先日、NHKのBSで「南極物語」(1983年公開)の放送があった。
1997年まで、日本映画の興行記録第一位を維持していた映画である。当時は、フジテレビにもこれを制作するほどのパワーがあったなんて、今では到底信じがたい。
13頭もの樺太犬を犠牲にしたこと、タロとジロが生きていたことなどについては、書くまでもない。
犬好きな私は、見ていてただ涙があふれた。
それに、高倉健さん、渡瀬恒彦さん、夏目雅子さんといった、すでにこの世のない美しい方々の映像も、胸に迫った。
Wikipediaで「樺太犬」を調べたら、人間社会にもう必要とされなくなったり、大食らいなのが飼育上の負担となったりで、日本でもロシアでもほぼ捨てられたり、殺処分されたりで、現在では樺太犬の個体は絶滅してしまったという記録を見て、また涙があふれた。人間に作り出され、人間に使われ、そして人間に殺された樺太犬たち。人間とはなんと残酷で勝手な生き物であろう。
ありがとう、樺太犬たち。
ところで、先日、電車の中で、この光景を見た。こっそり撮ってしまって失礼。
TVで、「盲導犬ってかわいそう」という「世間の誤解」に吠えさせてもらいまっせ、という、全国放送なのに、なぜか大阪弁のCMをよく耳にした。
それによると、盲導犬たちからの発言として、
「わしら、一緒におるのが楽しいんやで」
とナレーションが入れられていたが、なぜ、そんなことを言えるのだろう。
全国の盲導犬1万頭にでも犬語でインタビューし、集計を取った結果だ、とでも?
いくら飼い主さんを慕っているとしても、電車に乗ったり、病院や役所や会社に行くことが好きな犬なんて、いるとは思えない。
樺太犬が、南極になんか連れて行かれたり、思いそりを引かされたりするのを好きだったとは思えないのと同様。
盲人の立場から、彼ら盲導犬たちに、
「いつもありがとうね。これからもよろしく」
とささやきかけるようなCMだったら、大いに納得がいくし、共感もするのだけど。