象二郎(土佐)、
大木喬任(たかとう)(肥前)で、

江藤新兵以下は、

移欧使節団留守中の

明治6年からのメンバーでした。

帰国した木戸孝允には、

留守中相談もなく人事を行い

長州出身者がなく、
 

さらに極めて重要かつ必要な政策を

短期間で実行した留守政府、
 

つまり土佐・肥前らを排除する

可能性もあったといわれます。
  
結局、板垣退助、江藤新平、後藤象二郎、副島種臣らは、
辞表を提出して受理されます。

 

  「征韓論」が残した大きなツケ


西鄕隆盛も参議の辞表は受理されましたが、
陸軍大将の辞表は受理されませんでした。

命もいらぬ、名もいらぬ、官位も金もいらぬもような人物は処理に困るものである

というように、
「明治6年の政変」で西鄕隆盛は、陸軍大将のまま、

鹿児島へ帰ってしまいます。

 

その莫大な給与だけが残ったと言います。

このことは、

江藤新平が佐賀の乱に、

西鄕隆盛は西南戦争にと、

大きなツケを残しました。
 
勝海舟は、賊軍とされた西鄕隆盛について、

政府に対し

「西鄕は政府に何悪いことでもしたのか」と痛烈に批判し、
名誉回復に奔走しました。
 
最終的に1876(明治9)年締結の

「日朝修好条規」は不平等条約となりました。

結局日本は、ペリーと同じことをやり返していると、
しばらく私は考えてきたのですが、

法整備が十分でない上に、可能性として、

もしこれが平等条約の場合、
清国がその宗主国といっているのですから、

むしろ清国の立場がなくなり、

清と日本の対立は悪化することは必至です。
もちろん、話し合いで納得してもらうのが一番いいのですが、

これまでの経緯も踏まえて、果たしてそれができたのでしょうか。
 

再度言えば、  

明治政府は、朝鮮を独立国家として近代化することが、

日本にとっても朝鮮にとっても安全保障になると考えた、

ということになるのでしょう。

 

この考え方が、やがて

日清戦争

日露戦争

そして

大東亜戦争(太平洋戦争)

と続いていくことになります。


最後に、当時の国名が「李氏朝鮮」であるのに

征「韓」論であるのは、
日本書紀や古事記の「三韓征伐」に

由来しているとのことです。
 

三韓とは、高句麗、新羅、百済の三国で、

神功皇后が太古に

日本に服属させたとあることによります。



最近思うことがあります。

徳川慶喜は、大政奉還によって日本の分裂を救い、

西郷隆盛は、西南戦争によって維新を切り拓き、

戦前の戦争と

310万人の先の戦争の日本人の魂の上に

現在の我々が生きている。

 

東京に行った際、

時間があると靖國神社を参拝しています。

 


今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

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