生きるってことは、自分の中の死んで行くものをくいとめるってこったよ。」 
    沢田竜彦(山崎努)(ドラマ「早春スケッチブック」)  

                山田太一(1934~2023)原作

 

私のブログを開いていただき、ありがとうございます。
 

山田太一氏(脚本家)との出会いについて、

書いた数年前のブログを再編してアップします。

 

 

  山田太一氏の主なテレビ番組作品

 

男たちの旅路 NHK1976  2月 -1982
岸辺のアルバム TBS1977  6月-9月
あめりか物語 NHK1979 10月16日-19日
大河ドラマ 獅子の時代 NHK1980 
想い出づくり TBS1981 9月 -12月
タクシー・サンバ NHK1981 10月
男たちの旅路 スペシャル NHK1982 2月13日

早春スケッチブック フジテレビ1983 1月-3月
夕暮れてNHK1983 1月 - 2月
ふぞろいの林檎たち TBS 1983 5月 -7月
日本の面影  NHK 1984 3月
教員室 NHK 1984 9月24日
輝きたいの  TBS 1984 5月
ふぞろいの林檎たちII TBS  1985 3月 - 6月
冬構 NHK 1985 3月30日
シャツの店 NHK 1986 1月 - 2月
深夜にようこそTBS1986 6月 7月
ふぞろいの林檎たちIII TBS1991 1月 - 3月
ふぞろいの林檎たちIV TBS1997 
君を見上げてNHK2002年2月 - 3月
        (Wikipedia参照)

 

 

  一人暮らしを始めた頃

 

私が教師になり、

一人暮らしをはじめた頃でした。

 

この山田太一氏の「早春スケッチブック」が見たいがために、

当時やっと一般家庭に普及しはじめていた

ビデオVHSデッキを買った記憶があります。

 

東京の大学に入学した弟も

電車で私のアパートに来ることがありました。

 

当時デッキは、20万円ほどで

私の給料より高めくらいでした。

 

学生であった弟は、やはり山田太一ファンで、

給料取りの私をそそのかしました。

 

「兄貴、ビデオ買えば、山田太一が見られる。買った方がいい。」

「高ぇなあ。ビデオ。ウーン」

といいながら買ってしまった記憶があります。

 

まだ、リモコンはなく、

ホームセンターかどっかで150㎝ほどの棒を購入、

それをリモコン代わりに使っていました。

立ってスイッチを押せば済むことだったのですが。(笑) 汗

 

この横着さのみっともなさを見ていたかのように、

まもなくリモコン時代となりました。
 

何のことはない、

弟は私のビデオで随分得をしたはずです。

 

もっとも、慣れない地域で知り合いもなく、

荒れた学校の往復でしたので、

弟のおかげで随分精神的には

助けられたと思っています。

 

夜は、帰りも遅く夕飯を作る気力もなくなり、

たまたま開いていた定食屋に入り、

以来ほぼ毎日そこの定食を食べていました。

 

毎日来ては同じようなものを食べるので、

気の毒に思ったのでしょう。

 

「お客さん。よかったら別メニューで勝手につくっていいかい」

ということで、

 

毎日600円で腹一杯食べさせていただきました。

見知らぬ都会で、人情に触れ感激しました。お願い

 

そのうち、いろいろ話をするうち、

親父さんには随分なぜか気に入ってもらい

面倒を見てもらいました。

 

その後、上京すると、

そのついでに親父さんたちに会いたくて

何度か足を運びました。
 

天に唾することはしたくありませんが、

学校は荒れ、多くの同僚の

いわば「お山の大将」的考え方には全くなじめず、

家では、常に一人きりでした。

 

かろうじて、

校長先生と少数の同僚に気にかけてもらって、

そして600円の定食と親父さん、女将さんの笑顔は、

ありがたく、

 

人はやはり人の情けに生きる気力が湧いてくる

ものだと思います。

 

そそのかされて買った高価なビデオと

それを目的に足を運んでくる弟にも

今考える感謝しなくてならないと思っています。

 

都会で当時の私のようになり、

苦しい思いをしている若い人たちは、

特にこのコロナ禍を思い出すと、

 

あの当時以上に多いのかもしれません。

孤独は、気が付くことで

周囲の人たちへの感謝に変わります。

 

 

  孤独に響いたテレビドラマの台詞

 

「早春スケッチブック」で山崎努演じる和彦(鶴見辰吾役)の父、

沢田竜彦の毒を含んだ、

心の奥底から絞り出すような言葉は、

画面を飛び超えて死にそうな私を

蘇らせてくれたと思います。

 

山田太一 山崎努
 

生きるってことは、自分の中の死んで行くものを

                 くいとめるってこったよ。」 
 

自分を磨くんだ。世界に向って、

   俺を重んじよ、といえるような人間になるんだ。」 
 

バカいっちゃいけねぇ。

そんなふうに見切りをつけちゃいけねぇ。  
人間ってものはな、もっとすばらしいものなんだ。
自分に見切りを付けるな。

早春スケッチブックの雰囲気だけですが↓

 

この台詞(ことば)は、

名優山崎努氏が放つことによって

胸に突き刺さってくるものでした。

 

たかが、テレビドラマ、ではなかったですね。

 

数年前は、webでも見ることができたと思います。

 

次はもうちょっと沢田竜彦の名言を

追って見たいと思います。

 

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。