あの、山口県の4630万円男、もとい、訴状が公開されて氏名も明らかなので、田口翔と書く。

田口は、今日になって急に、あの4630円を返却できない理由として、

「ネットカジノで全部使ってしまった」

と答えた、という。

私はコレを聞いて、

「うわ~~、現存利益だ。明らかに、誰か田口に入れ知恵した」

と、はらわたが煮えくりかえった。

 

民法703条「不当利得の返還義務」をお読みいただきたい。

 

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

 

急に町から振り込まれた誤送金だから、これが田口にとって不当利得なのは論を待たない。そして、田口が悪意で取得したカネではないので、田口はこの場合「善意」である。「善意」というのは、法律の用語では、心がきれいとかそういうことではなく、「(悪いことは)知らない」という意味である。

しかし、私も学生時代から「おかしな規定だなあ」と思っていたのだが、要するに、不当に受け取った現金とか、それで購入した株式、不動産、金塊、宝石があるとか、財産価値のあるブツが手元に残っているとしたら、それを返還しなければならないものの、

「ギャンブルですってしまって手元に残っていない」

など、返せるものがなくてスッカラカンだとしたら、もう不当利得の返還義務は無い、という規定なのである。

だから、競馬ですった、パチンコですった、という言い訳は、不当利得の返還請求をされた場合に、非常によく登場するので、田口よ、お前もか、と、すぐに思った。

 

上に書いた「明らに、誰か」というのは、法律のプロであり、この場合、彼についた弁護士以外に考えられない。

弁護士だったら、誠心誠意説得して、尊い税金なのだから、返すようにしむけるのが真の役目だと思うのだけど、返さなくても済む理屈を授けているとしたら、法律家としても、人としても、到底許しがたい。

弁護士も、自分に危害が加わるのをおそれてか、TV画面に出ても顔を隠した映像しか流れていなかった。

 

本当にカジノをやったなんて、本人に聞いたり調べたりしたら、そんな形跡がないことくらいすぐわかるだろうし、そもそもたった2週間くらいで、天から降ってきたお恵みを誰がパーにするかよ。もうちょっとまとも言い訳をしろ、だ。

しかし、町もすぐ田口の口座の仮差押えをせずに、交渉に出向いて説得していただなんて、ほんと日本(の田舎)人は性善説だな。

最後に、素直に返金しないと、ろくな人生を送らないよ、田口君。