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絵師 高橋天山ブログ

日本画家が語る日本文化の素晴らしさ
菱田春草を語る

  

 緑滴る、福島へ、久々に取材しました。目的は、南会津の湿原と高山植物。

 会津は、ずっと以前から大好きな地方。尾瀬の北からの入山口や、桧枝岐村、会津高原。

 もっとメジャーな、五色沼や、猪苗代湖と磐梯山、も、喜多方ラーメン、凍み天、浪江焼きソバも。漆の会津塗りも好き。

 知り合いは一人もいないけれど、福島のよさは充分知ってます。 ホントは、牡丹のころ、須賀川の日本一の牡丹園に行きたかったのが、あわただしくて行けませんでした。放射能のお陰で、例年以上の素晴らしい花ぶりだったようです。

 会津っぽ、と言われるど根性が、白虎隊に代表されてるように

とにかく、めげないで頑張って頂きたいと切に思います。

 白河まで東北道、最初の目的地、【駒止湿原】には朝早く到着しました。前日まで大荒れだった東北地方でしたが、既に青空が覗き、すがすがしい空気はたまりません。

 南からの入山口で、ガイドの皆さんに足元を心配してもらいながら、スケッチブック片手に散策。

 いきなり、ヒオウギアヤメの大群落です。




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素晴らしい美しさでしょう!!

アヤメの原種。日本固有種。秋篠宮紀子妃殿下のお印でもあります。

秋になると宝石の様な輝きを持つ黒い実を付けるので、【ぬばたま】の語源ともなりました。

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【秋汀】



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同、部分



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 水辺が恋しい時期になりました。

 生きとし生けるものすべての命を描きつくした菱田春草。常に我々の師表として、折に触れ振り返るべき日本画の原点とおもいます。

芙蓉の下、重なる鷺の美しいこと。空気感がたまりません。残暑の頃に咲く花なんですが、暑い時期に涼やかな白鷺を取り合わせているんですね。

 【風】



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 続いて、風をはらんだ作品。

 風に押されて、あやうく飛び舞う白鷺を実に上手く捕らえているでしょう。あおられる樹木の色も涼やかです。

   

 【湖畔の雨】  


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じっと、雨をしのいでいる姿。孤影の強い印象を使っています。

 【鷺】



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樹間の足元に・・・。



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 ヒオウギアヤメ 




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どうです、このシャープな花姿。檜で作った扇のように、葉と茎とが要を中心に広がっています。アヤメの原種。その昔、有名な尾瀬のアヤメ平と言う、名所がありましたが、そこは、太古から続いてきた湿原。このヒオオギアヤメで、埋め尽くされていたそうです。とにかく、美しい。 秋になると真っ黒に光り輝く実がなりますよ。






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 ヒオウギアヤメとコバイケイソウ。紫と白の対比が緑の中でヒトキワ輝きます。





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 サワフタギ、白い花の連作。美しいものです。秋になると瑠璃色の綺麗な実が実るんです。深い渓をふさぐように広がって繁るので沢蓋木。





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 キスゲの黄色。ヒオウギアヤメの青紫。蓮華ツツジの赤。 そして、緑いっぱい。





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 姫サユリ。 小さいピンクの百合なんですが。とても美しい。本来は、深山の尾根筋に、稜線の風が通るところに、健気に咲くんですが。この映像は、駒止湿原近くの高清水自然公園、でのスナップ。




とにかく、美しさに説明はいりません。








 涼やかな作品をご覧いただきましょう。

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 【木漏れ日】 京都嵯峨の竹林がモデル。竹林はタケノコも食えるし、夏は涼しいし、強風は遮ってくれるし、年中緑を提供してくれるし、私は大竹林のある瀟洒な和風建築の豪邸に住むのが夢?



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【燧ケ岳】 尾瀬沼畔に聳える東北一の高峰。水芭蕉の頃を過ぎ、新緑萌える頃はもう初夏。まだ残雪が映える早朝の尾瀬沼には大抵朝もやが。時間と共に晴れ上がって行く大地の鼓動が聞こえるようです。




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 【星合の宵】 天の川を見た事のある人が少なくなって、伝説?、ただの話?、御伽噺とは良く言ったものです。秋田県は鳥海山。八合目の駐車場ですごした夜。“おわんを伏せたような”夜空が天空に広がっていました。車の中から夜空を見つめて、夢の世界へ。




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 【蛍】 ほっ ほっ ほーたる来い、竹林の蛍です。




 いずれも、個展に出品した作品です。



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 ja.wikipedia.org/wiki/高橋天山  ウウィキペディアはこちらです。







初夏の伊勢神宮 は緑いっぱい。

 清らかなすがすがしさで満ち溢れています。

 例年6月30日、半年の区切りの、大祓いの清めが行われます。

 ミソギとハライ。日本の伝統文化は根底に、常に新しくといって、【常若】という思想があり、それは、このミソギとハライとで支えられてきたのです。 

 勿論宗教なんかじゃありません。

 遠い昔、まだ、飯の為、生業の方便としての宗教概念など全然なかった時代からずっと受け継がれてきた尊いものであります。

 その心を見事に具現しているのが、伊勢神宮

 昨年はついに800万人を超えました。参拝者で、引きもきらない神宮です。
 傲岸無知な、シナ人旅行者もいませんよ。




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 東京美術学校を卒業した菱田春草は、岡倉天心 校長に特別なる期待をされていたものの、兄からの仕送りも絶え、画家として立つにはあまりにも若すぎました。ちゃんとした職は、小学校の絵の先生くらい。大天才春草にはちょっと向いてはいませんね。

 明治天皇の勅命で開校された東京美術学校を優等で卒業した第二期生でありますから、おおいに嘱望されていたとは言え、その期待に相応しいポジションが、まだ存在していなかったのです。

 そこで、経営手腕に長けた岡倉校長は、春草や、当時期待していた人材をより高めるべく次なる手を打ち始めます。

 天心は、当時校長と同時に帝国博物館理事を兼任、同館美術部長の職にあり、古画の模写を委嘱する、ということで春草等優秀な美校卒業生に仕事を与えました。

 春草、大観など、抜てきされた人にとってこれは実に効果的。

 学びながらいくばくかの糧にもなる。

 良く言われる言葉、“お金を貰って勉強できるのがプロ!” プロ、アマ、の差を指した名言ですね。

 天心は将来の日本美術を見通して、こうでなければならん、こうあらねば、と、企図したことを直ちに実行に移す行動力と手腕と信念に基ずく明晰な頭脳を持っていたのです。経営の大天才、としての天心の本領が発揮されつつありました。

 しかも、時は、明治大帝の御世。日本国が日本らしく世界にその存在を示しつつある、といういわば、上り坂。上げ潮、の時代でもありました。国民一般が世界の中の日本国家と言う意識を持ち始めていた時代です。

 春草は、ともかくも、古画の模写を若い時に出来るという非常なる幸運を得たのです。

 若い内に一流の作家の足跡を肌で味わう事の大切さは言うまでもありません。天才なればこそ、天才を知る。

 日本青年絵画協会から、寺崎広業、小堀鞆音、など。

 美校卒業生から、横山大観 、下村観山、西郷孤月、天草神来、菱田春草、など。

 明治29年正月、春草は、観山、神来、等と共に、高野山 に登り、古画の模写jに従事しました。

 そのときの春草による模写が今に伝わっています。(伝、珍海作、文殊図)、修行僧たちと共に寝起きし、深い山懐で、沈黙の修行を積んだことでしょう。実に良い勉強です。

 明治29年3月、天心は美校出身者を世に出すために、彼等を、日本青年絵画協会に入会させると共に、会名を日本絵画協会とお改め、会頭に公爵二条基弘を推し、自身は副会頭になって実権を掌握。

 日本青年絵画協会は、既に4回の共進会を開いて実績を収めて来ましたが、この年9月。日本絵画協会第一回共進会が開かれました。

 この共進会は、①東洋画法を維持するもの。②西洋の様式に基づくもの。③従来画法に拘わらず新たに開発を計ろうとするもの。三部組織にわけられていました。

 つまり、①は、日本美術協会に属する保守的作家の参加を求め、②は、黒田清輝、久米圭一郎等が組織した日本絵画協会の参加を求め、③は、元の青年絵画協会会員と美校卒業生とを参加させたのです。 当時のめぼしい作家を糾合し、ソコヘ自分が育てた美校卒業生を組み入れたと言う訳。

 実に、素晴らしい手腕ですね。新旧の切磋琢磨が期せずして興るという図式です。

 この共進会に春草は、初めて【春草】の雅号を名乗ります。

行くところ可ならざるなき、大天才の華々しい門出といえましょう。

 「四季山水」 4点を出品。銅杯第四席を獲得。

 菱田春草、若干23歳。プロデビュー戦を飾りました。

 まだ、橋本雅邦先生の訓育による狩野派風の作柄ですが、柔らかな春草らしい、味わいが既に胚胎されています。

 この時、同時に出品された、小堀鞆音作、「経正詣竹生島図」も受賞しましたが、今でも、この作品はおおいに認められており高い完成度は、鞆音画伯の代表作、とされています。




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  正統派、武者絵の第一人者。小堀鞆音画伯らしい、実に端正な作品です。平経正(たいらのつねまさ)とは、平清盛の甥。

 平家の公達の一人であり、琵琶の名手でもありました。仁和寺から賜った名器【青山】をかき鳴らし、和歌にも堪能で、一の谷の合戦で戦士します。

 いかに大天才とは言え、春草の作品はまだまだ若く、本領発揮はこれから、大活躍の予兆に過ぎませんでした。



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 水が恋しくなる季節。白鷺を描きいれた作品をご覧いただきます。点景としての、白い鷺。





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    【羽音】   雅号天山を名乗る以前の作品です、京都広 

            沢の池での取材がベースとなっています。

            静寂の池に白鷺の羽音だけが・・・






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   【汀】  緑は心和む色。佇立する白鷺の姿が緑をひきたて 

        てくれます。







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    【秋映】  秋涼の頃、赤と白の対比も美しい。







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     【白麗】  点景ではなく、白鷺そのもの。羽繕いしてい

            るその姿にうっとりしたのでした。






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    【寧】  宇治の平等院から取材しています、

         歴史を背負って佇んでいる“感じ”を

         描き出そうとしています。







  いずれも、過去の個展作品です。



 

 

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夏の白鷺は、頭頂の羽が長く伸びて、いかにも優雅です。

水辺で獲物を狙っている姿は華麗そもの。



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今回は、菱田春草在学中の作品と思われる鷺図をご紹介しましょう。




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 サインが本名ですから、在学した当初の作品ではないかとおもわれます。

 面白い事に、鷺の表現以外は、狩野派だという事。

水辺の植物も、足場の岩も、水面も、引き立て役としての背景すべてが、輪郭線を誇張してその骨格に色付けすると云う、典型的な狩野派風。型にはまっています。

 橋本雅邦の訓育を受けていた当初ではあるし、学生なのですから、先生の指導宜しく及第点を頂くべく努力したのでしょう。

 が、しかし、さすが、春草。

狩野派の《古臭さ》を当然の様に感じており、主役の白鷺だけは、写実にしっかりと裏づけされた、独自の表現をしているのです。形式的に描くとすれば、どこかぎこちない、わざとらしい鷺になってしまうものが、本能的に、活きた表現を志向してしまったものと見えます。

 狩野派の形骸に囚われてはいないのです。

 別に特別意識してはいなかったでしょう。背景は狩野派的形式化されているのだから、むしろ、ご本人は、主役の鷺も、狩野風にするつもりだったかもしれません。

 ところが、主役を描くに当たって、当然実物や、剥製など、観察できるものは精一杯見ているでしょうし、とにかく、美しい生き物なのだから、いざ、表現するに当たって、つい、地が出て、迫真の描出をしてしまったもののようなのです。

 なんでもないようですが、円熟されてきた表現と少しも変わらない、学生のレベルではありません。指導された部分、(背景)こそ、惜しい。何も教える事はないのです、大天才を型にはめてしまったわけですから。

 拡大図をご覧下さい、云わずとも、すべてを語っていますね。




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【月下飛鷺】 ≪陸離≫  (クリックして下さい随分見やすくなりますよ。)


 間違いなく、春草描くところの鷺の図の中で、ダントツに素晴らしい作品がこれ。

 春草にも、出来不出来はあります。観賞する側の好き嫌いもあります。が、・・・しかし・・・
 

この作品は、そのくらいの事で左右されるものではなく圧倒的な美しさに満ち溢れているのです。

 月の光が、薄絹の様な、羽毛のような、繊細で、どこまでも柔らかく、深遠微妙。



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何と言う美しさでしょうか。羽毛が月の光を浴びて、ふくよかに輝いています。
 技もさることながら、この感覚的な鋭さ、確かさは、いったい・・・・。

 実に実に残念ですが、映像の限界。ホンモノを見なければ、この美しさは享受できません。が、
 こんなささやかな映像でも、これ程深い心象を感じるという事が、この作品の高さを証明している
 ともいえましょう。

 平成26年、北の丸の国立近代美術館で、実物を拝見するのがホント、楽しみですね。


 ちなみに、この作品は、日本美術院草創期、谷中にて、天心先生が示唆したテーマを、皆で、研究し、作品化し、持ち寄って合同の批評会をする。と言う勉強の一環として描かれたものと言うことがわかっています。

 ゆえに、副題として≪陸離≫ とつけられているので、つまり、この折に出された御題が、【陸離】、であり、大観も観山も武山も、陸離と云うイメージでそれぞれに作画して、切磋琢磨し合っていたことの一部であります。

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 黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)とは、天皇 陛下が重要な儀式の際に着用する御束帯 、装束の のことです。

 この名前は染めてある色名 からであり、「黄櫨染」とは黄色 の中に赤色 を混ぜた染め色で今の黄土色 に近い色。

 黄櫨染は真昼の太陽 の色を象徴したものでもあり、天皇 以外決して使用することができない色であり、当然【絶対禁色 】であります。

 《日本紀略》によれば、弘仁11年(820年)2月、嵯峨天皇の詔により、黄櫨染は、天皇 だけが即位の大礼や大嘗祭など、重要な儀式の際にのみ着用できる第一礼装となり、以来、歴代天皇陛下だけに許される最も厳格な絶対禁色と定められて来ました。

 紋様は「 」「 」「鳳凰 」「麒麟 」の4種類。

 黄櫨染の表面は、太陽の光を浴びることにより金茶色から赤茶色へと色味が変化すると言う、耀変性(ようへんせい)が備わっていて、赤茶色の光沢があり、さながら宝石のような神秘的な輝きを帯びているのです。

 それが、太陽の染め物といわれる所以であり、さらに又、黄櫨染に光を透過させると、その内側には茜色、太陽の色が浮かび上がります。

 紅花から採集される大変貴重な口紅。

唇に薄く塗り重ねる事により、ナント遂には紅色が光沢を帯び,しまいには緑光りする!と言う摩訶不思議さにちょっと似ているのかもしれません。

 表面的な華々しい色を誇示するのではなく、全宇宙のエネルギー源ともいえる太陽の神々しさを、衣の内側にひっそりと宿すという、恐ろしいまでの謙遜性と神秘性は、日本人の深い感性そのものと言えるのではないでしょうか。

 黄櫨染の染色材料は櫨(はぜ)・蘇芳(すおう)、紫根(しこん)の三種類。媒染材は、酢と木灰。

 この染こそ日本発祥の染であり、日本が世界に誇れる独自の染であります。

 草木染は、実に奥の深い日本固有の伝統文化でありましょう。

それはそれは美しいもの、十二単の美を支えているのです。




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 伊勢神宮 内宮にて、黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)をお召しになられ、儀式に望まれる天皇陛下。

 

 

  十二単 の世界】展、四季を飾る「かさね」の美

 明治神宮宝物殿開館九十年記念展 

 は、7月3日まで。

 明治神宮文化館宝物展示室で開催されています。

 御皇室伝来の装束、十二単の究極の美で埋め尽くされていま   

 す。素晴らしい展覧会ですよ! 花菖蒲も満開!!!