遠くで知らない男が大声をあげた
その声は次第に近づき
私の前に立った
この男はだれだ
夢に出たあの人か
いいや、そうじゃない
私はこの人を
知らない
必死に私に向けられる声に対して
その嬉しそうな顔を台無しにすることが分かっていても
私はこう言うことしかできなかった
いいえ、
人違いです。
処女小説
良い響きじゃないか。
僕はこの四文字で、世界が見える。
高校の図書室、いや中学の図書室かもしれない。
とにかく制服を着る図書館だ。
そこには図書委員の女の子がいた。
その子はメガネをかけていて、文学が好きなのだ。
そう、いわゆる文学少女というやつだ。
彼女は決して目立つ存在ではない。
いいやむしろ、地味だろう。
きちんと校則通りに着用された制服。
時代遅れではないものの、ファッション性など求めていないということが如実に感じられるメガネ。
運動が得意という性格ではないことを表した、雪のように白い肌。
流行の髪形などに興味がないのか、知らないのか。その髪はただ、肩までまっすぐ伸びている。
見慣れた夕方の放課後、めったに図書室に来ない君が、詰まらない帰宅から逃れるために訪れた図書室で、
そんな彼女と目が合う。
そして思春期の君は、這うような、絡みつくような視線を彼女に送る。
まるで白磁でできた芸術品を味わうかのように彼女の透き通る四肢を一つ一つ見つめ、
やがてその視線を、赤らんだ頬に、その唇に、向けてしまう。
思わず唾液を飲み込んだ君は、その唾液の余りの多さに驚いてしまう。
恥ずかしそうに、おびえるように、夜空を思わせるような彼女の瞳が
右へ左へと逃げ惑う。
もう君は、目を離せない。
思春期の君はただ、ひだすらに、
気になって仕方ないのであった。
この娘は
処女なのかと。
良い響きじゃないか。
僕はこの四文字で、世界が見える。
高校の図書室、いや中学の図書室かもしれない。
とにかく制服を着る図書館だ。
そこには図書委員の女の子がいた。
その子はメガネをかけていて、文学が好きなのだ。
そう、いわゆる文学少女というやつだ。
彼女は決して目立つ存在ではない。
いいやむしろ、地味だろう。
きちんと校則通りに着用された制服。
時代遅れではないものの、ファッション性など求めていないということが如実に感じられるメガネ。
運動が得意という性格ではないことを表した、雪のように白い肌。
流行の髪形などに興味がないのか、知らないのか。その髪はただ、肩までまっすぐ伸びている。
見慣れた夕方の放課後、めったに図書室に来ない君が、詰まらない帰宅から逃れるために訪れた図書室で、
そんな彼女と目が合う。
そして思春期の君は、這うような、絡みつくような視線を彼女に送る。
まるで白磁でできた芸術品を味わうかのように彼女の透き通る四肢を一つ一つ見つめ、
やがてその視線を、赤らんだ頬に、その唇に、向けてしまう。
思わず唾液を飲み込んだ君は、その唾液の余りの多さに驚いてしまう。
恥ずかしそうに、おびえるように、夜空を思わせるような彼女の瞳が
右へ左へと逃げ惑う。
もう君は、目を離せない。
思春期の君はただ、ひだすらに、
気になって仕方ないのであった。
この娘は
処女なのかと。
この黒く塗り固められた大地に
白い橋がかけられている
対岸を目指す全ての人のために
その橋はかけられている
「気をつけて、黒い大地では悪魔があなたを攫(さら)おうとしているわ」
私はその橋の渡り方を
ある人に習った
私はそれに習い
私は対岸へと進みたいがために
その橋の前に立つ
「さぁ、渡ろう。でもまずは、悪魔に気をつけよう」
右を見て
左を見て
もう一度右を見て
左を見て
そしてまた、右を見て
そしてまた、左を見る
私は一体
いつ横断歩道を渡れるのか
白い橋がかけられている
対岸を目指す全ての人のために
その橋はかけられている
「気をつけて、黒い大地では悪魔があなたを攫(さら)おうとしているわ」
私はその橋の渡り方を
ある人に習った
私はそれに習い
私は対岸へと進みたいがために
その橋の前に立つ
「さぁ、渡ろう。でもまずは、悪魔に気をつけよう」
右を見て
左を見て
もう一度右を見て
左を見て
そしてまた、右を見て
そしてまた、左を見る
私は一体
いつ横断歩道を渡れるのか
