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絵師 高橋天山ブログ

日本画家が語る日本文化の素晴らしさ
菱田春草を語る

国立近代美術館で用意されている、菱田春草没後100年記念展は、非常なインパクトを社会に与えるでしょう。


空間恐怖症ではないか?と呼べるくらいに、映像革命によって、人工的に造られた画像に翻弄されている現代人へ、一幅の快味を提示する事になるからです。


【余白の美】という言葉に代表される【日本画の創意の真価】は、人間本位の心地よい暮らしの為に存在してきたのであって、現在の映像革命による【銭集めの為の洗脳】、とは、全く正反対に位置するものだからです。


いい加減疲れるだけのCGや、実写版と称する、下らない、要らざる説明は、・・・・・モウ沢山。

説明すればするほど、写実的リアルを求めるほどに・・・・・夢はなくなる。ノデス!


こちらの勝手に妄想させてくれるという、人間ならではの心地よさをすっかり忘れた現代社会であります。


今日はこの作品をご紹介します。




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  【羅浮仙(らふせん)】



 大寒の候、北海道などマイナス30度とか・・・・春が待たれますね。

 羅浮仙とは、梅の妖精、のような存在で、

 春草は、梅の香りまで描ききっています。












今日は、屏風【芦雁(あしかり)】



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画像が小さくて、・・・・・。上が左隻。下が右隻。


芦の生える水辺にたむろする雁と舞い降りようとする雁・・・、です。

雁・・・・とは、鴨に属する鳥のなかで大型のものの総称。


【月に雁】、など、和歌や画題に良く使われる場合がありますね。

冬、寒くなると渡ってくるので、枯れた山野を彩る風物詩として、結構目立つ存在なんです。鴨料理の原料?でもあります。


何を描かせても上手い春草ですが、鳥は、まず、ダントツ。超超、一流!


細部をご覧下さい。実にきっちり描いています。

何れも拡大する事ができます。



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ほのかな金色の空間に、優しげな羽音が聞こえてくるではありませんか。









 春草の活躍した明治時代には、まだ、今の、日本画材店においてあるような品物はなかったのです。


 今、日本画材店へ行くと、誰でも目を引かれるのが、並んでいる瓶入りの岩絵の具。


 所狭しと並べられている、色彩の乱舞には、誰でも驚かされることでしょう。初めての方ほど、そうです。よーっく、見ればその値段にもビックリする事がしばしばですが、岩絵の具には大きく二種類あって、一つは、天然岩絵の具。そして、モウ一つは、人造岩絵の具。


 全ての岩絵の具はこのどちらかに属すのです。


ところが、天然岩絵の具は大昔からありますが、人造、(人工)、岩絵の具は、明治時代にはまだ、存在していませんでした。


そりゃそうです、近代の化学工業がまだ、芽生えたばかりですから、人造岩絵の具が現在のラインアップとなったのは、けっこう最近の事。


つまり、春草は、人造絵の具を使うことは出来なかった。


日本画を描いたことのある方はおわかりですが、天然絵の具は上品だけれど、今ひとつはっきりした色相を持っていません。そこへゆくと、人造絵の具は、赤なら、真っ赤だし、黄色だって、はっきりとして輝いています、全部とは云わないまでも、殆ど、全て、原色から中間色まで、アラユル色彩が、人造絵の具のほうがはっきりした色相を備えている場合が多いんです。


典型的な例外は群青、と緑青。

これは、天然のものが断然、輝いています。  が、それ以外は・・・そもそも、天然岩絵の具には“ない色”が多い。


藤色、とか、紫とか、がその代表ですが、例えば赤、にしても、天然物には、朱色はあっても、イワユル、真っ赤な岩絵の具はなく、深みのあるしっとりとした辰砂という赤は、人造絵の具の赤に比べると、上品だけれど、貧弱なくらい鈍い赤色。


つまり、人造絵の具では、深さとか品とか言うものは得られないけれど、彩度、明確さでは、少しも引けをとらないどころか、天然には得られない様々な色彩を生み出すことができるのです。


春草は、早世していますから、少しも人造絵の具の恩恵には預かっていないわけです。亡くなったのが明治44年ですから・・・。


だから、秋の紅葉を描いても真っ赤に描いた作品はありません。控えめな、地味な、・・しかし、しっとりとして、奥床しい紅葉を描いた。


現代人は、アラユル物が揃っているのに、春草のような高雅な作品が描けなくなった。・・・・春草は、限られた材料で描いたのに、断然素晴らしいのは・・・?


なぜ?





  【暁風】




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 拡大して下さい、色彩が地味な典型です・・・・・が、アカツキの風を感じますね。








日の出の図、は数多ありますが、こんなに日の光を浴びれる絵は、他にありません。大観の日の出の図がこの半分くらいの光・・・・・・・?


【旭日静波】




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これぞ、お正月の朝!!!

日本晴れの始まりです。ご来光!






源氏物語絵 <究極の日本伝統文化> はコチラです。http://blogs.yahoo.co.jp/t_tenzan
















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この作も蓬莱山ですが、真ん中に佇立している巌山には緑がなく、右端の岩山に緑。左下に低く現されている岩山はでこぼこしている・・・・三羽の鶴に対して、岩山も三つ描かれているのですが、三つともぜんぜん違う性格を持たされている。


日本画=大和絵、の構図法、造形法、が遺憾なく駆使されているのです。


違う性質のものを結合する事で、美観を創出する・・・・・


春草の鋭敏な造形感覚は、いつ見ても、超鮮やか!!!



仄かに空に茜色がさしているのも、グレーの巌山に対する引き立て役。なんですね。もう、完璧に行き届いている訳です。


日本的造形を語ると長いのでこのくらいにして、もう一点。 どうぞ。



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【海辺】と題された、横長の作品、部分を掲げます。拡大してご覧下さい。

ほのぼのと新春の海辺という感じ。漁り舟が岩場に隠れようとしているところを捕らえて、見事な造形感覚が又しても繰り広げられています。


ほんのりと紫VS茜色の対比が美しい!!


横構図の絵は、需要が少なかった時代。床の間には横長の絵は入らないからです。戸袋とか、地袋とか、小さな物入れの襖に描かれたものでしょうか??









大和絵と太平記 <勤皇の心> はコチラへ http://tenzan.iza.ne.jp/blog/


大和絵の至宝 <日本画の真髄> はコチラへhttp://plaza.rakuten.co.jp/nihongaka/


古事記1300年 <日本神代絵巻制作記> はコチラへ http://tenzan.sblo.jp/

 

源氏物語絵 <究極の日本伝統文化> はコチラです。http://blogs.yahoo.co.jp/t_tenzan


明けましておめでとうございます、本年もどうぞ宜しくお願い致します。


いよいよ、本格的に不世出の大天才、菱田春草を語りましょう。


年頭にあたって、お正月に相応しい絵を、、、縁起の良い【蓬莱山


三点ともおなじ画題です。




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鶴が飛んでます・・・




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高師が描かれてます・・・





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水辺と鶴が・・・・


拡大して下さい。




永遠の理想郷の様な、意味があるんですね。


良い年となりますよう・・・







年の暮れにご紹介したい春草作品はこれ。


【月下孤禽(げっかこきん)】




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しみじみと、実に奥床しい画風です。深々とした、月の影を背負って・・・雁はどこへ行くのでしょう。地球という生命に直に出くわした・・・ような感覚に襲われます。

言葉を失う魅力。思わず、魅かれる・・・・この力は尋常ではありません。

まさに、春草ならでは。大天才などと今更言うのもオコガマシイ・・・・




【雪中飛雁(せっちゅうひがん)】




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雪の冷たさに空気を震わせて、雁が落ちて・・・・・




【菜の花】



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春草の天才に触発されて、大観の天才も花開く・・・というパターンは、良く知られるところ。この大観作品を見ると、ナルホド、・・・・・


しかし、イイですねー。



春草で暮れる1年でした。






この絵でした、先回ご紹介したのは。




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黄色いカエデを背景にしたアオバト。  【秋】


イタチと八つ手の作品が、 【春】  で、一対になっています。


ちょっと似た作品に



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ジョウビタキの色彩と、紅葉の色彩と、お互いに引き立てあってますね。


隅々まで、緊張感が漲っているのが春草画の特徴。それでいて、ちっとも窮屈な感じがありません。むしろ、ゆったり、心地よさにひたる感じ・・・・・


サインも優しい、、、そして、厳しい。




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ランダムに取り上げたので、絵とは一致しませんが・・・いかがですか??


優しさに満ちた、書体だと思います。


良い字ですね・・・







春草に明け、春草に暮れる・・・平成23年もあとわずか。

 


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ちょうど、南天の赤い実が、稔る頃。こんなに寒いのに、南天はとかく、陰気になりやすい冬場を明るくしてくれるのです。

この作品は、屏風の部分。春草最晩年の、おそらく、絶筆ではないか?とされる、名品。全図があったのですが、、今見つからず・・・仕方なく部分だけをご覧下さい。


八つ手と南天を主題とした、地味であるけれども、奥光りするような、画面の底から、暖かい春風が吹いてくるような、そんな、作品です。


八つ手の作品がもう一つ、




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これは、画題が思い出せないのですが、、、たしか春秋の対作品で、この八つ手は、春。この下にイタチが、実に可愛く描かれています。




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どうです? この表情・・・・ちょっと、いや、実に良いでしょう!

動物を描かせると、これまた、大天才振りを遺憾なく発揮してくれるのが我等が春草




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対になっている秋のかえで図、アオバトがこっちを見ています。

なんでしょうか??何か問題が??  と、きょとんとしているのが、実に鳩らしい。



こんなに、絵を切り刻んでしまって、構図の良さが失われてしまいますが・・・

部分を拡大すると、隅々までしっかりと、描いているのが春草の作品であることが、

わかります。


ついでに、大傑作、落葉の部分をどうぞ。




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やっぱり、いいですねーー・・・・。




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いつ見ても、うっとりしてしまいます。 深い味わいが、ひしひしと胸に迫ってくるのです。





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これも、ご存知・・・砧。

秋の夜長・・・とんとんとん・・・・音が聞こえてくるではありませんか。




東京にも美しい紅葉がやってきました。野山はとうに、秋は過ぎ、凍てつく冬サカる頃、大都市東京のささやかな自然は、ようやく深い紅葉シーズンを迎えるのです。毎年都心の紅葉シーズンは、12月初旬・・・・


春草は雅号に春の文字を持ち、何ともいえない陽春の朗らかさを描き出す名人ですが、秋の風情も勿論名人。


今日は、【秋渓】を取り上げてみましょう。

この作品も勿論すばらしいもので、ことに秋の景、谷間や、水辺の秋の情趣を描かせたらこの人の右に出るものはありません。


水煙の中に紅葉の枝が掛かり、濃厚な、秋の渓間の気配・・・



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同部分

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この、秋の渓谷を描いた作品は、実に不思議な秋景作品です。


と言うのは、まず、紅葉と言えば、赤や黄色、オレンジ色・・・ですが、この作品に使われている紅葉の色彩は、白。珊瑚色。朱。の三つ。どうぞ、拡大してご覧下さい。


普通、錦秋とか、紅葉とか言えば、赤や黄色。赤はありますが、

白や珊瑚色で表現するなんて、普通は考えもしません。

ちょっと意外な感じがしますし、よーく見ると奇異な感じすら・・・・



背後の渓の景は殆どグレーで、モノトーンでの表現に抑えられています。

水墨調ではなく、灰色の濃淡で、いわば無彩色の世界。


主役の紅葉には、白と朱と、その両方で生まれる混色・・つまり白と朱だけが使われているのです。


★灰色と言うのは、感情を感じさせない色。言わば無性格な色彩です。

★白は、何色にも染まる可能性を持つ無性格な無彩色。

★珊瑚色は白に僅かに朱を混ぜた、淡い中間色。

★朱は、感情を掻き立てる明確な有彩色の代表で、これ以上主張の激しい色はありません。赤よりも扇情的。


つまり、この秋景で、四種類の色彩の奇異な関係を使って、非常に実験的な手段を試みているのです。

以下の三作品はこの奇異な感じはありませんね。

色彩の組み合わせが生み出す造形の不思議さを知り抜いている春草ならでは・・・・・・・




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