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絵師 高橋天山ブログ

日本画家が語る日本文化の素晴らしさ
菱田春草を語る

 
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黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)

前回、福島県の駒止湿原の、アサヒランをご紹介しましたが、本名が沢蘭と言うのに、朝日のような鮮やかさの故か、アサヒランと呼ぶ人のほうが断然多い。

日本人の朝日に対する思い入れを感じさせますね。

日本の色は、複雑で独特。その名も、奥床しさに溢れています。

草木染から来る独自性も欠かせない日本独自の色彩。

日本美の中核に違いありません。藍、紅、を代表とする草木染は自然そのものの色。生成りの純白を染めてゆくところから日本文化の真髄が始まっているのです。

装束での朝日の色は、【黄丹(おうに)】。

昇り行く朝日の色、とされ、皇太子殿下の束帯の色。無論禁色であります。

天皇陛下の御束帯の、黄櫨染(こうろぜん)は、中天にかかる太陽の色とされています。

なんと、凄い文化!! ではありませんか。




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 黄丹の袍(おうにのほう)





沢蘭【サワラン】、と言うのが通称。


山間の沼地や湿地、に自生。写真は福島県駒止湿原。尾瀬ほど有名ではないけれど、花の多い魅力的な湿原として今や大人気になりつつあります。


勿論、福島の誇り! それは、美しい湿原です。アサヒランをはじめ、水芭蕉、蓮華つつじ、石楠花、など等、貴重な数々の高層湿原植物が盛りだくさん。散策路もしっかりして、天気に恵まれれば、忘れられないハイキングとなります。


筆者が、この花をスケッチしていると、トンボが止まって、それは美しい構図が目前に展開されました。惜しくも、写真はとれませんでしたが・・・・。


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福島の姫小百合をご紹介したら意外な反響があったので、
 
 日本画のことは、《 絵画芸術の生まれ 、と日本画の影響力》 《横山大観先生の座右銘 》《和紙の魅力》などなど、過去ブログ、3月4月あたりをごらん頂くとして、

 今日はコマクサをごらん頂きましょう。


 宮城蔵王の頂上直下、高山植物の女王といわれる、駒草【こまくさ】が・・・・。

 瓦礫の荒地なのに、驚くような環境に耐えて、健気に咲くのです。

 名の由来は、花の輪郭が、馬の横顔に似ているから・・・。それは美しいものです。

 これこそ、花の中の花。高級ブランドとは、このこと!

 
 筆者は、あまり苦しい事は嫌いで、山登りはやりたくないほうですが、天上の楽園といわれる高山に、一度は、画家として、咲き誇る高山植物の真っ盛りは見ておかなくては!との思いで、石川県の白山に登ったのがその魅力に取り付かれる第一歩でした。

 隣のおじさんのいびきで一睡も出来ない山小屋も、花のためならがまん!!

しちゃうほど、それはそれは美しいものでした。


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春草は、イワユル娑婆っ気、権力欲とか、名誉欲とか、普通のオヤジが陥りやすい願望に踊ってしまうような感覚は持ち合わせていませんでした。


昨今は、総理大臣からして、《すっから管の》 無能を棚に挙げて、一日も長く延命する事だけに全精力を費やすと言う驚くべき時代に成り下がってしまいましたが、ロシアとの全国民の命を掛けた戦いの前夜とも言うべき時代背景も加わって、春草の望みは唯一つ、【真の日本文化・文化を生み出す】、ことだけだったのです。ワタクシは考えたこともありません。


春草に限らず、時代の精神そのものがそうだった。さらに、


こういう不世出の大天才が生まれた事は、明治天皇の御威徳としか言いようが無いのですが、ご本人、春草自身は、ただただ、日本美の創造者たり得たいという、純な心が燃え滾っているだけでした。


 この天才にこそ【牧童】という、“人間の無垢な心”をテーマとするに、相応しい。



この二点もその結実の作品です。




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 気の毒にも。風評被害が相次いでいるという福島。

 直接の被害に会われた方はもとより、間接的に大変な目にあっているという風聞を聞くにつけ、悲しい思いを抱くのは私ばかりではないでしょう。


 福島ナンバーの車に乗っていると、駐車場から出てゆけといわれたり・・・

悲しい現実が、ひどく心を滅入らせます。


 そこで、私のスケッチ取材で訪れた時の福島の素晴らしさを一寸ご紹介します。先ず今日は、お花。 【姫小百合(ひめさゆり)】、です。


 福島にしかないわけでは勿論アリマセンが、この素敵な高山植物をわざわざ、公園に植えつけて、あたり一帯を全部この花でいっぱいにしたのは福島の人。


 町おこしとしたものでしょう。

ひめさゆり 福島県南会津町南郷 高清水自然公園  



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 この“ひめさゆり”は、雅で、可憐そのものの百合で、本来は高山帯の稜線上に夏の極僅かな短い時期に咲き誇る、高山植物のお姫様。


 山形と新潟県境の朝日連峰が有名な繁殖地。他にも深山の高いところに好んで咲くのです。


 この福島の自然公園は見もの。これから、月末ごろが盛りとなります。



綺麗ですよー。福島県民の美意識が凝縮されています!!!!!








  http://nihongaka.jp/    こちらへどうぞ。ホームページ、百名人ほか。

  近代美人画の祖、と謳われている清方の名作。“築地明石町” ホント、いい女でしょう?

  この黒い和服美人に魅せられてしまう人が多いんです。


  平安時代の随分昔の絵師から、現代にいた るまで、活躍した忘れえぬ名人を取り上げて語っている 

 のが、【日本百名人】です、まだ途中で半端なんですが、覗いてみて下さい。 だんだん増やしています。それは美しい美術館になる予定・・・・・?



  
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幼い無垢の心。駆け引きや、ワタクシする心がない。牧童の魅力は、厳しい現実の競争社会から一歩引いて、掛け値のない安らぎを与えてくれるのでしょう。


春草も好んで描いたらしく、まだ作例を挙げることができます。


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水辺でのお掃除? 背中のカゴが、かわいそうなくらい大きくて、小さいのに健気な感じが。とにかく、なんか、イイ!!




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この作品は、やはり“牧童”と題され、松林を歩む二人を横長の画面で捉えています。地袋と言われる様な、脇床の小さな引き出し戸にでも、描かれたのだろうとおもわれますが・・・・。そのディテールが・・・・




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何れもクリックして、拡大してご覧下さい。



二人は、何話しているのでしょう?

一寸画像が乱れて済みません。なんといっても絵画は、ホンモノを見なくちゃだめなんですが・・・・。豊かな想像力の発動を、お願いします。











久しぶりに、近作をご紹介しましょう。季節感がさまざまですが、どうぞ、お楽しみ下さい。

 【白虹の尾瀬】



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ご存知、尾瀬といえば水芭蕉。平らかな山上の楽園を楽しむかのように咲き競うのは6月。遅い春がたけなわになる頃です。とにかく真冬には3メートル以上の雪に覆われる事もあるのですから。 そして、知る人ぞ知る、白虹(はっこう) 湿潤な尾瀬に立つ虹は奇跡的に白く仄かに輝くことがある、と言う伝説を知って、描いてみたものです。




 【池畔の春】



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これは、琵琶湖での取材から生まれた桜の作品。奥琵琶湖は例年4月の下旬頃に満開となり、狭い道路が大渋滞するのですが、夕暮れ頃にはさすがの渋滞も解消。射光で対岸は逆光となり、朧に遠くの桜の満開は霞み、目の前の桜の枝には光が溢れて、まるで夜桜が、ライトに照らされたよう、それはそれは、不思議な美しさでありました。



 

 【月影】



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 月といえば秋の名月。秋盛る、中秋。煌々としているだけではなく、風情が感じられるのは、空気のせいでしょうか?


 手前の水辺、木の向こうにも水辺、のどかな水辺にかこまれた中州の様なところに頑張って育った吉野桜の紅葉です。逆光になって、紫色に。満月には金箔を正円に斬って、貼り付けてあります。この技術は一寸難しい。



 【行く秋】



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全山真紅に染まったような、みちのくの山。人知れず美しさをたたえる山中の水辺が好きで、ずいぶんあちこちへ行きました。中でもこの秋田の名勝沼は、印象深く、画想を得る為に、度々訪れています。一日中歩いても人に逢わない事も。ざら。


 鹿の出現に驚いたのはこちらの方で、牡鹿の方は私に気付いて、少し警戒しながらも、“”ほう、こんなところに人間がいる”  とでも言いたげな眼差し。敵意の無い事をすぐに悟るようでした。

それにしても、しみじみと四季を嘆賞する事ができる東北はホントにスバラシイ。




 【秋映】




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ついでに、秋の小品画をもう一つ。最後の錦を飾って、明日の朝はこの極彩色も色あせてしまいそうな秋涼の気配。水もさぞ冷たくなって来ているでしょう。錦を映す見事な紅葉です。









 



 


著作権は守られるべきものです。


ホームページへもお越し下さい、 http://nihongaka.jp/



“洗馬”

馬と牧童の絵を続けましょう。

例によって、縦長の構図。これは、床の間用の掛け軸として描かれた作品だから、縦が多い。という事は前にも述べましたが、この作品は、本当は横長に描きたいところなんです。

と言うのも、川辺?水辺の広がりを主眼としているのですから、横に広がるように横画面を使って描く方が有利。

ところが、春草はそれを逆手に利用しています。遠い岸辺、近い岸辺、を用意して、上下に並べ、遠い岸辺(上)を“出入りする形”として捕らえ、近い岸辺(下)を“ほぼ単純な楕円形”として描いているので、この両者を並列させる事による対比を上手く使って縦長の絵なのに横の広がりを表現しているのです。

こういう考え方は、日本画独自のもの。東海道53次の連作で知られる安藤広重の作品に其の典型を見ることができます。

視覚的なねらいをしぼって、画面上で現実とは異なる構成をし直して、却って現実以上の視覚的効果を生む方法なのです。




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さらに、対の構成も重ね合わせている。

牧童が二人。一人はこちら向き、独りは背中。

馬が二頭。一頭は水を飲み、もう一頭は首を上げている。

岸辺が遠近二つ。前景は単純な楕円、後景は変化のある楕円形。

加えて、水面の形も二つ。上の水面は出入りのある形、下の水面は単純な矩形に近い形。

すべてが、相反する性質の二者を対比させる。という日本画独特の造形法に則っているわけです。

日本画は、こうやって描くべし!と言った、見事な模範例がこの作品といえるでしょう。





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“夕月”

 不思議なくらい美しいものです。黒い月が半分くらい影って、白馬とタテガミが真っ白な馬と、のどを潤している水辺。

 牧童が、月にマッチした青い着物で、歩み寄る。あどけない姿。

一番強く描いてあるのが、水際なのに、そちらより、全体から感じる月影の柔らかな澄み切った透明感で満たされてしまいます。

 構想の面白さもさることながら、月、牧童、馬、がそれぞればらばらに布置されているのに統一感がある。

 そう、水際をよりきわ立たせる事によって、画面と言う舞台の上に登場する色々な要素をまとめてしまったのです。つまり、異様に際立たせた水際の印象の強さによって、他のすべてが柔らかく感じてしまうという、マジック

 大天才春草の真骨頂をここに見ることができます。

 それにしても、白馬のかわいいこと!!




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“牧童”

 これも又変わった牧童です。一日の作業を終えて、休らう牛の背に乗って、飛び去る鳥の群れをのんびりと眺めています。

 ただそれだけの、後ろ向きの牧童なのに、なんと、深い観照であることか。

 作者の深い洞察力がさりげなく伝わってくるではアリマセンか。

何事も、わざとらしいのは、いたたけません。クサミ、ケレンミ、など、美術にはあってはならない要素です。

 洗練、気品、奥床しさ、深い味わいをかもし出すのは、とても難しい事。春草は軽々と、・・・・・・・。



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 ずっと、部屋に飾っておくと、きっと、益々好きになってしまう作品ですね。