念願の『竹内栖鳳展』を観に行ってきました。
“ 観に ” というよりも “ 拝みに ”という方が近いかもしれません。
京都を訪れるのは学生の時以来2度目。
わがまま言ってまたもや一人旅です。しかも紅葉の季節( ̄▽+ ̄*)
ああ、なんて贅沢w
まぁ、勉強のために美術館とお寺を廻るだけですから?家族は行きたがりませんし?一人の方が動きやすいよね?
…いえ、行かせていただいてありがとうございますm(_ _)m→ご主人様。
竹内栖鳳は明治の京都画壇で活躍した日本画家で、美人画で知られる上村松園の師にあたります。
ポスターにある『斑猫』という作品は何処かで見たことがあるのではないでしょうか。
この『斑猫』や私の好きな『河口』は、後期の展示だったので観ることは出来ませんでしたが、画集ではわからない色彩の美しさと筆さばきを実際に観たくてわざわざ京都まで足を運んだわけです。
先月までは東京で開催されていたのですが、京都で観る方がより良く栖鳳らしさを感じられる気がします。
場所は平安神宮の隣にある京都市美術館。
その外観がこうです。↓↓↓
入る前から栖鳳作品に会える期待と美術館自体の重厚感に圧倒されそうになります(^_^;)
はやる気持ちを抑え、まず、京都嵯峨芸術大学の佐々木正子氏による描法解析の講演を拝聴しました。
要約すると『大政奉還とほぼ同じ時期に京都に生まれ、日本文化を日本人自身が捨てようとしていた明治時代に日本画を志す気迫を持った人物である。狩野派、円山派だけでなく、西洋の美術理論も吸収し新しい日本画を産み出そうとしていた。』
これを踏まえて、会場の中へ。
もう感激して涙が出そうなほどでした。
いや、ため息と涙も出たかも。手が震えるんでずっとコートの紐を握ってました。
その色彩の美しさ。
青は冴え、赤は活き活きとし、茶は柔らかい。
例えば『獅子図』の髭や『鯖』の竹籠で、絵の具を厚くすることで質感を出しているのが実際に観るとよくわかります。
この象もほぼ刷毛だけで描いています。
筆運びを見るときっと楽しかったんだろうなと思えてきます。
とにかく上手い…。恐るべきデッサン力。
でも、下図の段階で何度も消したり切り貼りした跡があるのを見ると、栖鳳と言えど構図には苦労したんだと親近感が湧きます。
しかし、本番の作品ではわずかな筆致でスッスッと軽く描かれています。
それは恐るべき数の写生をし描く対象の動きや形を完璧に記憶し、本画に筆を入れる時に、単に写すのではなく、色彩の邪魔をしない必要最低限の線で初めて描くつもりで描いているからです。
写生を大事にし、明朗さをもって描くのは日本画の基本です。栖鳳はその究極のレベルです。
写生の数では若冲も凄まじいものがありますが、若冲のこれでもかという描き込みに対し、栖鳳はあくまで軽く引き算された線で形を表そうとしています。
線を描いている時の栖鳳の内面を想像するだけで心が震えてきます。
晩年の作品で、背景に銀箔の粗い砂子を蒔いて 雨の情景を表現しており、老いても新しい事を試みようとする探究心に敬服しました。
・・・興奮して絵もないのに長々と書いてしまいました(^^;;
とにかく凄い、凄すぎる。
半日では足りないくらいです~。後期も行きたかった~(>_<)
栖鳳の気迫と美しさの前に自分を省みると『日本画描いてます』とは恥ずかしくてとても言えません(T▽T;)