成人した姪がいる。いままでは、どこに行くにも親に連れられなければ来なかったものだが、昨年末は、一人で横浜に来てくれた。
この子は田舎に住んでいるので、六本木ヒルズだとか、おのぼりさんを連れて行く典型のようなところを案内した。その後、前から連れて行ってやりたいと思っていたステーキハウスへ行った。
このレストランは、以前1、2回、会社の特別なランチの集まりで来たことがあった。ランチタイムに、3000円くらいで大層お値打ちのステーキランチを出してくれるので、ぞっこん気に入っていたのである。ランチだと、肉は、一人100グラム少々、さいころ型に切って出してくれるので、箸で食べられる。モヤシとほうれん草が肉の付け合わせにつく。そのほかに、アサリの味噌汁とご飯、漬け物、デザートに数品の小スイーツがつき、コーヒーか紅茶で締める。肉とアサリというたんぱく質がかぶるのがちょっと何である。あるいは、味噌汁でなくてスープの方が、と思うのだが、アサリの味噌汁にこだわりがあるらしい。このランチを食べると、夜までおなかがすかなくなる。
ともかく、今回は姪と二人のディナーである。私はこのところ、寄る年波で、1日中あまり空腹感を感じない。この日もわざわざ昼食を抜いたのだが、夜まで空腹感が起こらなくて困った。
おしゃれな前菜に続き、エビだの野菜だのを鉄板で焼いて出してくれたのだが、そのへんまでがおいしく食べられる限度であった。そのあと、サラダが出て、アワビを焼いてワカメで蒸し焼きにしたものが出た。アワビって、高級食材だが、味はこれと言ってないような気が・・・。
肉は今回「但馬牛」であった。300グラムくらいありそうな切り身を、シェフが目の前で焼き、さいころ状に切って出してくれる。しかし、空腹感の乏しい私は
「この子に7~8割やってください」
とシェフに頼んでしまった。おまけに、ほんの数年前まではおいしいと思って食べていた牛ステーキなのに、いざ、くちもとへ一切れ持っていくと、牛脂のにおいが「ぷ~~ん」と鼻を突き、「ぐわっ、くさい!」と感じてしまった。幸い、隣の姪は、7~8割をぱくぱく食べている。
肉は今回「但馬牛」であった。300グラムくらいありそうな切り身を、シェフが目の前で焼き、さいころ状に切って出してくれる。しかし、空腹感の乏しい私は
「この子に7~8割やってください」
とシェフに頼んでしまった。おまけに、ほんの数年前まではおいしいと思って食べていた牛ステーキなのに、いざ、くちもとへ一切れ持っていくと、牛脂のにおいが「ぷ~~ん」と鼻を突き、「ぐわっ、くさい!」と感じてしまった。幸い、隣の姪は、7~8割をぱくぱく食べている。
↓ 玉葱のみじん切り入りのステーキソースをつけて食べる。


その後、アサリの味噌汁と、五目チャーハンかガーリックライスのいずれかが出るのだが、私は「ステーキにアサリ汁は邪道だよ・・・。それに、白いご飯出してくれないかなあ」と思いつつ、仕方ないので、チャーハンを頼んだ。しかし、結局もて余してしまった。

結局、このゴージャスディナーで私が最もおいしいと感じたのは、きゅうりや大根の「漬け物」であった。トホホ。
その後、華麗なデザートの盛り合わせが出たが、それも半分以上姪にやってしまった。
ぺロっと食べてくれた姪が唯一の救いだった。出費も、姪のためなら痛くない。
その後、華麗なデザートの盛り合わせが出たが、それも半分以上姪にやってしまった。
ぺロっと食べてくれた姪が唯一の救いだった。出費も、姪のためなら痛くない。
いつも通知表に「優秀である」としか書かれたことのないスーパーエリートのパパがいるのに、どんくさい田舎の芋嫁の血が半分はいってしまったものだから、この姪は、我が家の血筋に似ず、あんまり勉強が得意ではない(悲)。私も両親も、あのどんくさい芋嫁が大嫌いだが、東大を出ていても、こんな程度の嫁しか来なかった兄がふがいないだけなのだが。
姪との会話の最中、
「ねえ、Aちゃん(姪の名前)、ママってさあ、あと30キロくらい痩せた方がいいんじゃない?東京の女のひとはみんな一生懸命ダイエットしているんだよ。十分痩せている人だって、太らないように気を付けているんだから。Aちゃんのママなんて、あれじゃあ恥ずかしくて東京を歩けないよ」
「ねえ、Aちゃん(姪の名前)、ママってさあ、あと30キロくらい痩せた方がいいんじゃない?東京の女のひとはみんな一生懸命ダイエットしているんだよ。十分痩せている人だって、太らないように気を付けているんだから。Aちゃんのママなんて、あれじゃあ恥ずかしくて東京を歩けないよ」
と水を向けてみた。わが母は、常々、あの嫁はデブすぎて親戚に紹介するのが恥ずかしい、恥ずかしいとこぼしている。姪は、ママがデブで一緒に出歩くのも恥ずかしくないのだろうか。
「Bちゃん(注:姪は私のことをこう呼ぶ)もダイエットしているの?」
と聞く。私が「うん、そうだよ」と答えると、姪は、
「でも、田舎はのんびりしているから、太っていても別にいいんじゃないのかなあ」
と答えた。これにはぶったまげた。この姪は、ママがスーパーデブでも、気にしていないらしい。都会では、「デブ」イコール「巨悪」「恥」である。東京のオフィス街では、太った女性なんか見かけない。しかし、この子のような考えもあることを知り、かなりあっけにとられてしまった私である。