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絵師 高橋天山ブログ

日本画家が語る日本文化の素晴らしさ
菱田春草を語る

春草が、画学生だった時の“牧童”図をご紹介します。

画面が左右に長い、当時としては、横長よりも、縦長の方がポピュラーだったのですから、これは異色。

昔は、絵画は床の間で楽しむもの。床の間には、やはり、縦長の作品。と言ううわけです。

しかし、若描きとしても、これは実に良い出来栄え。





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二頭の牛と二人の牧童、勿論主従はあるのですが、対照的に二つのものを一つの画面で調和させるのは、なかなかテクニックが必要。

風を感じませんか?中央の木を境にして、右と左の世界が、同じもの同志で構成されているのです。立ち止まった右手の牧童に対して、画面左に向かって風に送られるように、牛を追い立てる牧童、二者のバランスが、小気味良く、狩野風の昔ながらの画風もあまり気にならないのは、この構成の妙が行届いているせい。

色彩が無いのがまた、ストイックで絶妙ですね。





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子供は、手足を大きくするとか、額を大きく描くといった誇張をすると、カワユクなるセオリーの通り、実にかわいらしい牧童に仕上がっていますね。

大天才の真骨頂がここにも。画学生のくせに、プロの仕事になってしまうあたりは、

・・・・・・・・・?







  明治神宮宝物殿会館九十年記念展 《十二単 の世界》四季を飾る「かさね」の美、展が、明治神宮文化館で開催されています。

 4月29日から7月3日(日)まで。原宿や、明治神宮前駅から、神宮本殿へ参拝する参道の右手。おみやげ物、レストラン、軽食コーナー、などがあるエリアの二階です。此の美術館は、いつもいつもスバラシイ内容で、しかも入場料500円。大観展も。春草展もここで開催されました。

 筆者も時々勧められて行くのですが、美術業界の情報には載っていない企画が多く、見逃してしまいやすいのですが、ホント、良い企画だらけ。

 今回のは、私にとって全くヨダレ物。源氏物語を描ききる事をライフワークの一つとしているので、装束は、大好き。此の展覧会の凄いのは、高倉 という、御皇室御用達の装束、しかも第一級品だらけ。

 山科流と高倉 と、二つのいわばブランドが装束の世界にはあるんですが、どちらもそれはそれは、美しい。見事なものです。

 この展覧会の目玉は、ナント言っても、ご即位の時にしか使用されないと言う白無垢の十二単

 ご存知でしょうか? 十二単の白無垢があることを!!!!

 全く、驚きの美しさ。全部、真っ白なシルク。生成り、オフホワイトってやつ。です。
袴だけが、ほんのり、紅染めされ、淡いピンク に! ゾクゾクするような華麗さ。必見ですので、お見逃しなく。

 ちなみに、陛下ご即位の折、数々の儀式が続きますが、宮中三殿での大切な儀式にのみ使われるのが、白無垢の十二単 。陛下の純白のご束帯に合わせての皇后様のご衣裳なのだそうです。


 写真二枚目は、秋篠宮妃紀子様、ご成婚の折のご装束。美しい十二単です。
春草展と平行して、これからは、雅の世界をちょっとご紹介してゆきましょう。日本文化そのものが脈々と息づいていますから。極めつけの美を・・・・・・知って頂けるよう。




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“牧童” 

 今回も、同じような画題ですが、中身は別。春草は同じ絵を描きません。

 “同じような絵”は沢山残っていますが、発想から完成まで同じ様に描くと言う事は嫌ったようです。

 勿論、作者が繰り返すと言う鮮度を無視すれば、観者にそのまま伝わる。と言う鉄則を良く知っていたのだと思います。本人が面白がって描いたものでなければ、見る人は面白くない。

 上手い下手ではないんです。作者の感興が伝わればこそ、見るほうは楽しめる。

 形は実に巧妙で、外ズラが実に整い、立派に見える作品でも、作者が本当はイライラしながら、いやいや我慢して描いたものは、やはり、見ても愉快ではない。不思議なものですが、当然であろうかとも思います。

 わらの帽子をかぶって、牛を追っている童子の実に、無邪気な事。
しっとりと、見せ付けてくれますね。


ちょっと、映像が弱くて、すみません。どうぞ、ホンモノを想像する力を培ってください??





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“月下牧童”

 少し風が吹いています。月の光に照らされた草むらが、牧童の髪の毛が、風をはらむ空気を感じさせるのです。静かな叙情。水のさやぎ、と満月の影とを上下に対比させ、風を感じさせる中に、水牛の重量感を強めて、動と静とを置いて、実に用意周到。簡素な中にも湿潤な空気感が込められているではアリマセンか。

 月光の下、なんと贅沢な空間でしょう。





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拡大して下さい。





画題は“湖辺”

この水辺は、少し波立っています。風も感じられ、前回の牧童の静けさとは、ちょっと異質。空も暗く、ちょっと不安な雲行き。先行きの不安定さみたいな感じが、・・・・

 ところが、牧童は超かわゆい。幼さも、帽子の大きすぎる事も、無邪気さも、・・全く
芯から平和な顔立ち。あたりの空気と、乗っている水牛のちょっと、陰険な眼差しも、吹っ飛んでしまうような、おおらかさ。

 この対比が、実に見事です。


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 さて、“牧童”をテーマとした、作品を続けましょう。

 牛の背に乗っていますが、いい雰囲気です。水を飲ませに来たのか?ちょっと、水浴させるのか、向こう岸に渡ろうとしているのかな? いかにも無垢そのもののかわいい坊やが、ちょこんと座って、このムードは、たまりませんね。ちょっと湿潤な空気、雨具をつけているのも・・・・。

ディテールを見れば尚の事。いっそうかわいさが引き立ちます。



 仄かに背景が淡くピンクがかっているのも、かわいらしさを強調しているのです。 色彩と空間の魔術師であります。

 家の垣根の紅カナメに、キジバトの巣が架かり、親鳥が交代で抱卵し始めた事は既にお伝えしましたが、このたびめでたくヒナが孵りました!!!!

 暗いところなので、まだらなグレーとシロと、・・・一色じゃあないのですが、まだ良く分からない。お手玉くらいの大きさで、親鳥がエサを取りに言ってる間、そーーーっと、覗いてみたけれど、居ないとは言え親鳥の気持ちを察して、覗き込む事はやめました。

 去年もほぼ同じところに、夏の暑い盛りに巣をかけ、抱卵していましたが、カラスに見つかって途中放棄。卵は落ちて割れてしまいました。今年こそ!!

 

  五月晴れ、と走り梅雨と、今年は、緑がことのほか美しい。

 大震災と、相変わらずの世相とに意気消沈させられますが、自然の営みはいつもポジティブ、振り返ると言う事がアリマセン。

 春草のこの作品も、ごく、自然なワンシーン。  “竹と猫”二つ折りの屏風です。



 なんか、ありそうなシーンだと思いませんか?

 猫がすこし、おっさん臭いのですが、竹の間から覗く白百合は絶品。良い香りがしてきますね。ひな鳥を食べてやろう?と待ち構えているような気配も感じます。生き物のなんでもない日常の暮らしを、心静かに感じさせてくれるんです。



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 このブログは、日本画の魅力を大天才菱田春草の傑作品を見ていただくことを通して、味わって頂けるように続けていますが、日本がの魅力をもっと知りたい方は、<a href="

 湿潤な走り梅雨、湿った空気をよく表した緑いっぱいの作品にはこんな綺麗な作品もあります。


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 牧童って、ご存知でしょうか?

 牧畜たちを一日中、草の豊富なところへ誘って、牧畜業のお手伝いをする子供たちの事。 労働基準法違反?? 

 野暮なことは言いっこなし。のどかな一日を楽しみながら、自然の真っ只中で、友達の様な、決して、不平や文句を言わない、家畜たちと共に過ごす。

 こういうのが、大人たちの理想でもあったわけであり、日常の雑事に追いまくられ続けている大人達には、この上なく、平和で、温和な、気持ちのよい世界に見える。

 そんな感じを追いかけて、当時の画家達は、春草ばかりでなく、牧童をテーマにしたのであります。

 この作品は、牛を水辺に連れてきた牧童が、牛に水を飲ませると言う、典型的なシーン、です。

 なんか、のんびりしたよい雰囲気でしょう?

  次回から、牧童関係の作品をチョイスしてゆきましょう。

 


ちょっと その前に・・・・出し忘れた、鳩の作品です。

横長の珍しいもの、ツガイの鳩は、どこかで見たことアリマセンか???

 前に、見て頂いた作品とほぼ同じポーズを使っている珍しい例でもあります。





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ついでに、蓬莱山 

のテーマ作品も、2点ほど、見て頂きましょう。

 生涯で何点描いたのか、正確なところは分かりかねますが、36歳と言う短い人生にしては、かなり多くの作品が残されたおり、一旦描き出せば、相当な早描き、にちがいありません。

 上手いだけでなく、早い!! まったく始末に終えないほどの

大天才であります。




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 この世の理想郷。世界から見た日本?

蓬莱というイメージは、普くすべての人々が無意識のうちであれ持っている観念ではないでしょうか?

 この御目出度い画題で、春草も名作を残しています。







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宋元時代の、絵画を規範とした時代があったおかげで、シナ風の描き方が礼賛される面があるのは仕方のない事かもしれませんが、春草は、“山水画”と呼ばれるようなジャンルから遥かに超えてしまっていて、どこにも支那風を感じさせません。この点大観と良く似ています。

支那風が、少しでも入るとシナ下る?事を二人は良く知っていました。もう一つ、宗教臭さ、も又、排除されるべき要素であります。 日本そのものの良さを、そのまま出せば、世界に通用する事を良く知っていたのです。

むしろ、日本らしさに徹底しなければ、絵を描く意味すらない事を実に良くわきまえていたのであります。

現代の画家が、忘れてしまっているのはこのあたり。

 蓬莱山は、ユートピア。一説にシナから観た日本のことであって、仙境を例えたもの。




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  ライフイズ ビューティフル!?

 命を与えられた事をしみじみ幸福として受け止められる世界。

 見えていても決してたどり着けない仙境、を春草が、現実のものとして、我々に提示してくれているようです。

 ちょっと画面が小さくて・・・・・、鶴が飛んでいるのを確認できるでしょうか? 遥か、おおらかに、のどかに鶴が、舞うように大空に飛んでいます。建物のなかには、満ち足りた気持ちの人々が・・・・。