ようこそ！
『 日 本 語 を 楽 し も う !! 』 へ
また、読みに来てくれたんですね…！
………。
化粧で使う色とは
何色でしょうか？
今なら…
何色でも使えるのかも
しれません。
ピンクもオレンジも
グリーンもイエローも…
色々な色が
使えるんでしょうね、屹度。
………………。
敢えて
カタカナで書きましたが…
江戸時代の女性が
化粧で用いる色は
三色だと
云われています。
………………。
芝居や
伝統的な芸能でも使いますが
白粉(ｵｼﾛｲ)の
白。
“紅を差す”と云われる
頬紅・口紅の
紅。
そして
既婚女性が行う
“御歯黒”(ｵﾊｸﾞﾛ)の
黒。
………………。
今から
色そのものの話を
しようとしているので
余談になりますが…。
普通
一般の町娘が
…余り
山深い田舎では
“鉄漿付け”(ｶﾈﾂｹ)は
していなかった
といわれていますので
村娘は入れないことにします…
初めて“御歯黒”をするのは
婚姻してから
女房になってから
つまり
既婚女性がするものと
いわれています。
一部では
１８歳以上の
未婚の女性も…
女性の成人とされた
１３歳以上の娘も…
鉄漿付けをしていたと
云われています。
大抵
鉄漿付けをする女性は
引眉(ﾋｷﾏﾕ)もしたようですね。
今と同じで
要は
眉を抜いたり
剃ったりして
そこに
改めて眉を書くことです。
“作り眉”とか
“まよ書き”とも
いいます。
………………。
“御歯黒”は
高貴な人の使う言葉
もしくは
江戸よりも
もっと古い時代の
高貴な人が
使った言葉のようです。
上に書きましたが
江戸時代では
“鉄漿付け”(ｶﾈﾂｹ)
と言っていたようです。
古くは
“歯黒め”(ﾊｸﾞﾛﾒ)
と言っていたようです。
………………。
“鉄漿”
は
“おはぐろ”
と読めるんじゃないのか？
と思った人がいると思いますが…
読みと意味の関係を
説明する前に…
そもそも
“おはぐろ”と言った場合…
歯を黒く塗る行為
もしくは、
黒く塗った歯の状態
そして
それに用いる液
などの意味を持っています。
それを踏まえた上で
“鉄漿”
の読みは…
“てっしょう”と読むと
鉄を水に浸した液で
染料とするもの。
または
御歯黒に使う液。
“かね”と読むと
御歯黒に使う液。
“おはぐろ”と読むと
歯を黒く染める習慣。
または
御歯黒に使う液。
…という
３つになります。
………………。
ところで
鉄漿付けの液って
何でしょう。
“おはぐろ”っていうぐらいですから
真っ黒の液でしょうか？
さーて
ここから色の話です。
………………。
空五倍子色という
色があります。
染料や薬用に使う
五倍子(ﾌｼ)
もしくは
空五倍子(ｳﾂﾌﾞｼ)
から作る色です。
“うつぶしいろ”
と読みます。
………………。
五倍子は
ウルシ科の
白膠木(ﾇﾙﾃﾞ)という植物の
若葉に出来た虫癭(ﾁｭｳｴｲ)
つまり
虫が作った瘤(ｺﾌﾞ)のことです。
中が空洞になっているので
空五倍子(ｳﾂﾌﾞｼ)
ともいいます。
要は
アブラムシ科の昆虫が
寄生して出来た瘤のような
塊ですね。
何故か
白膠木は
アブラムシに好かれるようで…
代表的なものでは
ヌルデノミミフシ
（白膠木耳五倍子）
という
1mmから1.5mmぐらいの
虫がいて
無翅雌虫が
葉っぱ
もしくは
葉の付け根に
瘤をいくつも作るんですね。
この瘤…
虫癭が
人間の耳の形をしているので
耳五倍子(ﾐﾐﾌｼ)ともいいます。
いくつかの説があるのですが…
“五倍子”と書くのは
アブラムシのために
若葉が丸まって
五倍の大きさに
膨らむから…
とも云われています。
………………。
さて五倍子は…
五倍子が乾燥すると
鶯色を濃くしたような
色であったため…
…念のため
言っておきますが
これは
“空五倍子色”
のことではありません。
虫癭を乾燥させたものの色です…
元々
染料に使われていて
薬用にも使われました。
誰が調べたか知りませんが (ﾌﾟﾌﾟｯ)
五倍子には
タンニンが含まれています。
………………。
そろそろ
“染め”の話
と
“鉄漿付け”を
どうやって行うのかの話に
入りたいと思います。
いよいよ
本題に入ります。
………………。
いやーっ
ここまで
長かったねぇ。
ちょっと
御歯黒の話が
長かったでしょうか。
ちょっと
休憩…。
ﾃﾍｯ
ﾌﾟﾌﾟﾌﾟｯ
………………。
さて
鉄を
酢や酒に浸して
何ヶ月か貯蔵すると
独得の臭いの
悪臭を放つ液体になります。
これを
“鉄漿”(ｶﾈ)
といいます。
五倍子を用いた
タンニン染め
五倍子染め
をする場合
媒染として
この鉄漿を使います。
つまり
五倍子の液だけでは
繊維に染み込みにくいので
鉄漿を
先か後か…
または
２液を混ぜて用いて
染色する訳です。
これが喪服に使う
黒ずんだ灰色となり
これを
“空五倍子色”
(ｳﾂﾌﾞｼｲﾛ)
といいます。
空五倍子色
………………。
さてさて
最後に
鉄漿付け…
御歯黒の方法ですが
上の
染色で書いた
五倍子と鉄漿の
両方を使います。
まず
鉄漿を沸かし
それを少し小皿に入れ
そこに
五倍子の粉
五倍子粉(ﾌｼｺ)
を入れて
練り混ぜるようにして
どろどろ
もしくは粘土状にします。
このとき
酢酸第一鉄とタンニン酸が
反応して黒になるんですね。
それを
羽楊枝に付けて
歯に塗る訳です。
元々
そこまで考えられていたのではない
と思いますが
歯槽膿漏や虫歯の予防に
なっていただろうということですね。
………………。
またまた
余談ですが…
鉄漿付けが初めての女性に
鉄漿付けをしてやる…
やり方を教えてあげる女性のことを
“鉄漿親”(ｶﾈｵﾔ)
または
“御歯黒親”(ｵﾊｸﾞﾛｵﾔ)
といいます。
後に
婚礼の世話係のようなことをする
女性の事をいうようになったようですが…
その
鉄漿付けが初めての
娘と血縁のある
おばさんなどで無い場合は
近所の
円満そうで朗らかな
世話好きの
明るい既婚女性を
選んだようです。
『 丸～く治めるよ
このオフクさんは…
何でも任せなさいよ。
小間物には五月蠅いんだよ！
鉄漿(ｶﾈ)はね。
ちょっと、臭いけどね…
不審顔だね…。
さあさあ
口を開けて歯を見せてごらん。
羽楊枝で
綺麗に塗ったげるから…。 』
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