私の勤務先では、IT部門が外注されることとなったらしい。つまり、現在IT部門で社内のPCやサーバーなどの管理をしている人たちが、全員、首を切られるわけである。
インドに統合、とかいううわさもある。まさかね。PCが壊れたときに、インドからすぐ人が来てくれるとでもいうのであろうか。電話でヘルプを頼め、というのかもしれないが、私は、インド英語なんてさっぱりわからない。ITに強くて、公用語として英語が通じるといわれているインドではあるが、電話では絶対困る。私は、以前、インドから電話がかかってきたとき、おもわず「インド英語は聞いてもさっぱりわからない。頼むからメールを送ってくれ」と頼んだことすらある。
私の所属部署の面倒を見てくれていたITの男性は、ついこの間、赤ちゃんが産まれたばかりである。奥さんともども、どんなに不安な日々を送っていることだろうか。

昨年12月24日に書いた「アラフォー妊婦」という話の中で、

http://blogs.yahoo.co.jp/mymomomi/34198231.html

「容貌の不自由」なアラフォー女性社員と、彼女に惚れて、彼女と結婚するため、海外の支社から、日本に配転させてもらった男について触れた。彼は、旧部署に所属したまま、ネットさえあれば、世界中どこででもできるような仕事をしていたので、最初からあまりオフィスに来なかった。さて、彼女もそろそろ産休に入る身だと思っていたら、突如、予定よりも早く産休に入った。「体調が急に悪くなって」という説明だった。それと同時に、旦那の姿も見えなくなった。まあ、彼は、オフィスに来ても来なくても、誰も気にしない。しかし、しばらくすると、二人の連名で、お菓子置き場にお菓子が置いてあるのを見つけた。何だろう?と思っていたら、この旦那さんの方が、本国のその部署が急に閉鎖されることになり、即、解雇された、と聞いた。彼も気の毒だが、これから彼の子供を産む彼女はもっと気の毒である。これから出産に立ち向かうのに、そのエネルギーがあるのかどうか、案じられる。もちろん産休中の彼女は復帰予定であるが、彼女一人のかせぎで一家3人を養うのは大変だろうし、旦那のほうは日本語を全く話せないので、いくら英語がnativeでも、そうすぐにまともな仕事が見つかることはないだろう。

ひと昔前までは、男性社員は終身雇用を約束され、女性社員は25歳くらいまでに結婚退職し、家庭におさまったものだった。男性は、勤め続けさえすれば、まず定年まで安泰だったので、サラリーマンでも、2,3人の子供が持てたわけである。それがいまや、就労は男女平等になり、男だからといっても、仕事の能力が低ければ、まともな職につけない時代となった。非正規の職が雇用全体の3分の1を占め、明日急に仕事がなくなるかもしれないという状態で働いている人たちは、当然、子供はもつことはおろか、結婚すらできないでいる。そういう時代になったのは世の流れか、あるいは、キヤノンの御手洗が先導する経済界の要請とは思うが、しかし、子供を産むのはこわい。夫婦二人きりであれば、何とかかつかつに食べていけるだろうが、子供がいるとなると、話は深刻だ。貧困は遺伝するから、親が貧困だと、子供に高度な教育をほどこすのは無理で、となると、子供自身もあまり良い職には就きにくい。こうやって、貧困は連鎖する。子供を持つのは「賭け」に近い時代となった。

いまどき、安心して何人も子供を産むのは、よほど裕福な親を持っているか、あるいは、生活保護の受給者くらいではないか。いまどき、夫だけが働いて、専業主婦の妻に子供が複数、という家庭を見ると、「こわい・・・・」と固まってしまう私である。