日本語ラップ研究所


日本語ラップ研究所


(2011/12/14発売 アリオラ・ジャパン \3,800)

言わずと知れた日本語ラップのパイオニア、ジブラの2枚組6th,7thアルバム。



2枚とも共通して特にここ数年のジブラの活動が色濃く出ている。

まずポニーキャニオンからアリオラへの移籍だが、すっかり角の取れたコマチよろしく、日本語ラップにポップさを求め制約の多かったポニーキャニオンを離れ、ラッパーほぼ0のアリオラへ移籍し自由度が増している。

そしてクラブDJとしての本格的な活動。2枚ともクラブを想定したノリやすいトラックが多い。またDJとして活動の舞台もアジアに広がり、通じる言語(=英語)の重要性も意識し特にフックでは英詞が多く実用性も高そうだ。



これらを踏まえ、Black Worldでは時に皮肉的に、時に一人の人間として、時にラッパー特有のフィクショナルな誇張表現を絡め、決して甘くない世界・環境に対するハードな意見が提示されている。

一方でWhite Heatではさらにクラブでの機能を意識しガチガチに韻を踏むのではなく、トラック自体のグルーヴや、シンガーの見せ場を引き立てる役に徹している。テーマもBlack Worldがマスなのに対し、身近な日常生活上の話がテーマとして扱われ、ここも対比構造になっている。



そしてBlack Worldで一切の意見をまとめ、White Heatでは震災について触れていないというのも特筆すべき点だ。

多くのラッパーが震災を扱いアルバムバランスに悩む中、2枚組にして境界を作ることでこれだけの曲数あるアルバムの像をブレないようある程度タイトにまとめられている。



とここまでベタ褒めだが、自由度が強くなった分、やりたい曲とアルバムテーマの境界線で闘った跡も見られる。

またトラックの色が強すぎてジブラのラップスキルを味わい難くなっているのも確か。また、予想していたよりも英詞は少なかったが日本語のみでしっかりと踏む箇所が少なかったのもヘッヅとしてはモノ足りない。



期待値は越える作品になったと思うが次はもっとシンプルにラッパーのスキルを楽しめるアルバムも聴いてみたい。